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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
43/370

闘技イベント開幕

まだ控えめ…。

 闘技イベント当日。予選開始がお昼の十二時からなので、遅くとも三十分前には到着したいです。なので私は十一時四十分頃にログインします。これで一時間は余裕が持てるので大丈夫でしょう。

 大会場所はエアストから特設ポータルが設置されたので、そこから飛びます。しかも住人も飛べるようになっているようです。システム的に平気なのだろうか…?


 私はログイン後にリンとショーゴと特設ポータル前で待ち合わせしているので、まずは合流します。まぁ予想通りというか…。私とリンはほとんど一緒に来たのですが、ショーゴが十分ほど遅れました。


「わりぃわりぃ、遅れちまった」

「遅いー」

「時間厳守って言ったのにね~…」

「だからすまんって言ってるだろ」

「はいはい~、じゃあアリス行きましょうね~」

「うんー」

「おいっ!? 待てってっ!」


 全然悪びれてないのはいつも通りなので、少し呆れながら私とリンは特設ポータルに乗って移動します。ショーゴは後ろから追いかけてきます。そして、移動した先で私たちが目にしたものは…。


「これってえーっと…闘技場?」

「まぁ闘技イベントって言うものね~…」

「それにしてもでっけーなぁー…」

「とりあえず受付しましょうか~」


 そうだよ。受付しないと参加できないんだからさっさとしてこないと…。そう思って私たち三人は受付を探していると、私にとって懐かしい人がいた。私はそんな彼の元へ向かいながら手を振った。


「タウロスくーんっ」


 そう。私のチュートリアルの時に担当してくれた黄道十二星座のおうし座の少年だ。相変わらずの褐色肌に身長は特に変わっていないように見えた。その隣は…誰だろ? 綺麗な女性だなー。


「これはこれはアリス様。ようこそいらっしゃいました」

「タウロス君。隣の人は?」

「彼女はヴァルゴ。黄道十二星座のおとめ座を司っている女性です」

「ほぇ~…」


 私がヴァルゴさんを見つめていると、彼女が口を開いた。


「なんじゃ小娘…妾に何の用じゃ」

「え?」


 なんだろう…突然怒られたような感じが…。


「まったく…創造主様は何故妾たちにこのようなことを…」

「ヴァルゴ。異邦人の方々に失礼のないようにしろと創造主にも言われたでしょう」

「じゃが何故妾がこのような者たちに礼を尽くさねばならぬのじゃ! 邂逅の時も妾がどんなに大変だったか…」

「それについては様々な方がいると最初に創造主から言われていたじゃないですか。それを考慮して臨むようにと説明を受けたでしょう? それをちゃんと聞いていなかったあなたの責任です」

「うぐっ…」


 タウロス君がヴァルゴさんを論破しているようで彼女の口数が段々と減っていっている。あんまり責めさせちゃうと可哀想だし止めてあげたほうがいいかな?


「たっタウロス君、私そんなに気にしてないから強く言わないで上げて…?」

「…アリス様がよろしいというのであれば私からは何も申しません。ですが…ヴァルゴ。アリス様に謝罪を」

「うっ……その…すまなかったのじゃ…」

「いえ、こちらこそ他の異邦人がご迷惑を掛けたようでごめんなさい」


 実際、私たちプレイヤーが迷惑を掛けたんだろうし私も謝罪しておく。これで後腐れがなくなるといいなぁ。


「それでアリス様。闘技イベントの参加ですか?」

「うん。後ろの二人も参加だよ」


 そう言って私はリンとショーゴをタウロス君に紹介した。


「アリス様のご友人でいらっしゃいましたか。私はタウロスと申します。以後お見知りおきを」

「私はリンよ~。へぇ~…あなたがアリスの担当だったのね~。私の時はかに座だったわ~」

「俺はショーゴ。よろしくな。そういや俺の時はしし座だったな」

「キャンサーとレオですね。お二人は失礼を致しませんでしたか?」

「大丈夫よ~。丁寧に対応してくれたわ~」

「俺の方は最初っから友達的な感じで接してきたなぁ…」


 へぇ~。二人はかに座としし座だったんだ。他の星座の人たちにも会えるのかな? そんなことを考えている内にタウロス君とヴァルゴさんは私たちの手続きを既に終えていた。


「では登録完了いたしましたので、こちらのカードをお取りください」


 そう言ってタウロス君は私たちに白紙のカードを渡した。


「これは…?」

「それは予選のブロックを決めるためのカードです。…っと、浮かび上がってきましたね」


 私が手に持ったカードには「E」の文字が浮かんできた。これが私の予選のブロックなのだろう。二人はどうだったのかな?


