キャンプイベント⑥
さてと、せっかく川に来たことだし魚でも獲って戻るとしよう。さっきまではネウラの事もあって潜れるぐらい深い方に行けなかったけど、今はネウラが寝てるからついてくる心配はない。一応レヴィにはネウラを見てもらってるけどね。
んー…深い方もそこまで流れは速くないね。十分私でも泳げるぐらいだ。っと、そんなことより魚を見つけないと…。
私はキョロキョロして辺りを見渡すと、群れで川の中を泳いでいるのを見つけた。ここで脇差を使って斬ってしまうと、魚が即死してしまうどころか内臓とかを傷つけかねないので、手で捕まえてぱっと【収納】の中に仕舞うことにする。こうすれば【収納】の中では時間が経たないので、新鮮な魚のまま解体することができる。ということで、獲って獲って獲りまくる!
よっと! これで十六匹目っと。私は一旦息継ぎのために川の中から顔を出す。そして息継ぎを完了させて再度潜る。魚はこれぐらいでいいと思うので、今度は川の中の探索をする。もしかしたら海藻や貝類が手に入るかもしれないからである。
案の定海藻や貝を見つけたので回収する。すると、岩と岩の間に薄く光る物が見えた。
「(なんだろあれ?)」
今の私には警戒心よりも好奇心が強かったため、何も警戒することなく岩の方へ近づいた。すると、岩と岩の間に青色の丸い水晶玉みたいなのが挟まっていた。
私はそれを両手で掴んで思いっきり引っ張る。
「(ふぬぬー!)」
あまりに力を入れすぎたせいか、口から空気が漏れて少し苦しくなる。だがここで負けてはいられない。
私は口から空気が漏れるのも構わず、思いっきり引っ張る。すると青い水晶玉は、岩と岩の間からするっと抜けて私も勢いよく後ろへ流される。
これを鑑定しようかと思ったが、流石に空気が漏れすぎたため一旦息継ぎも兼ねてネウラたちのところへ戻ることとした。
「ぷはぁー」
「―!」
私が川から顔を出すと、ネウラがレヴィに乗って私の方に向かってきていた。どうやら置いてかれたと思ってレヴィに乗せてもらったようだ。
「レヴィ、私も戻るからそのままUターンして戻って」
「キュゥ!」
「―!」
まったく、ネウラは仕方ない子だなぁ。でもそこが可愛いけどね。
私が川から上がると、レヴィから降りたネウラが飛びついてきた。そんなネウラの頭を私は優しく撫でてあげる。
「ごめんね、ちょっと川の中潜ってたの」
「―!」
ネウラは置いてかれた事に腹を立てたのか、小さな腕でぽこぽこと私を叩く。まぁしばらく叩かれてるとしよう。置いていったのは確かだもんね。
しばらくすると機嫌も直ったのか、ネウラは私の膝の上に座って身体を私に預ける。やっぱり和むなぁ…。
っと、ネウラの事で忘れてた。さっき拾った水晶玉を鑑定しないと。
私が先程手に入れた水晶玉を実体化すると、急にネウラがレヴィの方に逃げて行った。
「ネウラ? どうしたの?」
「―!」
「キュゥ!」
反対にレヴィはこの水晶玉を実体化した途端、急に興奮しだした。一体これはなんだろう?
そう思ってこの水晶玉を鑑定してみる。
ペット用初級スキル取得玉(青)【消耗品】
使用回数:1回
ペットに対してスキル取得が行える。玉の色によって使えるペットが異なる。各ペットに対して各級毎に一回ずつしか使えない。
……ふぁっ!? 何なのこれ!? ペットのスキル増やせるってどういうこと!?
