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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
58/370

キャンプイベント③

「キュゥ!」

「―?」

「キュゥゥ!」

「―!」


 んー…。なんだか少し騒がしいなぁ…。てかこの声は…レヴィ…? 私いつの間に出したんだろう…?

 私はまだ覚醒していない脳を働かせて、その声がする方へ眼を向ける。まだ窓ガラスのない窓から見える月明りが随分と綺麗で、つい見惚れてしまう。

 そしてその窓から顔を覗かせる者が現れた。きっとレヴィだろう。


「レヴィ、早く戻って。皆に見つかっちゃうよ」

「―!」


 いつもとは違う声。一体なんだろうと思ってよく見てみると、そこにいたのはレヴィではあったが口に咥えているものがある。


「え…?」

「―!」


 そう。レヴィが口に咥えていたのは、人型の小型モンスターだった。というか頭からではなく、足から咥えていたのだ。そのせいで、人が足から丸呑みされているような映像が、寝起きの状態の私の目にダイレクトに映った。


「っ~~~~!?」


 咄嗟に口を押えて悲鳴を抑え込むが、びっくりしてベッドから落ちてしまう。


「いたっ!」


 するとレヴィが口で咥えていたモンスターを離し、そのモンスターが私のところへ飛んできた。


「―!」

「っ! …って…あれ…?」


 そのモンスターは私に襲い掛かる事なく、私のお腹辺りにスリスリと顔を擦りつけていた。幸い、この騒ぎに誰も気づかないほど熟睡してたのか、部屋に来る様子は見られなかった。

 私もスキルを暗視効果がある【猫の目】から派生した【梟の目】に入れ替えて、そのモンスターをよく見てみる。


「ってこの子…」

「―!」


 モンスターの正体は、森であった人型のモンスターだった。


「もしかして私を追ってきたの?」

「―!」


 頷いたっていうことはそういうことなのか…。でもここまで懐くとは…。そういえばあの時はこの子の事を調べてなかったし、ついでに調べておこうかな。

 私は【鑑定士】スキルを使ってこの子を調べる。



 名前:アルラウネ【幼体】

 ―ステータス―

【成長Lv1】【土魔法Lv1(弱体化)】【植物魔法Lv1(弱体化)】


【成長】スキル:スキルレベルが上がる事で身体が成長する。50Lvで成体となり、スキルが消え他のスキルが解放される。



 ほほう、アルラウネか。スキルにレベルがあるってことは通常モンスターなんだよね? でも弱体化が付いているって事は成長させてからが本番って感じかな?

 っと、まだ私がこの子をペットにすると決めたわけじゃないのに気が早かった。とはいえ…。


「―…?」


 そんなうるうるとした目はやめてほしい…。もう…。


「はぁ…。わかったよ、君は私がペットにする。いい?」

「―!!」


 幼体のアルラウネは嬉しそうに私にすりすりしてくる。っと、レヴィも呼ばないと。


「レヴィ」

「キュゥ?」

「これから一緒に行動するアルラウネの……ちょっと名前はまだ未定で。仲良くしてあげてね」

「―!」

「キュゥ!」


 そうだよ…名前決めないと…。アルラウネ…アルラ…アル…って女の子だからそれっぽい名前を…。えーっと…アウネ…ネウア…ラウネ…ネウラ…。

 うん。安直だけどネウラにしようかな。私はレヴィと楽しくしているネウラに声を掛ける。


「ちょっといいかな?」

「―?」

「あなたの名前決まったよ」

「―!」

「あなたの名前は『ネウラ』だよ。よろしくね、ネウラ」

「―!!」


 その瞬間、ネウラの身体が光に包まれ、その光が消えると緑色の宝石が私の手に収まっていた。



 ネウラの召喚石【非売品】

 契約者:アリス

 このアイテムは売ることが出来ず、また奪われる事も壊れる事もない。



 これで契約みたいなのは成立した感じだね。さてと。


「ネウラ、出ておいで」

「―!」


 私は再度、ネウラを呼び出す。


「じゃあ三人でもう一回寝よっか」

「キュウ!」

「―!」


 その後、二匹の召喚獣は私にしがみ付いたまま離れず、夜が更けていった。



 さて…朝食のために起きねば…。【料理】スキル持っているの私しかいないんだし…。ぐぬぉぉぉー…。

 私は重たい身体を起こしてリビングに向かう。っと、その前に私の二匹の召喚獣を仕舞っておかないと。

 ネウラは、昨日助けたら懐いて追ってきた、という言い分で納得するかもしれないけど、そうするとレヴィをどうするかという話になる。それでレヴィだけ出さないのも可哀想だもんね。ということでごめんね二人とも。


 私は二匹を召喚石に仕舞ってリビングに行く。とは言っても私もまだ【料理】スキルのレベルは高くないそこまで凝ったのは作れない。ということで朝ごはんはパンと簡単な野菜と肉を薄く切ってベーコンっぽい物にしようかな? 卵があったらよかったけど、見つかってないし…。

 ってしまった…。誰も起きてないから【水魔法】使える人がいない…。


「……」


 周りをキョロキョロしても誰もいない…。今の内にボウルとかに水を溜めれば…!


「レヴィ、起きてる?」

「キュゥゥ?」

「ちょっとそこに置いてあるボウルとかに水入れてくれる?」

「キュゥ!」


 レヴィは近くに置いてあるボウルに水を入れてくれている。よし! あとは誰も起きてこなければ…!


