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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
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キャンプイベント⑪

 あれから狩りを行い、【水魔法】のスキル上げに勤めていた。しかし、戻るのが遅くなって料理倶楽部の人たちを待たせてしまうのは良くないと考え、少し早めに切り上げた。


 と言っても、ただ苗木を渡してさようならっていうのもなんだか失礼な気もするので、簡単な野菜スープを用意しておく。コンソメとかはないからトマトをベースにして味付けを行う。あとは適当にちょちょいっとね。


 すると、煮込んでいる最中に料理倶楽部の人たちが来たので試食も兼ねて食べてもらった。それで試食してもらったんだけど、皆さん何故か「お嫁さんに欲しい…」とかよくわからないことを言ってた。私ぐらいの料理できる人なんてたくさんいるのにね。変なの。


 とりあえず食べ終えたところで、お昼に貰った苗木を料理倶楽部の人たちに渡した。私よりも人数がいて管理が出来る人たちの方がいいよね。一応次の日に、南東へ植物系のモンスターを探しに行く事を伝えた。そこでもし、他の苗木が手に入るようならば自分たちも行くから連絡してくれとのことだ。


 そうして彼らは去って行き、入れ替わるようにショーゴたちが帰ってきた。


「あー腹減ったー」

「確かに空腹度がまずいな…」

「あら、いい匂いね~」

「今日はスープですか?」

「アリスちゃんまじ良妻!」

「アリスはあげない」


 いや、良妻って…私まだ結婚してないし…。てかルカ、あげないってどういうこと?


「それで明日南東に行こうと思ってる」

「まぁいいんじゃね? 別にモンスターはそこまで強くないし。遺跡の奥以外」

「ついてく?」

「ルカは自分のやりたいことやってていいよ。別にそんなに苦戦しないと思うし」


 まぁ第二陣でも倒せるような敵になってるだろうし、大丈夫でしょう。苗木手に入るといいなー。



 ターゲットが植物系のモンスターなので、昼間より朝の方がたぶん活動も遅いという判断で、私は朝早くに起きた。このまま向かいたいのは山々なんだけど、そうすると他のメンバーが腹ペコになってしまう。なので、朝食と軽食を作ってから出発とする。やっぱり誰かに【料理】スキルを取らせるべきなのではないだろうか…。


 朝の森ということで、ほとんど活動しているような音は聞こえない。鳴るのは私が木を蹴って小さく響く音と、小鳥や虫が鳴く声ぐらいだ。それに、日がまだ昇りきってないためそこまで暑くないし、森の中をすり抜けてくる風が涼しい。

 といっても、あんまりのんびり探していても日が昇りきってしまうので少し急いで探すとしよう。


 それにしても…まったく見つからない…。一体どこにいるんだろう…? とりあえず一回地面に降りてみようかな。

 そう思って私は木の上から降りて周りを見渡す。【感知】スキルにも特に反応ないし…。やっぱりいないのかな?


 そう思って再度木の上に移動しようと足に力を入れようとした瞬間、背後の方で何かが地面をするように動く音が聞こえた。

 敵かと思い後ろを向くが、特にモンスターの姿は見えなかった。気のせいかと思い、再度正面を向くとまた動くような音が聞こえた。


 しかし、後ろを振り返っても何もいない。それに、【感知】スキルの反応もない。

 あるのは草むらに少し小さめの木に大木だ。しかし、そんなところに隠れているなら私の【感知】スキルに反応があるはず。実際ネウラにも反応したのだ。ならば草むらに隠れていても反応するはず。

 ということは別の何かがいる…? 隠密性に優れたモンスターとなると…幽霊系のモンスターとあとは…擬態が出来るモンスター…?


 確かに葉に擬態したり、背景の色と同じになって身を隠すといったカメレオンみたいなのとか。となると、やっぱり今近くには、そういった擬態が出来るモンスターがいるんだよね…? となると、武器は抜いといたほうがいいよね。


 そう思い私が脇差を抜くと、擬態を見破られたのかと勘違いしたのか、少し小さめの木が動き出した。そして擬態をやめたのか、木の表面に目と口みたいなのが出てきた。


「これって…トレントってやつかな…?」


 まさか木自体がモンスターとは読んでなかった。でもまだ小さな木なので、移動用の足場には使おうとはしないため、踏んだら敵で捕まったということにはならないだろう。あくまで他のトレントが同じ大きさならばの前提だけど。