私が唖然としていると、レヴィがスキル取得玉に向かって飛びついて来た。そしてそのままレヴィはそれを丸呑みしてしまう。
「あっ!? レヴィ! 何してるの!」
レヴィは美味しそうにスキル取得玉を飲み込んでいる。
もう…ちゃんと調べないといけないのに…。
―INFO―
レヴィがペット用初級スキル取得玉(青)を取り込んだため、スキルを取得できるようになりました。
いきなりインフォが鳴ったから何だと思ったら…あれって取り込んだの!? どう見ても丸呑みして食べてたよね!? でもレヴィの様子に異常はない。となると、本当にあの玉はレヴィに対して有益な物だったってことなのかな? とはいえ、一応レヴィのステータスを見てみよう…。
名前:レヴィ【封印状態】
―ステータス―
【牙】【封印中】【紺碧魔法】【紅蓮魔法】【物理軽減(弱体化)】【封印中】【偽りの仮面】【隠蔽(弱体化)】【水術】【環境適応】【MP上昇+(弱体化)】【自動回復+】【封印中】【空き】
特殊スキル
【体型変化】【封印中】
うん。やっぱり何度見てもこの性能は酷いと思う。これに更にスキルが増えるっておいおい…。とはいえ、何が取得できるのかを確認せねば…。
えーっと…ステータス上昇系に各種初期魔法…それにサブスキル…ってこれ、初期に取れるやつばっかりじゃん。あー…そういえばあの玉も初級ってあったもんね…。
道理でイベントで手に入れられるはずだよ。とはいえ、スキルが増えたのはいいとしてレヴィは何が欲しいかな?
「レヴィ、新しいスキル何が欲しい?」
「キュゥ…」
まぁレヴィも聞かれても困るよね。とは言っても、攻撃系に防御系、更に環境系も揃ってるレヴィからしたら他の手札は何かいるかなぁ? レヴィが得意なのは水中戦だし、これ以外で取るとしても初級で使えそうなのはないしなぁ…。
となると、素のステータスを上げる意味でステータス系かな? たぶんHPについては膨大だろうからいらないとして、INTかATKかな?
「レヴィ、取ろうと思ってるのはINT上昇かATK上昇なんだけど、どっちがいい? 右手がINT、左手がATKね。どっちも嫌なら首振ってね?」
「キュゥ…」
レヴィは首を左右に振りながら少し考え、私の左手に顔を寄せた。
「レヴィ、別に今すぐ決めなきゃいけないことじゃないし、悩んでるならまだ取らなくてもいいんだよ?」
「キュゥ!」
レヴィが私に向かって催促するように鳴き声を上げる。こういった風に鳴くってことはレヴィも納得していることなんだろう。私はその意志を尊重する。
私はレヴィの空きスキルに【ATK上昇】を選ぶ。
名前:レヴィ【封印状態】
―ステータス―
【牙】【封印中】【紺碧魔法】【紅蓮魔法】【物理軽減(弱体化)】【封印中】【偽りの仮面】【隠蔽(弱体化)】【水術】【環境適応】【MP上昇+(弱体化)】【自動回復+】【封印中】【ATK上昇(弱体化)】
特殊スキル
【体型変化】【封印中】
今取ったばかりの【ATK上昇】に弱体化が付いたということは、ユニークペットの場合はスキルレベルがないためこういった形で補正が入るんだろう。となると、中級と上級では【封印中】になる場合もあるってことかな? それはそれで新しくスキルを取った意味があんまり…。
それにしても、ネウラがあんなに嫌がったってことは、自分に合うスキル取得玉じゃないと拒否反応みたいなのが起こるってことかな? それはそれで確認しやすいけど、黒花みたいな表情が出ないタイプだとどうなるんだろう…? 少し見てみたいかも…。
っと、それはともかく、レヴィだけっていうのも贔屓みたいだからネウラ用のも探さないといけないなぁ。
ということで、再度潜って探してこよう。後はネウラが怒らないように説得しないと…。
結果的には見つからなかった。一時間ぐらい川に潜って探してみたけど、それらしき玉は見当たらなかった。これが物欲センサーというものなのか…。恐るべきセンサーだ…。でもまだ5日あるし、その間に見つかればいいよね。
さてと、そろそろいい時間だし拠点に戻るとしましょうかね。ショーゴやルカたちは充実した二日目を送れたのかな? 帰ってきたら聞いてみよっと。
私はレヴィとネウラを召喚石に戻して拠点へと向かった。
やっと投稿から二ヶ月か…(感慨)




