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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
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キャンプイベント①

体調戻ってきたので頑張ります。

「じゃあ、アリスどうする?」

「キャンプってことだから、まずは寝床と食料かな?」


 とはいえ、ルカは【伐採】と【木工】それに【道具】も持ってるので、拠点の作製はルカにお願いしようと思う。【鑑定】のある私は、森を散策して食べれそうな物を探すとしましょう。

 周りを見てみると、一部はもうどこかへ消えており、他の生産職系の人たちは次々に道具を出しているのが見えた。しかし、この場に残っている戦闘職に限ってはこういった場面での対応力不足が否めないのか、各生産職に声を掛けているのが見えた。


「こうなると生産職が有利なイベントってことなのかな?」

「生活に関して言えば。でも鍛冶とかは鉱石必要。そこにモンスターいたら倒せないかも」


 確かに、戦闘と生産を半々にしている人もいるが、あくまでサブとしてほとんど育てていない生産職も多いだろう。その場合はやっぱり物々交換とかなのかな?


「そういえばルカ、拠点はどんなのつくるの?」

「キャンプと言えばログハウス。だからまずはそこらへんの木を大量に伐採」

「となると窓ガラスの材料になりそうな、えーっと…」

「珪砂?」

「それはどこらへんありそうかな?」

「たぶん山脈辺り」

「じゃあそれの方角も探すためにちょっと周り見てくるね」


 私は苗木を邪魔にならないような場所に一つ植え、スキルを唱える。


「【急激成長】」


 私がスキルを唱えると苗木は一気に成長し、そのまま森を見渡せる程の大きさまで成長する。私はいつも通りに捕まって上まで登って辺りを見渡す。


 えーっと…、北に山…というか山脈に、西に川…かな? それで東に…ちょっと見えにくいけどあれは…遺跡かな? そんで南には…畑っぽい感じで広がってるなぁ。こうなると食料は南でルカが欲しいのが北になる感じなのか。そういえば私、採掘系持ってないから掘れないや…。

 私は木から降りてルカに報告する。


「どうだった?」

「北に山脈で、西に川、東に遺跡っぽい建物に南に畑とかあったよ」

「真逆なんだ」

「それに私、採掘系持ってなかった…」

「なら窓ガラスは後々追加」

「でもルカ一人で大丈夫?」


 さすがにルカ一人に家一つ作らせる訳にはいかないし…。


「だいじょぶ。手伝いがいる」

「手伝い?」


 そう思っていたのだが、ルカが後ろを向いて手招きをする。


「ごめんね~二人とも~」

「ご迷惑をおかけします…」

「レオーネ? クルル? どうしたの?」


 なんと、ルカが手招きしたのは二人だった。


「いやぁ…その…お恥ずかしながら私たち戦闘職はこういったキャンプに対応しておらず…」

「拠点も食料も作れないのよ~…」

「あー…」


 そういえばショーゴのPTって全員戦闘職だったし、生産系も取ってないって言ったような…。そもそも料理できる人だったら【料理】スキル取ってそうだしね…。


「あれ? そういえば他の三人は?」

「いますよ…そちらに…」


 私が振り向くと、そこには土下座した三人の姿が見えた。


「雨風凌げる小屋でいいです!」

「そちらの家が出来て暇な時で構わん!」

「どうかお慈悲をっ!」


 おいおい男衆よ…何故そこまで必死になっている…。男性たちってこういう時ってヒャッハーキャンプじゃーって喜んでるもんじゃないっけ…?

 詳しく話を聞いてみると、最初はそのつもりだったのだが、女性陣に何日滞在するのかを再確認させられ、七日間はやばいと察したのか、誰かに助けを求めたということらしい。

 確かに一日ぐらいなら野宿とかでもいいけど、一週間だもんね…。


「ルカ、どうするの?」

「働き次第」

「「「ありがとうございますっ!」」」


 まぁ六人いれば大丈夫でしょう。ってこれもしかして私が七人分の食料確保しろと? ちょっと待って。さすがに一人で七人分の食料用意ってどれぐらい取ってくればいいの!? 私の方が負担多くない!?

 ぐぬぬ…。誰かを連れていくにしても私のAGIに追いつけそうなのが…ショーゴかシュウぐらいか…。


「ちなみに食料確保についてきてくれる人。AGI高い人で。というか二人しかいないと思うけど」

「まぁ…」

「そうだよね…」

「それで、私のAGIぐらいで【採取】スキル持ってるのはどっち?」

「「……」」


 うん。期待はしてなかった。…頭が痛い…。これは本当に美味しい物探さないと割に合わない…。とりあえず二人を睨んでおく。二人は顔を逸らしたけど本当に人数分集められるのかなぁ…。流石にオーブンとかそういうのはないからなぁ…。

 もしかしたらモンスターがそういう設備系アイテム持ってたりするのかな? だとするとそこらへんを誰かに狩ってもらったほうがいいかな?


