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Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
347/370

私は悪くないもん!

 私とトアさんは職員さんに客室へと案内された。


「では少しお待ちください」

「はい…」


 私は消え入りそうな声で何とか返事をするも、一体何の呼び出しだろうかとガクガクと震えている。

 いやだっていきなり人相書きみたいなのが出回ってるとは思わないじゃん…。

 別にこの都市では何もしてないはずなんだけどなぁ…。


「とまぁお嬢様が何もしてないとお考えでしょうが、いつものことなのでご心配なく。それに私はお嬢様のメイドです。メイドというのはお嬢様の事を付き従いつつ守り、そしてお嬢様に尽くすことの両方をしなくてはいけないのがメイドの大変なところです。ですのでお嬢様、何が来てもいい覚悟はできていますか? 私はできてます」

「そんな覚悟いらないからね!?」


 何かかっこよく言ってるけど、結局のところ全部私が原因って言ってるだけだよね!?


 しばらくすると扉をノックする音が聞こえたためそちらに注目すると、先程私たちを案内してくれた職員さんと、それとは別の男性二人が客室へと入ってきた。

 一人は初老…というよりはもう少し年をいってそうな白いチョビ髭を生やしたおじさん? おじいさん? と、もう一人は大体30~40代ぐらいの男性で、威厳としてはおじいさん(仮)の方がある印象だ。


「では私はこれで」

「あぁ、ご苦労」


 案内してくれた職員さんが退室する前に一言言うと、おじいさん(仮)の方ではなく、もう一人の男性の方が声を掛けていた。

 となるとこっちの男性の方が偉い人なのかな?


「お初にお目にかかる。私はこの都市の代表をしているアーカディスだ。こっちの御老人はこの都市のギルド長だ」

「老人と言ってくれるな。これでもまだまだ現役じゃわい」

「えっと…その…代表さんとギルド長さんは私たちに何を…」


 現れたのがまさかの都市の代表とギルド長ということで委縮してしまい、声が小さくなってしまったが仕方ないだろう。


「そんなに怖がらなくていい。むしろ君に手荒な真似をした場合の報復を受ける私の方が震えたくなるな」

「へっ?」

「その齢で小国とはいえ二国から紋の入った品を持っとるんじゃ。相当な権力者であろうことはこちらもわかっておる」

「いえ…その…何の話ですか…?」


 私の質問に二人はきょとんとして私の顔をじっと見つめる。


「…君はフェアラートかファートルに縁深い、もしくはその血縁者なのでは?」

「いえ…全くそういうことでは…」

「ならばその紋の付いた指輪は一体どこで手に入れたんじゃ?」

「これはイベントで女王様を助けた報酬として貰った物で…」

「「……」」


 今度は驚いたような顔をして代表さんとギルド長さんがお互いの顔を向かい合わせる。

 そして私の後ろではトアさんが何かを察したように何故か呆れたような溜め息をついていた。


「あのー…」

「あ、あぁすまない。どうかしましたか?」

「いえ…それで結局私たちは何でここに呼ばれたかを聞いていなかったので…」

「いやのぉ…それはのぉ…」

「相手の当初の予定をぶち壊し、更に相手を責める御手前。流石ですお嬢様」

「何の話!?」

「いやですねお嬢様。もう全てわかっていてあえてその態度なのでしょう?」

「何もわかってないからね!?」

「そんな御謙遜を。お嬢様が二国からの紋入りの指輪を持っていて、その関係者のお忍びだと勘違いして変な態度はできないと検問の件も含めて接待しようとした結果、お忍びとかそんな事は全くなくて、ただ二国と友好的なプレイヤーの一人だという事に気付いてどう対処しようか悩んでるなんてバレバレでございますよね?」

「説明ありがとね! でも全く気付かなかったからね!?」


 トアさんの発言にところどころピクピクと反応している伏し目がちな二人を横目に驚いているが、そういう目的で私たち案内されてたの!?


「まぁ実際のところ、お嬢様が二国から友好的な関係を築いているのは確かですので、対処は難しいところですよねぇ」


 ニヤっと薄ら笑みを浮かべるトアさんに完全に代表とギルド長は飲まれてしまい、冷や汗をかいている。

 トアさん…まるでこっちが悪者みたいだよ…。


「そういえば依頼をいくつか受けないと他の街の情報とか教えてもらえませんでしたよねぇ」

「いや…あの…トアさん…もうその辺で…」

「そういえばお嬢様、オルディネ王国の王女様から王城への通行証も貰っていましたよね」

「もうやめてあげて! 見てて可哀想になってきたから!」

「お嬢様。交渉とは無慈悲なものなのです。弱みを見せたらいけないのです」

「交渉というかこれ脅しだよね!? 私別に国経由で非難とか苦情出したりしないからね!?」


 私の非難しない発言に代表とギルド長は救いの神を見たかのように私に対して手を合わせて祈り始めた。

 ほら!

 トアさんがあんまりにも責めるから変なふうになっちゃったじゃん!

 終いには「慈悲深き女神よ」とか言い出すし、もういい加減にしてくれないかな!?


 その後、何とか落ち着いて貰えた二人とこうしょ…話した結果、代表さんの方から一つ頼みたい依頼があるということで、それを達成したら他のプレイヤーの依頼達成数に関係なく他の街の情報を解禁してくれるという話になった。

 ただ一つ心配な事は、何故か私が崇めるor私を崇める宗教について聞いてきたことだったけど…何もないよね…?

 大丈夫…ここは中立的な都市…何かの思想に染まったりはしない…はず…。

 …はず…だよね…?

 自信がなくなってきた…。

抉るように打つべし(精神的ダメージ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 精神的ダメージは無自覚でばら撒き、物理的ダメージは基本即死。 恋愛経験皆無+無垢+天然による無差別対人特攻 あれ?もうこれ主人公はある意味動く災害なんじゃ…
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