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Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
356/370

建国祭②

「辛い…もう無理…」

「お姉様ぁ…」


 まぁこうなることはわかっていたわ…。

 俺はルカと海花がテーブルに顔をぶつけて凹んでいるのをため息交じりに見ている。

 いやまぁ気持ちはわかる。

 俺も途中で雰囲気に呑まれなくなっていなかったら二人と同じようになってただろうしな。


「ショーゴ、正直何か変だと気付いているんだろ?」

「まぁ…そりゃなぁ…」


 正直アリスがもしあのリティア卿と恋仲だったとしたら、服屋でドレスを選んでる時リティア卿が勧めたドレスを困惑したような表情で拒否ったりしないだろうしなぁ…。

 他にも食事でも遠慮せず好きなもん食いまくってたし、それを見ていたリティア卿は顔引き攣ってたし…。

 まぁそういう観点から何かしらの繋がりでリティア卿にアリスが付き合ってるってのが正しいだろうな。


「じゃあ何であの二人に言わないんだ?」

「あの状態の二人に言ったところで信じると思うか?」

「…そうだな」


 流石ガウル、理解が早くて助かるぜ。

 他の三人もうんうん、と頷いてるし俺のパーティのそういうこと好きだわ。


「…なぁショーゴ」

「シュウ、どうかしたか?」

「つまるところ俺ら何してんの?」

「…二人がいつ暴走するかを見張る役目だ」

「…止められんのか?」

「死ぬ気で止めなきゃ死人が出るぞ。特に毒使うルカは」

「はぁ…本気で祭りの日に何やってんだ俺ら…」

「俺が聞きてえよ…」


 本当ならレアアイテムなり隠しイベントを探したりしていたはずなんだけどなぁ…。

 何でこんなことになったんやら…。



「で、何で俺らはこんなところに侵入してんだ?」

「静かにして、警備に気付かれる」

「そうです! お姉様を守るためなら致し方ありません!」

「いやダメだろ」


 いくら何でもパーティー会場の敷地に忍び込むのはヤバすぎだろ!?

 見つかったら弁明付かねえぞ!?

 パーティ会場が城の中じゃなくて迎賓館だったのもあって正直敷地内までなら侵入は隙を見つければそこまでじゃなかったが…。

 ホントに俺ら何やってんだ…。


「つか警備の関係上必然的に裏側に来てるけどこっからどうすんだ?」

「……」

「どう…しましょうかね…」


 こいつらノープランかよ!?

 マジでさっさと「迷いましたー」って自首した方がいいんじゃねえのかこれ…。


「でもここで捕まると犯罪として大変なことになっちゃうかもしれませんよね…?」

「お姉さんも流石にそこまでは嫌ねぇ~…」

「ならさっさと退散した方が良さそ…!? 皆っ! 下がれっ!」


 突然ガウルが前に出て盾を構える。

 その瞬間、ガウルが構えていた盾に矢が何本か当たる音が響いた。


「っと、奇襲は失敗っすかー。ならさっさと潰すに限るっす!」

「くっ!?」

「ガウルっ!」


 突如ガウルの正面側から女の声がしたと同時にガウルが盾ごと何かに押し出されそのまま離されていった。


「よそ見とは余裕ですね」

「ちっ!」


 離されていったガウルに意識を取られていたが、咄嗟に剣を盾にして謎の女の攻撃を防ぐ。


「ここに侵入するだけあって多少はやるようですね。ですがあの御方のため、死んでもらいます」

「話し合いは無駄ってか…。シュウ! 他のやつらを連れてさっさと逃げろ!」

「お、おうっ!」

「あーら、逃がさないわよ?」


 逃げようとしたシュウたちの正面でベチンと鞭で叩くような音が響く。

 そこには黒装束を纏った妖艶な笑みでシュウたちを見つめる女性と、同様に黒装束を纏った金髪ツインテールの子供が意地の悪そうな笑顔を浮かべていた。


「あはっ♪イルナスのは痛いから泣いちゃうかもね。まっアンタたちはここでお終いだからどうでもいいかもね」

「キャルンちゃん、あの男の子なんかカワイイ感じするから私が貰うわね」

「あっイルナスずるーい! あたしだって苛めるなら男の子の方がいいのにー」

「モテモテじゃないですかよかったですね」

「クルルわざと言ってんのか!? ドS全開のお姉様にいじめっ子だぞ!? 嫌な予感しかしねえわ!」


 くそっ! 完全に囲まれたか!