「ヴォォォォ!」


 トレントが叫ぶと、自身から生えている太めの枝を操りこちらへ振ってくる。さすがに木が相手では私の【切断】スキルも反応しないようだ。ということは、私自身の実力で枝を切るしかないということだ。

 私は枝を避けつつ、相手の動きを見極める。幸い腕として使えるのは両側に生えている二本の枝だけのようだ。

 しかし、いつその枝を操って小枝が飛び出してくるかわからない。なので牽制として、遠距離攻撃を仕掛ける。


「『アクアショット!』」


 私が唱えると、水弾がトレントに向かっていく。しかし、トレントは片方の枝を防御として射線上に置く。さすがに弾道を操作できるわけではないので、そのまま水弾はトレントの片方の腕に当たる。

 しかし、HPゲージはあまり減少していないので、当てるとしたらやはり本体となる。


「ヴォォォォォォ!」


 攻撃されて怒ったのか、トレントは攻撃用の枝を更に振り回す。攻撃が二本の枝から一本の枝になったため、避けるのは簡単になった。

 しかし、トレントもそれを分かっているのか、枝から小枝を私に向けて矢のように飛ばしてきた。


「っ! 『アースシールド!』」


 私は避けきれないと判断し、咄嗟に土壁を作る。しかし、その防御に回った時に、トレントは防御用の枝をこっそり私に近寄らせ、動きが止まった私の足に絡み付かせる。


「やばっ!?」


 まずいと思って私はその枝を切断しようと思って脇差を振ろうとする。するとトレントは、私の足を掴んだ枝を振り、私を振り回す。その衝撃で私は脇差を手放してしまう。

 それを見てトレントはニタァっと笑みを浮かべ、私を後方へぶん投げた。


「きゃぁっ!?」


 ぶん投げられた方向は大木側。このままだと大木に当たった衝撃で打撲状態になるかもしれない。私はイカグモの糸を使って勢いをなんとか殺せた。


「うぐっ!?」


 打撲状態にはならなかったとはいえ、ダメージを食らった事は確かだ。

 トレントは自分が優勢と判断しているのか、ニタァっと笑みを浮かべたままだ。

 確かに今私の手元には武器はない。圧倒的にトレントが有利だ。でも、私が脇差しか武器がなければの話だけどね。


「それにしても、草木系のモンスターにここまで相性悪いとはねぇ…。ちょっと舐めてたかな?」

「ヴォォォォォ!」

「まぁ、良い教訓にはなったかな?」


 せっかくだし、試合で使わなかった技でも使おうかな。そう思って私は右足を少し上げる。

 その姿を見て、トレントは不思議そうな表情を浮かべる。

 そして私はその魔法を唱える。


「【大地・重力複合魔法】『ガイアショット!』」


 その瞬間、私の右足は光を帯びる。そしてその光った足を地面に思いっきり踏み下ろす。

 そしてトレントのいる場所までその光が伸びていき、次の瞬間、トレントが打ち上げられた。


 この複合魔法の効果は対象を打ち上げる魔法だ。私の足を引き金として、対象まで伸びる光が導火線。そして、打ち上げられる対象が弾丸という形だ。打ち上げる対象には一時的に重力が反転して浮かびやすくなる。効果時間は大地と重力といった効果が残るタイプの複合魔法というだけあって、一瞬ではなく十秒程対象を打ち上げようとその場に効果が残っている。欠点としては、導火線となる光が到達するまで相手が地面に接触していないといけないという点だ。

 そのため、常に動いているような相手には有効な魔法ではない。しかし今回は、地面に根を張っているトレントだ。本体の動きとしては鈍いため、逃げることはできない。


 トレントは自分が打ち上げられないように、両方の枝を地面に突き刺す。

 範囲外ならば魔法の効果が及ばないためだ。しかし、今それをするのは決定的なミスである。


「そうやったらもう私の攻撃防げないよね?」

「ヴォォォォォ!」

「『ダークランス!』」


 私は無防備なトレントの胴体に向かって、【漆黒魔法】の中でも威力のあるダークランスを複数放つ。そして、トレントは漆黒の槍を防ぐ事が出来ず、複数の槍で串刺しにされる。それと同時にガイアショットの効果が切れて光が消えた。

 魔法の効果が無くなったトレントは、大きな音を立てて地面に落ち、力なくその場に倒れた。

対人でこの複合魔法を使った場合:打ち上げる⇒空中に浮かべなかったらそのまま落下⇒地面に激突⇒地面に激突による落下死(高さにもよるが)

となります。

よかったねランクス君使われなくて。(当初の予定では落とし穴が浮かばなかったらこうなってました)

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