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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
50/370

第二陣

第二章開始です。

 ハムハム…モグモグ…ゴックン。


「アリサ美味しい~?」

「おいひぃー」

「お前らそのやり取り何回すりゃいいんだよ…」


 今私は、鈴と正悟と一緒に闘技イベントの打ち上げ会をしています。会場はもちろん正悟の家で。

 なんかリンが色々買ってきてくれたので皆でそれを飲み食いしています。一応私と鈴が二十歳になったのですが、正悟だけが十九歳で誕生日が六月なのでまだ酒盛りまではできません。

 一応ビールを飲んでみたのですが、なんか苦かったので酒盛りするときは私はチューハイを飲もうと思います。そっちはちゃんと飲めたので安心です。

 鈴もビールはダメだったようです。そこで何故かワインを飲んだという話で、何故ワインかと聞いたところ…。


「だってこっちの方が大人っぽく見えるでしょ~?」


 とのことです。確かに鈴はワインの方が似合ってる感じはするけど…。


「それでお前らどうするんだ?」

「「何を?」」


 正悟が私たちに何かを聞きますが、まったく察しがつきません。何をどうするのだろう?


「第二陣が来週くるだろ。それでどうするかっていう話だ」


 あー…そういえばそうだった。闘技イベントまでは覚えてたけど打ち上げしてたら忘れてた。


「それでちょっと気になった情報があってな」

「どんな情報~?」

「何かアップデートの話しとかあったかしら~?」

「いや、アプデではないんだが、第二陣に最近有名になったネットアイドルがいるらしくてな、そのファンも一緒に来るんだとよ」


 それが何か私たちに関係あるのかな?


「アリサは関係なさそーという感じだが、こういうのに絡まれるとすっげえめんどくせえんだわ」

「ようはネットで色々中傷の書き込みとかされる可能性があるってことね~?」

「それが何か厄介なの?」

「ネットに広まるってことは、最悪NWOでの活動が邪魔される可能性もあるってことだ」


 うーん…それは嫌かなぁ…。


「まぁそんなことしたら、私がそいつらお仕置きして(しばいて)あげるからアリサは心配しなくていいわよ~?」

「うっうん…?」

「あー怖い怖い。流石闘技イベント優勝者だぜ」

「褒めても何も出ないわよ~?」

「褒めてねえんだけどなぁ…」


 まぁそのネットアイドルと関わらなければ問題ないよね。大丈夫大丈夫。



 ---------------------------------------------------------------



「アリスありがとねぇ。おかげで十分な量を確保できたそうだよ」

「私たちの時みたいに供給不足になるとまた何か起こりそうだったからね。でもホントにあの薬草でよかったの?」

「構わん構わん。ないよりはある方がいいからねぇ」


 私はあれから一週間、エアストの街のお手伝いとして薬草の栽培を手伝っていた。正直言うと特にやることが思いつかなかったからだ。

 まぁ第二陣が第一陣と同様の一万人ぐらい来るという話で、今確保している薬草の量では少し心許ないということで、【成長促進】と【急激成長】を持っている私にナンサおばあちゃん経由で依頼が来た。

 先にも言ったが、やることが特になかった私はその依頼を受けた。他にもポーションに使う瓶などの作成を他のプレイヤーが受けていたので同時並行ということなんだろう。


 私はギルドが管理している畑を一時的に貸してもらい、そこで薬草の栽培を行った。最初は【成長促進】を使ってやるもんだと思っていたのだが、それでは時間がかかりすぎてしまうので多少品質が下がっても構わないから【急激成長】にしてくれと言われた。

 まぁ私としてはどちらでもよかったので、言われた通りに【急激成長】で薬草を一気に成長させた。あとはGTで三日―つまり現実で丸一日待てば収穫できるということだ。そして、意外にMPが残ってまだ出来るという事を伝えるとまさかの畑を増やされました…。


 種を植えるのは仕方なかったのですが、さすがに複数の畑に水遣りを一人でするのは大変なので、こっそりレヴィに手伝ってもらいました。まぁギルドの人に見つかってしまったので、港街に行ったときに保護した海蛇ですってことで納得してもらい、お手伝いしてる代わりに言わないようにお願いをした。

 レヴィも早く街中に連れて歩けるようにしたいなぁ…。とりあえず他にもペットを連れてる人が増えてくれないと目立っちゃうからそれまでは我慢かな?

 ということで私はこの一週間で薬草を数千個作ったということです。あれ? 私って生産職だっけ?


