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Nostalgia world online  作者: naginagi
第七章
365/370

大空洞を探検しよう③

「ふぅお腹いっぱい」

「キュゥ!」

「ホントに狩った分のモグラ食べつくしてる…もうやだこの主…」


 さて、お腹も一杯になったしノイさんのHPも回復し終わってるし先へ進むとしましょうか。


「そういえばドワーフって見つかったのかな?」

「今のところ情報はありませんね。恐らく地底方面だとは思いますが」

「私としては例の巨大ワニの先にありそうな気がするけどね。道塞いでたっていう情報だし」

「となるとそのワニを討伐しないといけないということですか。マッピングが急がれますね」

「ちなみにお嬢様? 洞窟内に穴開けて進めばいいやなんていう反則技はなしですのでその地面に置いた手を離してください」


 何故かトアさんに釘を刺されてしまったので大人しくやめることにしよう。


「何で道があるのに新しい道を作ろうとするのかしら…」

「アリスさんですからとしか…」

「普通のゲーマーからしたら作ろうとは思わないぞ…?」

「まぁお嬢様のような思考の持ち主がいないとも限りませんし、恐らく一時的に空いたとしても埋まってしまうでしょう」


 トアさん曰く、【大地魔法】等で地面に穴を空けての戦闘をしない人がいないわけでもないからそういう修復システムがあるのではないかということだ。

 確かにそういうので穴空きだらけになったら大変だもんね。


「…まぁどこぞの迷宮でゴールにたどり着くためには道を壊して真っ直ぐ進めばいいとかいうトンチをさせるわけにはいかないですからね」

「トアさん、ナイスな納得のさせ方です」

「お嬢様を納得させるためにはおかしい部分を指摘ではなく、こうしたら困るといった方面へ誘導すれば案外納得します。もしくは理論武装でごり押しするかですね」

「結構苦労してるんですね…」

「えぇ…本当に…」


 トアさん?

 何で急に虚ろな目をしているの?

 置いてくよ?


 しばらく道なりに進むとドーム状に少し開いた場所へと辿り着いた。


「なんか開けたところに出たね」

「これだけ広いとセーフティゾーンなのかもしれませんね」

「マジかよ! やったー!」

「その割には休んでいるプレイヤーがいないような…」

「そんなの大空洞に潜ってるやつが少ないからだろー? ほらこっち来て休もうぜー!」


 ノイさんがはしゃいでると、何やら地面が揺れた気がした。

 気のせいかな? と思っていると他の三人も不審に思ったのか辺りを警戒する。


「出口は後ろと正面の二ヵ所にドーム状の場所…」

「まぁありきたりと言えばありきたりですね」

「それにこういう地震の後ってのは大体…」

「んっ? 皆どうしっおわっ!?」


 中心部へと進んでいたノイさんの足元の地面が小山のように膨れ上がり、ノイさんがこちら側に転がり落ちてくる。


「げっ…」

「お嬢様、気持ちはわかりますが露骨すぎます」

「だってぇ…」


 膨れ上がった小山から顔を出したのがゴーレムなんだもん…。

 てか正面の出口側にも同じゴーレム出現してきたし…。


「このような報告は掲示板になかったと思いますが、もしかして時間指定側のトラップですかね」

「まぁおあつらえ向きな休憩スペースだものね。その休憩中にモンスター出現がコンセプトってところかしらね」

「なかなか意地の悪いコンセプトですね」


 冷静に状況把握してるのはいいけど、ゴーレムの周りにさっき見たようなモグラが何匹も出て来たよ?

 もしかしてあれ取り巻きとか?


