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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
76/370

希少性と蜂蜜

「ということで吹き飛ばされたんですよ」

「それでよくアリスちゃん生きてたにゃ…」

「まぁそこは色々ありまして…」


 私はリーネさんのお店へ戻って、調和の森で起こった事を話している。

 あの後、突風に吹き飛ばされた私はクラー湖まで戻されていた。本来あの勢いで地面に衝突すれば即死だっただろう。

 しかし運がいいことに、レヴィが出てきて【紺碧魔法】で逆噴射して勢いを削いでくれたのだ。

 おかげで勢いが弱くなり、クラー湖に突っ込んでもHPが残ってくれた。

 その後はレヴィが私を陸まで運んでくれたので何とかなった。


「それにしても調和の森…ねぇ…」

「はい。入るためには資格が必要ということなんですが…」

「でもアリスちゃんはその資格の欠片を持っているというところにゃ…」


 その資格っていうのがねぇ…。

 少なくても調和の森って言うからには、それに関係したスキルってことなんだろうけど…。

 今私が持っている中でそれに該当しそうなのは、【大地魔法】【採取士】【山彦】【成長促進】【急激成長】【栽培】って辺りだろうけどなぁ…。

 これのどれが欠片に当たるのかが…。うーむ…。まったくわからない…。


「まぁ今はそのことは置いとくにゃ。そ・れ・よ・り、手に入ったから来たのかにゃ?」

「はい、手に入りましたよ」


 私がそう言うと、リーネさんはわくわくした様子で机の上に出すイカグモの糸を見つめる。


「合計十四個です」

「うんうん。じゃあ約束通り一つ5000Gの合計70000Gにゃ」


 リーネさんは私にトレードを申請し、料金が金額通りになったのを確認してイカグモの糸と交換した。

 よしよし、これで家の資金が少しは溜まった!


「それと、この泳げるようになる素材の情報は秘匿しとくにゃ」

「何でですか?」

「第一に乱獲を防ぐためにゃ。イカグモっていうレアなモンスターがいなくなるとこの素材を手に入れることが不可能になってしまうにゃ」

「確かにそうなると困りますね」

「第二にアリスちゃんの優位性が損なわれてしまう点にゃ。だからこの素材の情報は他の人が見つけてからにするのにゃ」

「優位性ですか」

「そうにゃ。少なくてもアリスちゃんが苦労して手に入れてきた素材にゃ。しかも、誰でも取れるような素材とは思えないにゃ。だからしばらくはアリスちゃんの独占商売という形にするにゃ。

 もちろん、私が私利私欲で相場を操作するようにゃら、アリスちゃんの信用できる人に素材の入手先を教えて構わないにゃ」


 ん? リーネさんが相場を操作したら他の人に素材の入手方法を教える? どういうこと?


「たぶんアリスちゃん分かってないと思うから説明するにゃ。現状イカグモの糸は希少な素材にゃ。その分価値も高くなるといったことが起こるにゃ。

 そうなると、希少性という点からその素材がRMT(リアルマネートレード)の対象になる可能性もあるにゃ。生産職としては、ゲーム内で解決できることをRMTで解決するようなことは望まないにゃ。

 だからそういうのと判断したら入手方法を広めてほしいということにゃ」


 んー…生産職も難しいんだねぇ…。


「まぁ提供先は内緒にしておくから大丈夫にゃ。それと、正直なところ安定供給としてはどんな感じかにゃ?」

「んー…イカグモさんたちの気分にもよりますからなんとも言えませんが、現実世界の一日で十個程度貰えたらいい方って思ったほうがいいかもしれません」

「イカグモの気分かにゃ?」

「はい」


 まぁ毎日来られて餌あげる代わりに糸ちょうだい、って言ってるようなもんだもんね。

 最初はよくても何度も繰り返されると嫌になっちゃうだろうし、ある程度期間は置いたほうがいいよね。


「よくわからにゃいけど、そこはアリスちゃんに任せるにゃ。そういえば新しい街が見つかった事知ってるかにゃ?」

「見つかったんですか?」


 へー、いつの間に見つかったんだろう。


「見つけたのはギルド、御庭番衆にゃ。大体わかると思うけど、忍者にゃ」

「お、おう…?」


 御庭番って江戸時代の諜報機関だったっけ? 確かに調べ事と言えばそういった隠密部隊だけど…。


「まぁ忍者だから、AGIが高いのにゃ。だから皆で朝から夜に渡って街道を走り続けたらしいにゃ。とは言っても、やっぱりモンスターとの遭遇があったから一日ちょいは掛かったらしいにゃ」

「馬車を使わなかったんですか?」

「まぁあれぐらいになると、自分たちで走る方が早く着くらしいにゃ…」

「あらら…」


 馬車運送業の人可哀想に…。せっかくの儲け話が…。

 それにしても、足の速い人たちで一日ちょいの距離なんだ。大体数十キロなのかな?

 …あれ? 今の私ってクラー湖行くのにのんびり五時間、急いで二、三時間くらいで着くけど、確かあれで十キロぐらいなかったっけ…?

 やっぱり戦闘しないで進めるっていうのが大きいのかな?


「それで、新しい街の場所はどこら辺なんですか?」

「えーっと掲示板に載せてもらったので…ここかにゃ?」


 リーネさんは地図を出して、イジャードから西北西三十キロ付近の位置を指で示した。

 辺りの地形を見てみると、南側に森が広がっているのが見えた。

 って、あれ?

 確か私がエアストから西にクラー湖へ向かった距離的に、大体十キロ地点らへんがクラー湖な気がする。地図では森になってるけど。

 となると…クラー湖から北西に向かえば新しい街に着くんじゃ…?

 ってことは、下手にイジャードから街道に沿って行くより、森突っ切ったほうが安全だし近いんじゃ?


「リーネさん。あと森側にはどんなモンスターがいたかわかりますか?」

「掲示板見ればわかると思うけど、一応蜂が増えたらしいにゃ」


 蜂ですと!?

 ということはハチミツが作れるということでは!?

 そうすれば…うへへー! ハッチミツ! ハッチミツ!

 それにハチミツならネウラも食べれるよね。それに栄養価もあるはずだから【成長】スキルも少しは上がりやすくなるかも。


 あれ? ハチミツっていいこと尽くしじゃ?

 待っててねハチミツ! すぐ取りに行ってあげるから!


「なんだかアリスちゃんが別方向でやる気を出した気がするにゃ…」


 何をおっしゃいますか! ハチミツが取れれば甘いスイーツが作れるようになるのですよ! これでテンションが上がらなくて何で上がるというのですか!

 ということで、明日に備えてログアウトして早めに寝ることにしよう!

明日から三連休ですが皆さんどのように過ごすのでしょうか(台風情報を見ながら)

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― 新着の感想 ―
[一言] 欠片っていうぐらいだから普通にドロップ系かなんかのアイテム類でしょ(笑)
2020/02/11 18:08 退会済み
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