 ともかく、そろそろ第二陣がログインできるお昼の時間です。街にはギルドに勧誘しようと第一陣のプレイヤーたちが多く見られます。そして実はリンがギルドに所属しているためこちらに来ているようなのです。

 やっぱり大会優勝者ということで、色々なギルドから声を掛けられたそうです。まぁフリーにしておけるわけないよね。

 それでリンが所属したのは銀翼でした。ちょっと意外と思ったんだけど、理由を聞いたら「目標に届きやすそうだったからかしら~」ということだ。リンの目標って何だろ?


 っと、そんなことしている場合じゃない。早いところマールさんのところに行ってご飯買ってこないと。もしかしたら混んで買えなくなるかもしれないし!


 私がマールさんのところでパンを買って大通りに戻った頃には、既に第二陣がログインし始めて大通りには大量の人がいました。

「初心者歓迎だよ!」「ポーション安いよ!」と言った声が聞こえてきて、なんだかオープン開始時の時を思い出します。とりあえずこの調子じゃあしばらく大通りを横切れないからここでさっき買ったパンでも食べてよっと。今日の昼食はお馴染みのマールさん特性ハニートースト!


「いただきますっ!」


 はむっ! ん~っ! 美味しいっ!


「そこのプレイヤー、ちょっと聞きなさい」


 やっぱりマールさんのパンは相変わらず美味しいなぁ~。私も早く色々料理できるように調味料集めないとなぁ。


「ねぇ! 聞いてるの!」


 んーそういえば蜂蜜とか結局集めてなかったしこの際集めようかな? あとは砂糖や小麦とかも。あれ? そういえば発酵させるには【醸造】スキルが必要なんだっけ? 調べとかないと…。


「そこの着物を着たあなた! こっちの話を聞きなさい!」


 ん? 着物?

 私は顔を声のする方へ向けるとなんか女の子がいた。というか何人か侍らせてる(?)けど…何か用かな?


「何か言いましたか?」

「さっきから言ってるじゃない!」

「はぁ…」


 なんで私が怒られてる感じなんだろう…。


「その着物、どこで手に入れたのよ」

「これ? オーダーメイドだけど」

「じゃあその店を教えなさい」

「リーネさんのお店なら向こうの方だけど」


 私は指を差して大まかな位置を教える。


「そう。じゃあそこまで案内しなさい」


 何でこの人こんなに偉そうなんだろう…?


「そもそもお金持ってるの?」

「一万G持ってるわ」

「たぶん6000Gは掛かるし、他にも依頼されてると思うから時間掛かるよ?」

「なんで防具にそんな時間掛かるのよ!」

「NWOの生産は全部手作りだからね。そりゃ時間掛かるよ」


 なんだか相手は納得してない様子だけど、できないものはできないし仕方ないよね。

 すると、一人の男性プレイヤーがこちらに近づいて来る。


「海花様ー!」

「まったく、遅いのよ! あなたが第一陣で案内するって言うから待っていたのに!」

「すっすみません! 予想以上に人が多くて探すのに時間が掛かって…」


 なんだろう…ホントなんでこの人こんなに偉そうなんだろう…。まぁ第一陣の人が来たからもういいよね。


「じゃあ私はこれで」

「ちょっ!? 待ちなさい!」

「…まだ何か…?」

「何勝手に行こうとしてるの! まだ話は終わってないのよ!」

「話って…そこの人に聞けばいいじゃん…」

「そういう問題じゃない!」


 そろそろめんどくさくなってきた…。初心者なら私のAGIに勝てないだろうしさっさと逃げようかな…。


「その…海花様…あまり他のプレイヤーに迷惑を掛けるのは…」

「このネットアイドルで有名な海花に声を掛けられてどこが迷惑なのよ!」


 うへぇ…これが例のネットアイドルなの…? ショーゴー…さっそく会ってしまったよ…。

 すると注意(?)をしている第一陣のプレイヤーが私に目配りをしているので、今のうちにおさらばさせてもらう。


「あっ! ちょっとっ!」


 流石に初心者に追いつかれるほど私のAGIは低くない。それにこの街の地形を把握している私を捕まえられないだろう。それに…。


「屋根にまで上ってしまえばわからないでしょ」


 それにしても面倒なプレイヤーだった…。てか…。


「さっそく問題起こりそうだなぁ…」


 私はため息を付いて気分転換に森で狩りを行うこととした。

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― 新着の感想 ―
> 何かアップデートの話しとかあったかしら~? → 何かアップデートの話とかあったかしら~? (動詞でも複合名詞でもないので「し」は不要。) > ナンサおばあちゃん経由で依頼が来た。 どなたがナン…
[良い点] とっても面白いです!! これからも読ませていただきますっ!! [気になる点] 50ページの最初 アリス じゃなくて アリサ になってましたよ〜
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