 しかも建物の上からは弓使いがいるようだし…どうするか…。

 つかこの短剣使いの女…意外にやりやがる!

 プレイヤーではないってことはこの世界の住人ってことだが、これだけの手練れってなると暗部とかそういう部隊ってことか…。

 まぁ王族のいるパーティーだからそういうのもいるとは思ったけどさぁ…。


「ホント厄日だわ!」

「安心してください。私たちはあちらの二人と違ってそこまで拷問に興味はないので速やかに殺してあげますから」

「全然安心できねえよ!」


 つか拷問好きとかシュウのやつ大丈夫か!?

 変な扉開けねえだろうなぁ!?


「ぐあぁっ!?」

「ガウルっがっ!?」


 短剣使いの女の攻撃を防いでいると、突然ガウルの声が聞こえたと思ったらこちらに投げ飛ばされて俺も巻き込まれて吹っ飛んでしまった。


「すっすまん!」

「いつつっ…。つかガウルは大丈夫か?」

「あぁ。だがあの女、かなりの怪力だ。フルアーマーの俺を投げ飛ばすんだからな」

「全く暗部とかそういった部隊は厄介なやつらが揃っていやがるぜ」


 と言ってもその暗部を殺さずに止めるのはなかなか骨が折れる。

 ルカたちも本気になれば止められはできるだろうが如何せんここは王都の中だ。

 どうしても被害が大きくなりかねない。

 しかも騒ぎが大きくなれば他の警備も来るだろう。

 くそっ! 打つ手なしか!

 ここからの展開に悩んでいると、少し離れた後方からゆっくりと誰かが歩いてくる音が聞こえてきた。


「…皆、何やってるの?」

「は…?」

「っ!? アリス様! お下がりください! すぐに侵入者を排除します!」

「アリスさんは下がっていてっす! ここはうちとヘレンがやるっす!」


 赤いドレスを纏ったアリスがやってくると、俺らを攻撃していた二人が慌ててアリスの元へと駆け寄り前へ出て構える。


「えっと…侵入者ってショーゴたちのこと?」

「えっ? アリスさん、あの侵入者って知り合いなんすか?」

「嘘…でしょ…?」


 アリスの質問を聞いてヘレンと呼ばれた方は途端に顔を青ざめてしまう。


「おい嬢ちゃん、どうかしたか…って何だこの状況」

「お嬢様、どこかへ行くなら私に一言申してから…」


 すると今度はいつものメイド服を着ているトアさんと例のリティア卿が現れた。


「…はっ!? イルナス! キャルン! 戦闘中止! 戦闘中止ぃ! フィーアも狙撃中止!」

「ヘレン、何慌ててるっすか?」

「だってアリス様のお知り合いに手を出していたわけでしょ!? あぁ…お叱りを受けてしまう…」

「わざとってわけじゃないしアリスさん怒らないと思うっすけどねぇ…」

「ともかく話は分かりませんが、皆様こちらへ。他の方も集まってくると少し面倒になりそうですので」


 トアさんが機転を利かせてくれたのか、俺らごと全員を空き部屋へと案内してくれる。

 一先ずは一息つけそうだな…。

建前:待たせたな(cv大〇明夫)

本音:大変遅くなりました……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ショーゴ達は情状酌量の余地有り、暴走娘sはギルティですね
[一言] 待ってたかいがありました。お疲れ様です。
[良い点] おかえりなさーい(・∀・) [一言] 元気そうだ
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