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Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
338/370

悪霊たちの宴⑰

 フェイトの探索による誘導で私たちは一番前を走る飛鳥ちゃんを追い掛ける。

 一応海花も置いてくことはできないため、私が背負って移動しているのだけど…。


「うへへ…お姉様に背負って…うぷっ…これが天国と地獄…」

「海花、ずるいから降りて」

「嫌よ! 誰がこの天国を…うっ…」

「お願いだから私の背中で吐かないでね…?」


 いくら洗い流せると言っても流石にちょっとね…?


「とはいえ騒ぎが大きくなってきましたね」

「確かにこんな状況じゃ探すのなんて無理だよね…?」


 私たちの目には悪霊たちに乗っ取られて奇声を上げながら走り回ったり、建物の上に登ったりしているプレイヤーたちの姿が映っている。

 その乗っ取られたプレイヤーたちを追いかける仲間であろうプレイヤーたちも、隙あらば悪霊に乗っ取られ、更なる悪循環に陥ってる形で現場は大混乱を起こしていた。


「まぁ幸い住人に危害や被害は出てないようだし、そこは良かった」

「それで飛鳥ちゃん、どうやってこの状況で探し者を見つけるの?」

「それなんだけど、お姉ちゃんたちには乗っ取られてるプレイヤーをどんどん解呪していってほしいのー」

「まぁそれぐらいなら…」


 ルカとトアさんがいれば罠とか遅延での捕獲は簡単そうだし。


「飛鳥は上から様子見てるー。だから精霊様と天使様は飛鳥を支えててー」

「それぐらいならまぁいいわよ」

「ここまで来て手伝わないわけないでしょうに」

「じゃあ二人とも飛鳥ちゃんをよろしくね」


 そう言って飛鳥ちゃんを抱えた二人は上空へと飛んで行った。

 さて、私たちは飛鳥ちゃんの指示通りに捕まえますか。



 ◇



「おーはやーい」

「まぁお姉ちゃんだしねぇ」

「傍から見たらただの通り魔にしか見えないわよあれ」


 上空から街を眺めていると、アリスお姉ちゃんが凄い速さで建物の影とかから現れて悪霊に乗っ取られてる人たちを捕まえて地面に押し倒しているのが良く見える。

 ルカお姉ちゃんもアレニアの糸で罠を張ってどんどん捕縛していってるし、トアお姉ちゃんも上手く誘導して捕まえてるし凄いなー。


「とっと、飛鳥もちゃんと見てないと」

「それで結局何を監視してればいいのかしら?」

「えっと、お姉ちゃんたちが悪霊に乗っ取られてる人たちをどんどん捕まえていくと騒ぎは減ってくからこの激しい人の移動も大人しくなると思うのー。そこでこの騒ぎの中心から移動していく人を探すのー。あるいは悪霊を出そうとするような動きだったり、悪霊を移動させようとするような動きを見つければそこが大本のはず」

「それなら今こそ私の【監視】スキルの出番ね! そこまで条件が決まっているなら監視しやすいわ!」

「条件さえ決まれば見つけやすいのはいいわねぇ。あたしの場合だと広域探索ならいいけど細かい探索は限度があるもんね」

「そもそも【監視】スキルは不特定多数というよりも特定の者を視るためのスキルだもの。性質の違いよ」


 精霊様も天使様も凄いけど、やっぱり苦手な部分ってあるんだなー。


 そして数十分後、お姉ちゃんたちの活躍で騒ぎも治まるのと同時に動きがあった。


「…見つけた。ここから更に南東方向、不自然に人目を避けて行動する男の子の姿が」

「南東ね、そっちに多めに送るわ」

「むしろ包囲しちゃっていいと思うけど。大量の虫だし乗っ取れるほど悪霊もいないでしょ」

「それもそうね。とりあえず逃がさないように道を塞いどくわ」

「じゃ、行きましょうか」

「はーい」


 私は精霊様と天使様に支えられたまま、天使様が見つけた男の子がいる場所へと向かう。


 精霊様が包囲した男の子のいる場所の近くに降りると、男の子は飛鳥を見て怖がるように表情を歪ませる。


「なっなんだお前たちは!?」

「えっと、この前あった悪霊に追われてた男の子だよね?」

「!?」


 合ってたっぽい。

 よかった。


「お、お前たちもどうせ俺を捕まえに来たやつだろ!」

「たち?」

「そうだ! お化けたちから聞いたぞ! 霊界の女王が俺を霊界へ連れてくために探してるって! 人間が霊界なんて行ったらどうなっちまうかわからねえのに行きたくなんてない!」


 ??

 イマイチ話がわからない。

 探し者って事は少なくても霊界の関係者ってことだよね?

 でも人間?

 どういうことだろ?


「ねぇリエル、どうなの?」

「んー…視た感じ少なくても人間ではないのだけど…。というかスピリチュアルチャイルドってなんだったっけ…確かお父様から教わったような教わらなかったような…」

「そこはしっかりしなさいよ…」

「うっ五月蠅いわね! 霊界の事なんて関わりないしそんな覚えてるわけないでしょ!」

「てか何でそれで自分を人間って思ってるのかしら? まるで記憶喪失かあたしみたいに土地神様に頭弄られたみたいじゃない」

「さらりとエグイ話するわね…」


 精霊様の発言を聞き、男の子は驚いたように飛鳥たちを見る。


「何で俺に数年前以前の記憶がないって知ってるんだ!?」

「「「あ、それは正しいんだ」」」


 でも精霊様みたいに頭弄られたとか怖いことじゃなくてよかったー。


 「でも少しおかしいわね」

 「精霊様、何がおかしいのー?」

 「いやね、記憶喪失だとして何故そこまでクイーンハロウィンを怖がることになるのかしらって」

 「それに…ついては…私が説明…する…」


 飛鳥たちの後方から声が聞こえた途端、男の子の周りで漂っていた悪霊たちが騒ぎ出した。


 「なっなんであんたがここに…!?」

 「あっクイーンハロウィンだ」


 クイーンハロウィンは飛鳥達の後ろから金色の髪をなびかせ、左手で悪霊らしき靄を握り締めながらゆっくりと飛鳥たちへ近付いてくる。

 って、あれ?

 そういえばクイーンハロウィンって北西側にいたんじゃなかったっけ?

 いつの間に来たんだろ?

スピリチュアルチャイルドって語呂悪いけど、ゴー〇トチャイルドにすると少しまずいし仕方ないよね()

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