「あら、私はEブロックね~」

「俺はBブロックだな」

「私もEブロックー」

「じゃあアリスと一緒なのね~。頑張りましょうね~」

「なんだよ俺だけハブかよ…」


 まぁ同じブロックじゃない方が潰しあわないしいいんじゃないかな? ということはリンと戦う感じなのかな? 勝てるかなぁ…。


「では中へどうぞ。予選はそれぞれ別のフィールドに飛ばされますので、それぞれ対応したポータルへ向かってください」

「じゃあ私たちはEブロックだからまた後でね~」

「ショーゴまたね」

「おうよ。じゃあ本選でな」


 私とリンはEブロックのポータルへ移動した。さっそくポータルで移動すると、準備室であろう大きな空間が広がっていて何十人ものプレイヤーが既に待機していた。空間の中にはちゃんと選手用の椅子がいくつも置かれており、私とリンは空いている椅子に座ってリラックスをする。


「結構多いんだねー」

「まぁ参加するだけで一万もらえるもの~」

「リンは優勝目指してる感じ?」

「まぁやるからにはね~。アリスは~?」

「んー…私は優勝とかは考えてないかなぁ」

「じゃあお試しで参加なの~?」

「ううん」


 リンは不思議そうに私の顔を覗く。まぁそうだよね。何のために参加するのかっていう感じだもんね。


「リンとショーゴを驚かせたいから参加するのー」

「あら~…ってことはしばらく会わなかったことが関係してるのかしら~?」

「秘密ー」

「ほら~白状しちゃいなさい~」

「やー」


 リンは私に抱き着いてほっぺをつついてくる。そんなことぐらいじゃ喋らないよーだ。っと、そんな事をしている場合じゃない。最後にアイテムとスキルを最終確認しないと。


「リンー、ちょっとアイテムとスキル確認するから離して―」

「しょうがないわね~…。でも終わったらまたするからね~」

「やーだー」


 まったくリンは…。えーっとアイテムは…回復よし…使う物もよしっ…。あとスキルは…予選は乱戦っぽいから少し変えとこっと。

 私はスキルを少し入れ替えて準備を完了しました。すると、私が準備が終わった様子を見てリンがまた抱き着いてきました。周りもなんかヒソヒソと話してて注目されている気がします…。もうっ…。



「おい…あれ暴風だろ…?」

「くっそっ…同じブロックとか運がねぇ…」

「これも日頃の行いのせいか…」

「それにしても暴風が抱き着いてる子は誰だ?」

「見たことねぇなぁ…」

「でも可愛いなぁ…」



 なんかちょろっとしか聞こえないけど、暴風っていうのがリンなのかな? 少なくとも私風魔法なんて持ってないし…。


「ねぇリンー」

「なぁに~? アリス~」

「リンって暴風って呼ばれてるの?」

「あ~…そのことね~…」


 どうやらリンはなんか不満そうだ。


「なんかいつの間にかその二つ名が定着しちゃったようなのよ~。私としてはもっと可愛らしい方がよかったんだけどね~…」


 二つ名ねぇ…。でも二つ名が付くってことはそれだけ有名ってことなんだよね? そんなリンの近くにいる私も見られるってことなの…? あう…。ひっそりとしたい…。



 しばらくすると、そろそろ予選の開始時間なのかアナウンスが聞こえる。どうやらここにいればそのまま転送されるそうだ。咄嗟に私はリンにしがみ付いてしまうが、リンは気にしていない様子なのでこのまましがみついたままでいる。

 そして時間となり、眩い光とともに私たちは広いフィールドに転移させられていた。私はリンにしがみついていたからか、リンとくっついた状態でフィールドに運ばれた。


『では、これからEブロックの予選を開始します。審判は私キャンサーが行わせて頂きます。本選出場者はEブロック二百人から十名までです。戦闘不能かリングアウトで失格となります。ではあと十秒で開始です』


