表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
340/370

沼地の向こう側へ①

 「で、ご主人様。これどうすんだ?」

 「んー…どうしよっか…」


 イベント終了後、早速個人エリアで環境設備追加アイテム(温泉)を使用してみた。

 温泉というだけあって他の環境設備よりもお金が掛かり、一施設に50万も持ってかれたのはまぁ仕方ないだろう。

 ただ問題は…。


 「こんなぽつんと円形に温泉沸いただけじゃ着替えとかどうすればいいんだ?」

 「一先ず脱衣所の設置は確定として、あとはマーライオンみたいにお湯を出す場所とお湯を循環させるような機構が欲しいかな?」

 「となるとこの地下あたりにお湯を流すところを作るってことになるのか? 結構工事大変そうだなぁ…」

 「そこは…頑張ります…」


 いやまさかこんなぽつんとできると思わなかったからそこまで考えてなかったし…。

 せめて温泉施設みたいな感じのがどーんとできてくれると思うじゃん!

 まさかどこかの秘境にあるみたいな感じになるとは思わないじゃん!

 これどれぐらいお金掛かるのだろうか…。

 ハロウィンコインの残り…お金にしといてよかった…。


 「お嬢様ー」

 「あ、トアさんが呼んでる」

 「まぁ温泉の件はしばらく後回しになるってことはわかったし、俺も作業に戻るよ」

 「うん、サイもよろしくね」



 「それでトアさん、どうしたの?」

 「はい。先程飛鳥お嬢様が戻られて、何やらお披露目したいことがあるからお店の外に来てほしいと」

 「お披露目…?」


 一体なんだろ?

 私は言われるままお店の外に出てみる。

 するとそこには飛鳥ちゃんと何故かウィルとクオが一緒になって立っていた。


 「あれ? ウィルもどうかしたの?」

 「いや、何かこの子に捕まったというかなんというか…」

 「ポーション買いに来ただけなので…」

 「ルカお姉ちゃんからこの男の子がアリスお姉ちゃんの一番弟子って聞いたからちょっと話してたー」


 そういえば飛鳥ちゃんとウィルたちってタイミングすれ違ってたから直接会った事ないんだっけ?


 「で、師匠に一つ聞きたい事があるんだけど…」

 「ん? 何?」

 「またもや弟子を魔改造したっていう噂、マジなのか?」

 「ちょっと待って、それどこ情報?」

 「掲示板で師匠がまた弟子を取ったってところから、その弟子がヤバいっていう話になってたけど」


 しかもまたもやってどういうこと?

 私一度もウィルや飛鳥ちゃんを魔改造なんてしてないよね?


 「あっそうそうアリスお姉ちゃんー。飛鳥クイーンハロウィンからこんなの貰ったのー」


 そう言って飛鳥ちゃんはぷかぷかと空中に浮かぶと、数メートル先に瞬間移動してみせた。

 それを見たウィルが真顔で私の方を向いて口を開く。


 「師匠、やっぱり魔改造してるじゃないか」

 「待って、クイーンハロウィンは私関係ないからそんな目で見ないで」


 てか瞬間移動って何!?

 飛鳥ちゃんなんてスキル貰ってるの!?


 「クイーンハロウィンと色々話して、やっぱりこういう移動系のスキルって便利だよーって薦めてくれたのー。でもこの【短距離移動】スキル、ちょっとまだ燃費悪いから空飛んでるとあんまり使えないのー」

 「まぁそんなスキル低燃費だったらずるいもんね…」

 「俺…あのまま師匠の元にいたらどうなってたんだろ…」


 妹弟子(?) の成長を見て何故かウィルが身体を振るわせてしまっている。

 いや私そんな飛鳥ちゃんに付きっきりで修業とかしてないからね?

 ウィルのは時間がなくて少しスパルタになっただけだからね?


 「それにしても飛鳥お嬢様が移動系統のスキルを入手するとは思いませんでしたね。これはいずれ空中戦で右に出る者がいないのでは? お嬢様の弟子育成能力、このトア感服いたしました」

 「トアさんまでどうしたの!? てかいつの間に!?」


 あーもう話がややこしくなってきたよ!


 「そういえばお嬢様はお聞きになりましたか?」

 「何を?」

 「どうやら沼地を突破できたプレイヤーがいるそうです」

 「あ、そうなの?」

 「はい。どうやらあの沼地にはレイドボスがいたらしく、それを倒した事で霧がかなり薄くなったとのことです」

 「へー」


 となると王都と古都を繋ぐ街道に現れたレイクトレントと同じ感じの妨害系ボスってところかな?


 「それでどんなボスだったの?」

 「はい、レイドボスはミストモスキートエスカルゴという名前だったそうです」

 「ちょっと待って。それは蚊なの? カタツムリなの? どっちなの?」


 モスキートなのにエスカルゴってどういうこと!?


 「どうやら蚊の嘴のようなのを頭に付けたカタツムリで、その嘴から【霧魔法】を噴出してくるレイドボスのようです」

 「なんかどっかのゲームでいそうな合成獣みたいなモンスターだね…」

 「はい。しかも硬いし霧のせいで攻撃魔法も効きにくくかなり厄介だったそうです。そして更にHPが減ると更に濃い霧を噴出して逃走するとのことです。ただ動きは遅いとのことです」


 あー…それは確かに厄介だ。

 濃い霧の時点でフェイトが怒るぐらいだったし、更に逃走まで図ると倒すのは大変そうだ。

 しかも場所は沼地だから動きは遅くてもこっちが沼地に足を取られて追うのは難しい。


 「倒すのかなり大変そうだね」

 「ですので異例の複数レイド戦のような形で各所にレイドPTが配置して何とか倒したようです。参加者は二度とやりたくないと嘆いていました」


 うん、気持ちはわかる。

 私もあの沼地での戦闘はやりたくないもん。


 「とまぁこんな形で沼地からの道が解放されたわけです。ですのでこの機に沼地を越えるのも手かと思います」

 「そうだね。また時間が空くと妨害レイドボスが出現するかもしれないもんね」


 となると銀翼にいるリンは既に動いているだろうし、ショーゴたちやルカたちを誘って沼地の先を目指してみようかね。


 「じゃあ予定決めて皆で沼地を超えよー」

 「「おー」」

 「…あれ? これもしかして俺たちも参加の流れ?」

 「えっ…?」


 いや、ウィルとクオたちも一緒に行けた方がいいよね?

 そんなスキルレベルも低すぎない程度だし、特に問題ないよね?

 だから二人ともそんな顔を青くしないでって。

珍しいアリスのツッコミ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