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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
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キャンプイベント⑤

 あの後、海花は私にこの後の予定を聞いてきたが、特に予定はないけど西の川でペットたち遊ばせたいという旨を伝えると、残念そうにしていた。

 どうやら一緒に冒険したかったそうだ。でも私にはこの子たちと遊ぶという使命がある。それに東の遺跡でもしかしたら、機械人形(オートマタ)の材料拾えるかもしれないからいいじゃん。

 ということで、海花たちは再度東の遺跡に挑戦するらしい。がんばれー。

 さてと、私も西の川に向かうとしますか。


 やっぱり歩いてて思うけど、調合とかの材料になりそうな野草が一杯見える。薬草に毒草、それに麻痺草に混乱草とかいうのも生えてる。つまり適当に取って食べたりすると、状態異常とかになったりするのか…。

 するとネウラが、そこら辺に生えていた草をもしゃもしゃと食べていた。


「って! ネウラ! そこら辺の草食べちゃダメでしょっ! ぺっしなさい!」

「―?」


 しかし、ネウラの様子は特に変化がなく、美味しそうにその草を食べ終える。でもその草…調べたら毒草だったんだけど…。

 正直に言うと、ネウラの食べ物がちゃんとわかっていない。少なくとも、水と土の養分があれば成長はするようだ。だが、植物系モンスターだけあって、たまには植物を食べたいらしい。なので、そういう時は薬草を与えている。

 しかし、今の様子を見ている限り、薬草よりも毒草の方を美味しそうに食べているように見えた。確かにアルラウネはマンドレイクと一緒にされる場合があって、マンドレイクには神経毒があるとか言われているけど…。

 とはいえ、自分のペットに毒物を食わせるのはどうも気が引ける。でも、ネウラが美味しそうにしているなら仕方ないかな…?


 しばらく森を歩いていると、猪を見つけた。そういえば猪って食べたことなかったな…。ついじゅるりと涎を垂らしそうになったが、ここは気を引き締めないといけない。

 猪もこちらに気付いたのか、後ろ脚を蹴りあげてこちらに突進しようとしてくる。とはいえ、今ペットを出しているこの状況ではあまり激しい動きはできない。ということで簡単な対処法をしよう。


「『地形操作―(ホール)!』」


 私は、近づいて来る猪の進行上に落とし穴を作った。猪は勢いを削ぐ事が出来ずに、落とし穴へ落下する。

 猪は逆立ちのような状態で落とし穴に落ちていた。これは好都合だ。


「『グラビティエリア!』」


 私は周囲に重力を掛ける。何故今重力を掛けたかと言えば、猪の状態がちょうどよかったからだ。今猪は逆立ちのような状態で、首だけで身体を支えているような形だ。ということは、重力で首をへし折れば後は勝手に呼吸が出来なくなるとかそんな感じで倒せるだろう、ということだ。

 案の定猪は首の骨が折れたのか、ピクピクと身体を痙攣させてゲージがどんどん減少していっている。完全にHPが無くなったので、魔法を解除して穴に下りて猪を回収する。うへへー、これで今日は猪のお肉が食えるー。


 そんなこんなでようやく川に着いたのだが、プレイヤーも結構いたのでレヴィとネウラを連れている私は少し目立ってしまった。とはいえ、私があまり人付き合いが良くないと思われているのか、話しかけてくる人はいなかったのは幸いだろうか。

 だが、川に入るのにこの着物のままでは少し動きにくい。なので私はこの着物を脱いで、耐水性のイカグモの糸製Tシャツとホットパンツの姿になる。

 よし、これで準備は万端だ。いざ、川へ。

 川の流れはゆったりとしているため、流されるような心配はしなくてよさそうだ。まずは岩場に座って足を少し浸ける。


「んっ…冷たい」


 川の水はひんやりとしているが、この暑い日差しの中ではちょうどいい温度だ。

 なんか周りの男性プレイヤーがこちらを見ているが、やっぱり私が連れているペットが気になるのだろうか? まぁ、そんなことを気にしていたら遊べないので、気にしないことにしよう。