「ともかく取り巻きとゴーレムの二手に分かれる必要がありそうですね。それでは…」


 トアさんが分け方を言おうとする前にアルトさんとアヤさんが二人揃って一歩前へ出る。


「まっ硬そうな敵は私たちがやるしかないわね」

「そうですね。アリスさんのペットの力を借りてもいいですけど、この程度の敵なら一人一体ずつで十分でしょうね」

「えっと…二人とも物理型なんですよね…? 魔法とかは…」

「アリスさんから教えてもらった【付加】もありますが、別にいらないでしょう」

「えっ?」

「じゃあ私が奥の方行きますね」

「なら私は手前ね」


 アルトさんとアヤさんは武器を抜き、アルトさんは剣を右手で軽く持つのに対し、アヤさんは刀の先端側に不自然にできている穴に左手の指を引っかけて上段で構える。


「たかだか硬いだけのモンスター」

「一閃が0.1%削れると仮定しても…」

「私の剣技で斬れないものはない!」

「千回斬れば終わります!」


 そう言い放って二人はゴーレムへと向かって行った。


「おっ二人ともやる気じゃん! なら私も頑張るぞー!」

「えっ!? ノイさん良いのそれで!?」

「いいっていいって! それに二人とも硬い程度のモンスターじゃ相手にならないって」

「アルトさんはともかくアヤさんは大丈夫なの!?」

「あっそっか。【首狩り姫】はアヤの実力知らないんだっけか」


 ノイさんが軽やかに槍を操り取り巻きのモグラを突き、払い、軽くあしらいながら説明を続ける。

 私たちも勿論戦いながらノイさんの話に耳を傾ける。


「アヤが示現流っていう話は大空洞入る前にしてただろ?」

「はい、そう言ってました」

「示現流ってそもそも一撃が全てじゃんか。そんな一撃オンリーの剣士が高速で剣を振るアルトのライバルなんて普通張れないだろ?」

「まぁ…言われてみれば確かに…」

「でも、アヤの一撃はアルトの剣技に勝るんだ。それこそアルトの全力の剣技ですら防げないぐらいに」

「なっ!?」


 私の驚愕と同時に何か巨大なものが壁に激突する音がドーム内に響いた。

 ぱっと音の方を見ると、ゴーレムが壁まで吹き飛ばされていた。


「やっぱり硬いだけのようね。特に特殊能力とかは無し、キャンプイベントの時のゴーレムより耐久力がある程度ね」

「うっそ…」


 あんな重そうなゴーレムを吹き飛ばすってどんな剣技なの!?

 示現流ってそういうものなの!?


「まぁ普通の示現流じゃいくらなんでもゴーレムは吹き飛ばせないよなー。でもアヤの示現流なら話は別だ」

「どういうことですか?」

「アヤの刀の先端側に不自然な穴があっただろ?」

「はい…アヤさんはそこに指を掛けてましたけど…」

「それがアヤの示現流だ。普通の示現流は上段からの一撃で相手を仕留める。でもアヤの場合女だし男に比べて力もない。そこで編み出したのがあれってわけだ」


 ノイさんは戦闘中ってのもあるから簡単に説明してくれた。

 アヤさんの示現流は通常の示現流と違って刀の先端に穴を作ってそこに指を引っかけられるようにしている。

 そしてアヤさんのステ振りはSTRとATKもしくはDEFに振っているという。

 ATKとDEFについては敵の種類で変えてるとのことだ。

 そのSTR振りがアヤさんの示現流とどう関係しているのかというと、ノイさん曰く『溜め』らしい。


「つまりその『溜め』がゴーレムを吹き飛ばしたということですか?」

「そうそう! 剣技って普通は力強く振り下ろすとか勢いを付けることで威力を上げたりするだろ? でもアヤの場合はその『溜め』によって爆発的に威力を上げてるんだ」


 簡単に言うと弓の弦の役割があの穴に引っかけた指って事らしい。

 弦の役割の左手に抑え込められた力が放たれた瞬間、その刀は居合をも超える速度と威力を生み出している、とノイさんは説明する。


「ということは左手で刀を引っ張ってその反動で斬るってことですか?」

「まっそういうことだな。正確にはアヤの場合右手にも力を入れてるから他の人が真似するのは大変だけどな」


 女性で示現流ってかっこいいって思ったけど、そういう工夫も必要なんだね。

 うーむ奥が深い。

書籍化決定しましたが特に変わらずマイペースで更新していきます(ぶれない

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― 新着の感想 ―
[一言] 書店でラノベ2巻を見かけて久しぶりに戻ってきました!!3巻も楽しみに待ってます
[一言] 示現流か…飛〇御〇流に負けたあれだろ?つまり牙〇より弱い
[一言] ローグライク系、不思議のダンジョン系ユーザーからしたら 「道は作るもの」掘るとか基本でごわす
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