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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
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【首狩り姫】③

 私がフィールドから出よう通路に向かうと、リンが通路の反対側から近づいて来た。そういえば私の次が試合って言ったもんね。


「リン頑張ってね」

「ふふっ、もちろんよ~。でもぉ~…」

「ん?」

「私が勝たない方がアリス的にはいいと思うのにいいのぉ~? 応援なんてしちゃって~?」


 私はリンの発言に不思議そうに首を傾げる。リンも私の反応が意外だったのか、少し驚いていた。


「なんで?」

「なんでって…自分で言うのもなんだけど、格上の私より多少格上だけど弱い方がいいでしょ~?」

「親友を応援するのってだめなの?」

「っ…。…はぁ~…」

「どうかした?」

「せっかく私が嫌なやつになってアリスが思う存分戦えるようにしようと思ったのに~…」


 もしかして私がリンに遠慮すると思ったからそんなことをしたのかな? じゃあ私もちゃんと言わないと…。


「リン」

「なぁに~?」

「私、リンに勝つよ」

「あらあら~…」

「むぅー…。冗談だと思ってる?」

「そんなことないわよ~。でも、私だって負けないわよぉ~。全力で叩き潰してあげるわ~」

「私だって全力で斬ってやるんだからー」

「…うふふっ~」

「…ふふっ」


 私たちは二人して意気ごみを宣言したが、その後つい笑い合ってしまう。


「じゃあ次で待ってるね」

「えぇ、待っててね~」


 私たちはお互い手を叩きあってそれぞれ向かう場所へ歩き出した。



「ただいまー」

「アリスお帰り」


 私は観客席に戻ってルカの隣に座る。すると他にも数人いつの間にか近くに座っていた。


「アリス、お疲れ様」

「アリスちゃんお疲れ様~」

「アリスさん御疲れ様です!」

「アリスちゃんおっつー」


 座っていたのはガウルやレオーネたちの四人組だった。


「あれ? ショーゴの応援は?」

「あいつならまぁ大丈夫だろう。ああ見えて意外に上手いからな」

「それよりお姉さんはリンとアリスちゃんの戦いが気になっちゃってね~」

「そもそも私たちなんか予選落ちですよ…」

「それより、アリスちゃんの動画見たけどあれってどういうことなの!?」


 動画? 一体話だろうか? 運営がダイジェストとかそんな感じで各試合上げてるのかな?


「【切断】の力はわかっていたがまさかあれほどとは思わなかったぞ…一体あれはなんだったんだ?」

「お姉さんびっくりしちゃったわよ~」

「歌もそうですけどもう何が何だかわかりませんでしたよ…」

「アリスちゃん一体何したのか俺すっげー気になってんだけど!」


 おぅ…質問攻めタイムが来てしまった…。とは言ってもスキルのおかげとしか言えないし…それで納得するかの問題が…。

 とりあえず、歌は【童歌】スキル、木を一気に成長させたのは【急激成長】、暗くしたのは【漆黒魔法】で、最後のは秘密ということにした。

 シュウがちょっと不満そうだけど、言えないもんは言えないって言ったら大人しく引き下がった。珍しい…。


「そういえばあんまり前線でアリスちゃん見ないけど、やっぱりそのスキルの練習とかで来なかったのかしら~?」

「んー…まぁ私としては森での戦い方に慣れたところがあったから、そこで練習してたっていう感じかな?」

「でもまだ明るいからいいですけど、暗い中とおりゃんせとか歌われたら怖いですよ…」

「私暗視効果あるスキル持ってるから別に問題ないけど?」

「いや、アリス…そういうことじゃなくてだな…」

「??」


 別に暗視もあるし、周りの敵も感知できるから怖くないと思うけどなぁ?


「アリス。クルルが言ってる、アリス視点じゃない」

「えっ? ルカ、それってどういうこと?」

「夜の森でアリスに会ったら怖いってこと」

「そんな怖いかなぁ?」

「「「「「百人が百人怖いって(言う/言うわよ~/言います)」」」」」

「あぅ…」


 その言い方だとまるで私がお化けみたいじゃない…。着物だってこんなに可愛いのに…。私は自分の着物を改めて見るが、特に怖い要素は感じない。


「今おそらくアリスが思っていることだが、普通は夜の森で着物を着て刀を抜いている女なんぞ見かけたら全力で逃げるからな」

「まぁ普通にホラーよねぇ~」

「下手したらトラウマものですよ…」

「いくらアリスちゃんが天使だとしてもガウルの発言には同意してしまう…」

「普通、逃げる」


 そっそんな…!? やはり暗い色より明るい色のほうがよかったのかな…?


