レヴィ
実はこれまでの話にレヴィが小さくなった理由のヒントが…。
召喚したレヴィの大きさが全長一メートルぐらいの大きさで、そこら辺で見かけることもある普通の蛇より少し大きいぐらいだけど、アナコンダと言った巨大な蛇よりは全然小さい。私と契約したせいかなと思って【鑑定】を使ってレヴィのステータスを見てみる。
名前:レヴィ【封印状態】
―ステータス―
【牙】【封印中】【紺碧魔法】【紅蓮魔法】【物理軽減(弱体化)】【封印中】【偽りの仮面】【隠蔽(弱体化)】【水術】【環境適応】【MP上昇+(弱体化)】【自動回復+】【封印中】
特殊スキル
【体形変化】【封印中】
レヴィが【封印状態】となっているので調べてみるとこのような説明となっていた。ついでに他のスキルの詳細も調べてみた。
【封印状態】:契約を交わした幻獣の能力を封じる、もしくは低下させる。封じられているスキルはスキル名が見えず【封印中】と表示され、低下しているスキルには(弱体化)と付く。封印状態を解除するには対価を払う必要がある。対価は幻獣によって異なる。時間経過で再度封印状態になる。これは契約者にしか見ることができず、他者からはスキルが無いように見える。
【紺碧魔法】:水魔法の上位スキル。
【紅蓮魔法】:火魔法の上位スキル。
【物理軽減】:物理攻撃のダメージを軽減する。
【偽りの仮面】:ステータスを偽る。契約者には効果がない。
【隠蔽】:鑑定系スキルからステータスを隠す。契約者には効果がない。
【水術】:水泳の上位スキル。
【環境適応】:様々な環境に適応する事が出来る。
【自動回復+】:時間経過でHPとMPが回復する。
【体形変化】:体形を自由に変えることができる。
「うーん…」
どうやらレヴィが小さくなったのは、契約するとある程度能力が抑えられるからっぽい。確かに最初にレヴィのステータスを見た時は【隠蔽】が【高度隠蔽】になってたし…。他にも弱体化と付いてるから下がってるんだよね? でもこの状態でも十分ステータス高いよね…。
そういえば社長も幻獣は一定の強さを持っているって言ってたし、今思い出したけどユニークペットは一部スキルや能力が封印された状態とも言ってたし、今のレヴィの状態とあってるからさっきの考えは当たってる感じだね。スキルにレベルがないのは一定の強さを持ってるからあえてないのか、それとも封印状態だからかは解除しないとわからないし…。
でも対価ってなんだろう? ご飯食べさせればいいのかな? でもそれはあくまで一緒に行動する上での対価だからまた別なのかな? 説明にも幻獣によって異なるって言ってるし…。うーむ…。
「キュゥ?」
いつの間にかぶつぶつ言ってた私を心配したのか、小さい身体のままで私の肩までレヴィが登ってきた。
「んっ、大丈夫だよ。それよりレヴィのスキルに【体形変更】ってあるけどどれぐらいまで大きさ変えられるの?」
「キュゥ!」
レヴィは見ててと言わんばかりに飛び降り、少し離れた場所でスキルを使ったのかその青い身体が少し発光した。するとレヴィの大きさがどんどん大きくなり、その大きさが止まるぐらいには幅一メートル程の大きさになって私が背中に乗れるぐらいだった。
「これがレヴィの封印状態の最大かぁ…」
まぁでかい。誰が何と言おうがでかい。確かに封印前よりは大きさは小さくなっているが、十分でかい。
封印前なんてこれの五倍近くはあったと思うし…。
するとレヴィはまた先程の大きさに戻って私の肩へと登ってきた。どうやら私の肩が定位置になりそうだ。そして最小はこの大きさかな? まぁこれぐらいなら蛇ですって言えば通じるよね?