「じゃあリン、そろそろ離れるね」


 しかし、私が離れようとするとリンが私をぎゅっと抱きしめて逃がさないようにする。


「大丈夫よアリス~。私たちを驚かせたいんでしょ~? なら手札は隠したままじゃないと~」

「でも~…」

「それに十人が本選出られるんだし別に問題ないわ~。てことでアリス~ちゃんとしがみ付いててね~」


 いやいや…問題あると思うんだけどなぁ…。でもまぁ言われた通りにしておこう…。この状態のリンは絶対動かないから…。


「でもまぁとりあえず~…」


 開始の合図とともに数人が私たちの方へ向かってくる。


「お掃除しなくちゃね~」


 そう言ってリンは私から手を離して両手を広げた。


「『シュトゥルム!』」


 リンが魔法を唱えると、物凄い風が向かってきたプレイヤーに当たったのか彼らを場外まで吹き飛ばしていった。辛うじて重装備のプレイヤーが飛ばされずに済んだが、隙だらけであったため他のプレイヤーに狙われてHPを全損させリタイアしていった。


 その後もリンは近づこうとするプレイヤーを吹き飛ばしつつ、こちらを魔法や遠距離武器で狙ってくるプレイヤーに対して迎撃を行っていった。嵐のような攻撃技の応酬…これが暴風と呼ばれる所以なのかなと、私はリンを見上げながら思った。

 そしてプレイヤーはいつの間にか十人だけとなり、私は何もしないまま本選へ出場となった。


「きっと掲示板とかで何か言われるんだろうなぁ…」

「もし何か言ってきたら私がちゃんと書いてあげるから大丈夫よ~」


 大丈夫の基準がわからないんだけど…。そしてまた私たちは眩い光とともに円形の広い空間へと運ばれた。声がする上の方を見てみると、観客席があり多くの人たちが私たちを見ていた。それに周りには私たち以外のプレイヤーが何人も見られた。どうやらここに本選出場者が運ばれているようだ。私が知っているので銀翼の団長さんやエクレールさん、それに今ショーゴが運ばれてきた。


「ショーゴー」

「おっ、アリスも予選通過したのか」

「えーっと…」


 リンにしがみついてたら終わってたなんて言えない…。


「アリスは本選で隠してるもの見せてくれるって言うから私が全部倒してたの~」

「それっていいのか…?」

「別に戦わないといけないとは審判はいってなかったわ~?」


 いや…それは屁理屈って言うんじゃ…。ショーゴもなんか唖然としてるし…。

 私たちが話している内に全てのブロックの本選出場者が集まったようで、四方に付いているモニターが光り、モニター画面に社長が映った。


『本選出場のプレイヤーたち。まずは予選突破おめでとう。ではこれから本選のトーナメント表を発表する。各々の試合会場を確認してくれ。試合会場は四つあるため、間違いのないように注意するように。では発表する』


 モニターの画面が変わり、本選のトーナメント表が映し出された。えーっと私の名前は…。


「あら~…」

「どうしたの?」

「どうやら私とアリスはB会場で、そのまま進めば三回戦で戦うそうよ~」

「えー…」

「それにアリスの方が先に始まる感じだから楽しみねぇ~」


 Bってことは…左かな? えーっとアリスアリス…。

 私は自分の名前を試合が始まる左から見ていくと、確かに私の名前があった。そして三回戦目ってことでそれを辿っていくと…。


「なんでリンはシードなの…?」

「なんででしょうねぇ~…」

「あっ、俺は会場Cでシードだ」


 三人中二人がシードだった。解せぬ…。


「たぶんシードは各予選で活躍順ってことじゃねえか? リンは活躍したって言うし」


 確かに私は活躍してないけどさ! むしろ何もしてないけどさ!

 ともかく私の対戦相手は…ケンヤ? たぶん男の人かな?


『では各自観客席に戻るもよし、準備室で集中するもよし、自由にしてくれ。出場者には開始のお知らせが来るのでそれが来たら十分以内に来てくれ。時間を過ぎると失格になるので注意してくれ。以上だ! 皆の戦いを期待している!』


 そう言ってモニターがまた対戦表に変わった。私は会場Bの四試合目かぁ…。移動して準備しないと…。

遂にアリスが表舞台に…!


さて遂に明日コミケ二日目です…。気合!入れて!行きます!

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