「…アリス、おはよう」

「……オハヨウ、ルカ」


 後ろから目を覚ましたルカの声が聞こえた。レヴィも咄嗟に動きを止めてるしきっと大丈夫…。


「ところで、その蛇何?」


 ですよねぇー!?


「えっと…その…この子は…」

「昨日捕まえたの?」

「うっうんーそうなんだー…」

「そう」


 あー! ついパニくってネウラのための言い訳がー! これだとネウラの説明どうすればいいの!? 同じ言い訳で通用するのかな!?


「まぁいいや、朝ごはん何?」

「えっと…パンと野菜にベーコンっぽく焼いた肉…」

「手伝う?」

「だっ大丈夫…」

「わかった」


 私はこの後どうしようかと考えながら料理を続け、レヴィもどうしようといった感じで私の肩に巻き付いたまま固まっていた。


「ねぇアリス」

「はっはい!」

「その蛇の名前は?」

「えっと…レヴィって名前だけど…」

「よろしく、レヴィ」

「キュッキュゥ…」

「あとそこにいるとアリスの邪魔だから、こっちおいで」


 レヴィは、ルカの提案にどうすればいいかわからず私の方を向くが、私は行っておいでと軽く身体を叩いてあげた。レヴィは恐る恐るルカに近づいて膝の上に乗った。


「蛇だから肌がぬめっとしているけど、少し硬い。それに私に粘膜が付いたりしない。面白い」


 まぁ肌が硬いのは元々がドラゴンだからねぇ…。もう…こっちはヒヤヒヤしちゃうよ…。


「アリス、この子さっき水出してたけど、水蛇なの?」

「うっううん、海蛇らしいよ」

「そうなんだ」


 ルカはレヴィをじーっと見つめる。レヴィ! お願いだから我慢して!

 そして更に厄介な事に、ぞろぞろと他のメンバーが起きてきた。


「おーっす」

「おはよう、皆」

「ちーっす」

「お姉さんまだ眠いわぁ~…」

「私もです…」

「おはよ」

「…オハヨウ…」


 皆がぞろぞろとリビングに入ってくると、ルカの膝の上にいるレヴィに驚愕する。


「うおっ!? なんだそりゃ!?」

「もっモンスターか!?」

「ルカちゃんから離れやがれ!」

「へっ蛇!?」

「爬虫類は苦手なんですー!」


 まぁ普通はこの反応だよね…。って!? そんな悠長にしてられない!


「皆っ! その蛇はっ!」

「アリスが昨日捕まえたペット、レヴィ。可愛い」

「「「「「は…?」」」」」

「あっ…」

「「「「「ペットォォォ!?」」」」」


 その後、朝食の場で質問攻めに合うことになりました。もう隠しててもめんどうなので、ネウラも一緒に出したら更に驚かれました。失敗した…失敗した…失敗した…失敗した…。


 朝食後は、私は海花を待つということでこの拠点で待機する形になり、ルカとショーゴたちはそれぞれ北と東に向かった。

 私は今どうしているかと言えば…。


「ネウラ、冷たい?」

「―!」

「そっか。レヴィもありがとね」

「キュゥ!」


 今二匹は、私が【大地魔法】で空けた深さ三十センチ、幅直径一メートル程の穴に水を溜めて簡易的なプールを作った。もちろんネウラが溺れないように、半分程土を埋めて浅くしている。私も足だけ入れて涼しんでいる。

 適度に水を吸いつつ日光を浴びてれば、ネウラの【成長】スキルも早く上がると思うし、どうせ海花が来るまではやることないからちょうどよかったかな?


 ということで私は簡易プールから足を出して、ルカが作ってくれたサマーベッドのようなベッドに少し横になる。そして私のペットたちが遊んでいる様子をここから見る。あー癒されるなぁ…。


 おっ海花からメッセージだ。もう少しで着くっていうし、結構早起きしたのかな? んー何か作ってあげとこうかなぁ…。ってことで、人数を教える様にメッセージを送った。まぁ十人分ぐらいパンでも作っておけばいいでしょ。

 私はベッドから起き上がり、二人に一言言う。


「じゃあ、私はちょっとパン作ってくるからレヴィはネウラの面倒見てあげてね」

「キュゥゥ!」

「―!」


 さてと、皆に作った普通のパンでいいよね。ハチミツとかも集めないといけないなぁ。掲示板とかにそういう情報載ってないかなぁ?



「お姉様ー!」


 おっ、海花たちが到着したようだ。さてさて、一体あの子は何を持ち込んだのでしょうか。

 私は、焼いたパンを持って海花たちのところへ向かう。肩にはレヴィと、レヴィに巻き付かれて支えられたネウラがぶらぶらとぶら下がっている。レヴィ…ネウラ落とさないでね…。


「お待たせ、海花。これパン焼いたんだ…けど…」

「あっお姉様…」

その子(・・・)…誰…?」


 海花の隣には、白いワンピースを着た小学生ぐらいの女の子がじっと立っていた。

弟子は師に似ると言うし…。


初叙々苑行ってきました。お肉美味しかったです。

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― 新着の感想 ―
[一言] この手の女がモフモフに走らないのは珍しいな(笑)
2020/02/11 16:53 退会済み
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