 まぁレヴィはさっそく川の中に入って涼しんでいる。ネウラは流石にまだ小さいので放っておくとどこかに流されてしまうので、私が腰まで浸かれるぐらいの浅瀬に座り込んでネウラと一緒に戯れる。


「―!」


 ネウラも楽しんでくれているのか、小さい腕で水をぱしゃぱしゃとしている。まぁ私の顔や服に水が跳ねてるんだけどね。

 しばらく遊んでいると、疲れたのかネウラが眠ってしまった。ふふっ、可愛いなぁ。ネウラも成長したら喋ってくれるのかな? そしたら私の事なんて呼んでくれるのかな? お姉ちゃんかな? お母さんかな? 少し楽しみかも。


「ふぁーぁ…」


 私も眠くなってきちゃった…。少し休憩…。

 私はネウラを抱えたまま岩場に寄りかかって目を閉じる。



 ---------------------------------------------------------------



「んっ…」


 なんだろう…何か柔らかい物が下に引かれているような…。

 私は目を開けてみるが、目の前が真っ暗だった。どういうこと?


「あらぁ~アリス起きたの~?」


 この声はリンだけど…上から聞こえているということは…。


「私って今リンの膝の上?」

「正解よ~」


 私は向きを変えてリンを見上げる。とりあえず、相変わらずリンの胸に付いている二つのメロンが揺れる。くそぅ…。


「それよりアリス~二匹もペット捕まえてたなんて知らなかったわよ~」


 あぁ、抱えていたネウラはともかくレヴィも見たんだ。


「まぁ色々あってねー」

「私もペット欲しいわねぇ~」

「リンはどういうペット欲しいの?」

「そうね~とりあえず言うこと聞いてくれる子がいいかしらね~」


 確かに、契約しても言うこと聞いてくれなかったら困るもんね。となると大人しい系のペットかぁ…。


「このイベント中に見つかるといいね」

「そうね~」


 まぁそれはともかく、今は聞かなくちゃいけないことがある。


「なんで私はリンの膝の上にいるの? てかなんでリンがここにいるの?」


 川の音が聞こえるからまだ川の近くにいるのだろう。そもそも何故私の居場所がわかった。


「ふふっ~それは秘密よ~」


 私は身体を起こしてリンの方を見る。リンはニコニコしたまま特に表情を変えない。この状態のリンから聞くのは至難の技だ…。でも、今のリンならば効く手はある。


「リン、銀翼の人たちはどうしたの?」


 ビクンッとリンが反応する。こういう反応をするということは、おそらく単独行動なのだろう。もうひと押しだ。


「もし正直に答えるなら、団長さんにリンが私のところに来たのは助けを求めたからっていう、言い訳をしてあげてもいいけどなぁー」


 リンの目が泳いできた。あとは時間の問題かな?

 しばらくすると、リンが降参してきて事の経緯を説明してくれる。どうやら、掲示板で私が川で着物を脱いで遊んでいるという情報が流れてきて、それを聞いて飛んできたということらしい。しかも、東の遺跡を攻略するための移動中に来たらしい。これはちゃんと怒られた方がいいんじゃないだろうか。


「リン」

「なっ何かしら~…」

「ちゃんと団長さんたちに謝ろう」

「でっでも~…アリスが心配だったから来たわけで~…」

「あ・や・ま・ろ・う・ね?」

「…はい…」


 もう私は大丈夫だから、早く団長さんたちのところに戻るように伝えると、しょんぼりしながらリンは飛び去って行った。まったく…幼馴染ながら困ったものだ…。

 それにしても、私が着物脱いだだけで掲示板に載るものなのかな? そこがいまいちわからないんだよね。

 まぁいいや。とりあえず今日は遊ぶぞぉー!

次は掲示板回になるかな?

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