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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
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小さな勇気

「アリス~」

「むぐっ!?」


 ヒストリアに入ると、突然リンに抱き着かれた。

 てかリン、結構しっかりと抱き着いてるからちょっと苦しい…。


「おいリン、アリスが苦しそうに手をバタバタさせてんぞ」

「あっごめんねアリス~」

「ぷはぁっ!」


 ショーゴの声で我に返ったのか、リンは私を解放してくれた。

 危うく窒息で死に戻るかと思った…。


「もうーリンはちょっと大げさだよ?」

「だってアリスと会うなんて久々なんだもん~」

「いや、昨日会ったよね? ギルドで」

「アリス成分が足りないのよ~。ショーゴみたいにイベ中も一緒っていうわけじゃないし~」

「うっ…」


 リンが羨ましそうな目をショーゴに向けると、ショーゴは明後日の方向を向き頬を掻いている。

 一緒って言っても、夜ぐらいしか一緒じゃなかったし、そこまででもなかったけどなぁ…?

 てか成分って…。


「あっ、リンのペット見てないから見たいなー」

「そういえばそうね~。じゃあ、ニルス~いらっしゃい~」

「ピィ!」


 リンがペットを呼ぶと、五十センチもない小さな鷲のような鳥がリンの腕に止まる。

 体毛は茶色だが、羽がところどころ黄色で発光している。

 それに、時折バチバチと帯電をしているようだ。

 とりあえずリンにダメージはないようなので、ただの現象のようだ。


「キュゥ!」

「ぁ―!」

「ピィ!」


 挨拶のためにレヴィとネウラを呼ぶと、初対面とは思えないぐらい仲良く挨拶をしている。

 やはり幻獣同士だとそういうフィーリングとかあるのかな?

 でもネウラは通常モンスターだけど、特に疎外感とかはないからたまたまかな?


「リン、友人と話すのはいいがそろそろポータルへ向かうぞ」

「あっ団長さん。リンがお世話になっています」

「いや、君の友人はなかなか有能だからな。逆にこちらが世話になっている」


 おー団長さんがリンを褒めてる。

 するとエクレールさんもこちらに来た。


「こんばんわ、アリスさん」

「こんばんわ、エクレールさん。リンがお世話になっています」

「いえいえ、リンさんが来てくれたおかげで私も負担が減って一安心ですから。ギルドの他の人たちは事務仕事関係がからっきしだから大変だったのよ。ギルドのお金の管理に皆の予定の管理とかも私が全部まとめていたのよ」

「あはは…」


 まぁ大きなギルドとなると、人員の把握や金銭面の管理とかしないといけないからね。

 リンが入ったおかげでそういう負担が減ったって感じかな?

 てか入ってそこまで経ってないのに任されるリンもリンだよね…。

 エクレールさんももう少しそういう人材をスカウトしましょうよ…。


「だからアリスさんも入ってくれれば、きっともう少し楽になりそうなのよね」

「えっ?」

「リンさんが自慢してましたよ? アリスさんがいれば数字関係の管理は簡略化できるって」

「何の話ですかっ!?」

「高校時代にパソコンの授業でそういうのがあった時に、何やら簡略化の計算式を作ったらしいじゃないですか。結構式が面倒くさいから一つずつ入力しないといけないやつを、すぐ終わらせたってリンさんが言ってましたよ」

「あっあれは…楽したいがために少し勉強しただけで…」


 毎回毎回全部の式を打ち込むのが嫌だったから、頑張って簡略化の方法を勉強して事前に式を作ってただけなんだよね…。

 なので、この世界じゃたぶん全部データ打ち込みだからそういう簡略式は使えない…はず…?


「なのでこの機会にどうですか? アリスさんギルドに入ってませんよね?」

「せっかくのお誘いですけど…」

「まぁわかっていましたけど、残念です。ですが、気が変わったらいつでも連絡してくださいね」

「はい…」


 てか銀翼の人たちが来たんだからレイドの事聞かないと。


「それで、レイド戦はいつ頃になるんですか?」

「それについては私が答えよう。事が事のためあまり時間はかけないつもりで、予定としては明日の夜八時にこの街に集合という形で集まってもらうように掲示板に書き込みはしている。ギルドの方では既に参加者の把握は終了しており、4PT半―つまり三十二名が参加予定だ。どうしても仕事などで参加できない者が意外に多くて二パーティ程減ってしまった」


 つまり最大で6PT程だから…四十二人ちょいいるってことかぁ…。

 結構多いなぁ…。


「そして今回、ショーゴたちのPTが参加してくれるため、残りは十二名程の募集となっている」

「あっあのっ!」

「どうかしたか?」

「今回、私も参加させてもらっていいですか?」

「あぁ、構わない。幸い、呼びかけに応じて時間に間に合う者が八名程だ。空きはあるから一人分埋まった事を書き込んでおこう」

「ありがとうございますっ!」

「じゃあアリスさんはショーゴさんたちのPTということでいいですか?」

「大丈夫ですっ!」


 むしろ他のPTに入れられたらうまく連携が出来る気がしない…。

 てか、知り合いですら合わせれるのかどうかの問題が…。


「でもアリス大丈夫か? スキル構成的にレイドボスは辛くねえか?」

「ふっふっふ、そのために新技を手に入れてきました!」


 まぁまだちゃんと使える保証はないんだけどね。

 しかし、私の発言に周りの人は驚いた。


「あの対人特化のアリスがレイドボスに通じる新技を手に入れただと…!?」

「アリスが持っている中で【刀】と【AGI】以外に使えそうなスキルあったかしら…」

「確かアリスさん一撃必殺型ですから、そういうのが通用しないモンスターは苦手だったような…」

「むしろ味方を妨害するようなスキルが多かった気がするんだが…」

「さすがに味方に迷惑が掛かるようなスキルは勘弁してほしいのだが…」


 よし、皆が私をどういう人って思っているのかよく分かった。とりあえずそこに倣って正座ね。

 てか団長さんまで…。酷い…。

 その後エクレールさんに慰めてもらい、なんとかへこみかけた精神を持ち直した。


 そして団長さんとリンはエクレールさんに叱られていた。

 私もショーゴとガウルとクルルを叱っておいた。

 珍しくシュウが何も言わないと思ったら、半分寝落ちしかけていただけで話を聞いていなかったからだ。

 レオーネに関しては、展開が予想できたため何も言わなかったそうだ。


 とまぁ、レイド戦への参加が決まったため、ログアウトする前に軽い打ち合わせを行った。

 もちろんのことながら、盾はガウルのショーゴ、シュウ、私が前衛、後衛にレオーネとクルルの形となる。

 クルルも今回は攻撃よりサポートと回復に回るとのことで、実質的な火力は私を含めて四人となる。


 打ち合わせが終わった後は、各自アイテム補充と武器防具のメンテナンスだ。

 私の場合は、今回MPを特に使いそうなのでMPポーションを多めに購入しておく。

 あとは明日の集合時間に遅刻しないように注意しないと…。

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