「じゃあ二人に指令を言い渡す」

「「はっはいっ!」」

「たぶん運営も戦闘職用に設備系アイテムを落とすモンスターを配置していると思うから、出来る限り集めて来て。もしオーブンとか釜戸とかそういうのが見つかったら連絡して」

「「イエス、マム!」」


 よし、これで少しは負担も減るだろう。あとは本当に見つかってくれることを祈るのみ…。一応満腹度は転移した時に何故かMAXになってたから、最悪夜まで食わなくても大丈夫だろう…。主に他のメンバーが…。


「ということで行動開始。ガウルは男一人だからしっかり力仕事手伝ってね」

「任せろ」

「よっしゃ行くぞシュウ!」

「寝床と飯のためだあぁぁぁ!」


 二人も爆走していったので心配はいらないだろう。さてと、私も南に移動っと。幸いマッピングは空白だったが、私たちが最初にいたこの地点は登録されたようで、マップを見れば場所がわかるようになっていた。このマップもイベント専用なんだろう。どうやら私たちは南寄りの中心側にいたようだ。ということは他の三か所にそれぞれプレイヤーが分けられたのだろう。…ショーゴたち私たちと一緒の場所でよかったね…。


 そういえばリンと海花大丈夫だろうか…。いや、リンは銀翼全員が戦闘職ではないだろうし…多分大丈夫でしょう。問題は海花だ…。あそこは本当に初心者の集まりだし、生産系のスキルが揃ってないかもしれないし…。まぁ、助け求めてきたら少し助けてあげることにしよう。さすがに私も二十人程の料理を用意できるわけないからね…。そんな無責任に、助けてあげるからこっちおいでなんて言わないよ? 共倒れしそうだもん…。というか私の負担がやばくなる。本当に。



 さて、私の足で二時間程で南の農業エリアっぽいところに来ることができた。途中何人も抜かしてたからやっぱり私のAGIが高いってことかな。さて、その事は置いといて、まずは食料を集めないと…。一応ダンジョン扱いだから自動的にリポップするって言う話だから一杯取っても平気だよね? よし! まずは小麦だぁっ!


 ザクッザクッザクッザクッザクッ。

 なんだろう…。ゲシュタルト崩壊起こしそう…。っと、そんな事言ってないでさっさと収穫収穫!


 七人分ということで一時間程小麦を狩り続けた。このぐらいから私が追い抜いたプレイヤーたちも増え始めたのか、小麦が刈り取られてはリポップを繰り返していた。さてと、私は小麦を取るのはこれぐらいにして他にも何があるか見ようかな。


 少し回った感じでは、玉ねぎ、カボチャ、ピーマン、アスパラ、ナス、キャベツ、レタス、人参、とうもろこし、ジャガイモ、葱、トマト、ニンニク、きゅうりといった基本的な野菜類があった。

 まぁキャンプって言うからにはバーベキューとかに使いそうな素材は揃えてるよね。まぁ全種類一定量は確保したんだけどね。とりあえず喉が渇いたのもあったので、取れたてのきゅうりを齧る。

 うーん、みずみずしくて美味しいなぁ。これで味噌もあったらいいんだけど…。まぁ贅沢は言えないよね。


 もう少しまわってみたが、やはり小麦と先程収穫した野菜がランダムに植えられている感じだった。

 んー…もう少し歩いたらそろそろ拠点に戻ろうかなぁ…。

 そう思って少し歩いた私はその場で足を止めます。何故ならそこには…。


「なっ!? これって…!?」


 この葉が枯れ落ちたような色になっている作物は…まさか…!?

 私は恐る恐る、その枯れ落ちたような色になっている作物に付いている物を収穫する。すると…。



 大豆【消耗品】



 ヤッタァァァァ! これで味噌作りが出来る! いやいや! 味噌だけじゃない! 醤油にきな粉に豆乳、それに確か大豆の油もあったから揚げ物だって作ることができる! もうこのまま狩りつくしちゃうぞぉっ! 調味料はこれで解決できる! もう何も怖くないっ!


 その後、大豆を無我夢中で収穫している姿を他のプレイヤーに見られ、アリスが謎の大豆美少女と同一人物ということが判明した。

さぁアリスはこのまま無事に拠点に戻る事が出来るのか。

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