「ちなみに次は明るい色の方がよかったかなとかと思っているだろうが、そっちもあんま変わらん…というか余計怖くなる気がするから怖いという点は変わらんぞ」


 ガウルは私をいじめたいのかな…? あんまりいじめると泣いちゃうぞぉ…。私が泣いたらレオーネやクルルが叱っちゃうぞぉ…。私はじろっとガウルを睨みつける。


「うっ……とっとりあえずリンの試合が始まるぞっ!」


 あっ逃げた…。でもリンの試合見たいから見逃してあげよう。

 私がフィールドを覗くと、既に開始の合図が出ていた。フィールドは森のままなので、対戦相手はリンの攻撃を受けないように森に隠れ始めた。


「なんか…対戦相手ビビってませんか?」

「リンが相手だからね~。隠れたくなる気持ちはわかるわよ~」

「でもリンの魔法は風と雷だろ? あんまり隠れても意味ないと思うが…」

「近接職の俺からしたらあんまり魔法職とは戦いたくねえけどなぁ…」


 と言ってもまだ森だから隠れられる場所多いだけ戦いやすいよね。私も隠れて接近する感じしかないかなぁ…。するとリンが魔法を唱え、その瞬間周りの木々が吹き飛んでいった。

 あれって予選時にリンが使ってた【嵐魔法】の『シュトゥルム』!? 【嵐魔法】ってもしかして雷みたいに設置物とかそういうの破壊できる感じなの…? ちょっと待ってそれ聞いてない! って!? 私のアドバンテージの森がどんどん壊されてるっ!?

 その後、リンは数分に渡って私がせっかく作った森を破壊尽くしていった。うぅ~…鬼! 悪魔! リン!


 対戦相手がどうなったかと言えば、隠れる場所を失った相手は一か八かの特攻を仕掛けるも、【嵐魔法】で吹き飛んだところに【雷魔法】の派生である【迅雷魔法】でビリビリにされてそのまま戦闘不能になっていた。南無…。

 破壊された木々は既に設置物として判断されずに全て消えて、一試合目の時と同じように平らなフィールドとなっていた。これによって私の戦略が一気に崩れることとなった。

 そんな私の悩みなどお構いなく、リンが観客席に戻ってきた。


「ただいま~」

「お疲れさん」

「リン~お疲れ様~」

「リンさんお疲れ様です」

「お疲れさーん」

「おつ」

「うぅー…お疲れ様ぁー…」


 リンはニコニコして私の隣に座ってきた。そしてとってもいい笑顔で私に話しかけてきた。


「あらぁ~? アリスどうかしたのかしら~?」

「うぅー…」

「何か困らせるようなことしたかしら~?」

「リンの鬼! 悪魔!」

「あらぁ~そんなに褒めなくてもいいのよ~?」

「褒めてないっ!」


 もうプンプンです。それにしてもホントにどうしよう…。多分また木を植えてもすぐ壊されるだろうし…。うーむ…。


「それでアリスは何でそんなに怒ってるのかしら~?」

「…分かってる癖に…」

「まぁ厄介そうだったもの~。それぐらい警戒してるっていうことよ~」

「警戒?」

「そうよ~? それだけアリスに注目してるって事なのよ~」


 まぁそれぐらい私の事をちゃんと意識していてくれるっていうのは嬉しいけどさ…。もうっ…。


「別にもういいよ」

「あらぁ~随分とあっさり引き下がったわね~」

「どちらにしろ奇襲で倒せるようなら苦労しないし、リンがそんな簡単に行くわけないっていうのはわかってたから」


 おそらく森で戦ったとしてもなんだかんだ不利なままだろう。遠距離武器がほとんどない私にとって、接近することが唯一の攻撃方法だし…。リンもそこを警戒しての森の破壊だろうし…。


「じゃあアリスが森以外でどう来るのか楽しみにさせてもらうわね~」


 うぅー! 絶対見返してやるー!

台風が近づいてきているらしいので、TMごっことかやらないように!

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