そんな事を考えていると、湖の畔にイカグモさんたちが集まってきていた。ってそうか、すっかり忘れてたけどレヴィをここから出してっていうお願いされたんだった…。
「もうレヴィ―リヴァイアサンはこの湖から退いてくれるから大丈夫だよ」
「――」
「それと、色々助けてくれてありがとね。今度何か持ってくるね」
「――」
「ん?」
私がイカグモさんたちにお礼を言うと、イカグモさんが何かモゾモゾし始めた。何かな? と思ってみていると、どうやら糸を吐いているようだ。それを何個かの毛玉になるように丸めて私の方へ置いてくれた。
「これ貰っていいの?」
「――」
イカグモさんの足が水面から出て上下に動いているため、きっと貰っていいのだろう。私はありがと、と伝えて近くに置かれた毛玉を回収した。せっかく貰った物なので鑑定してみようと思います。
イカグモの糸【消耗品】
粘着性や伸縮性が高く、軽くて強度が大きい糸。粘着性は熱を加えると下がっていく。水中でも使用することができる。
確か糸とかは水を吸いやすいって聞くし、そのせいで着衣水泳は水を吸って動きにくいって聞くけど、この糸で水着やTシャツを作れば普通に泳げるってことかな? そう考えるとかなりいい物を貰えたのではないだろうか。イカグモさんありがとうございます。
「キュゥゥ」
「――」
レヴィも私の肩から降りてイカグモさんたちに挨拶? をしています。特に争う様子は見えないのでたぶん仲直りできてるんだろうね。よかったね、レヴィ。
「――」
「キュゥ!」
お話が終わったのかレヴィが私の肩へと登ってきます。さてと、私たちもそろそろ行こうか。今度はイカグモさんたちにお土産を持って来ようね、レヴィ。
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一応街に着く前にレヴィを召喚石に戻します。他の人に詮索されるのは嫌なので…。
無事に街の中に入れました。そういえばイカグモの話をナンサおばあちゃんに伝えないと。まだ起きてるかな?
「おばーちゃん、アリスです。起きてます?」
おばあちゃんの家の前に着いたので小さくノックします。反応なかったら明日起きた時にまた来よう。
そう思っていると、扉が開きます。
「こんな遅くにどうしたんだい?」
「もしかして起こしちゃった? そうだったらごめんなさい…」
「いいや、少しくつろいでいただけさ。まぁ入んな」
「お邪魔します」
ナンサおばあちゃんは普段通りですが、少しそわそわしてる気がします。
「んでどうしたんだい?」
「えっと、この前言ってた西の森の奥にあるっていう湖の件なんだけど…」
「あぁ、やっぱりただの噂話だったかいな。悪いね、わざわざ調べさせるようなことさせて」
「ううん、ちゃんと湖あったよ?」
「え…?」
「それとイカグモさんもちゃんといたよー」
「いっいや…アリスや…」
「どうかしたの?」
私また変な事言っただろうか?
「アリスや…西の森の奥に行くのにどれぐらいかかったんだい?」
「えーっと…大体八時間強かな?」
「よく森のモンスターに襲われなかったねぇ」
「そこは大丈夫。木の上伝って移動してたから」
「……」
「おばあちゃん?」
「あぁ…悪いねアリス…ちょっと驚いただけだよ…」
そんな驚くようなこと言ったっけ…?
「それでねイカグモさんからこんなの貰ったよ」
私はおばあちゃんにイカグモさんから貰った毛玉をアイテムボックスから取り出して渡した。
「これが…」
「うん、水の中でも使える糸だから色々使えそうなの」
「水の中でも!? アリスにはホント驚かされてばっかりだよ…」
「あと湖でユニークペットと契約したよー」
「っ……」
「おばあちゃん?」
「アリス…ちょっと待っておくれ…気持ちを落ち着かせたい…」
「うっうんっ!」
私はおばあちゃんが落ち着くまでじっと待ちます。しばらくすると落ち着いたのか、「いいよ」と言うので話を続けます。
「それでね、契約した子をここに出してもいいかな?」
「…部屋を壊さない大きさかい?」
「そこは大丈夫。今は小さいから」
「…わかった。出していいよ」
「じゃあおいで、レヴィ」
私がレヴィを呼ぶと、アイテムボックスの中に入っている召喚石からレヴィが召喚された。
「キュゥゥゥ」
「この子が私と契約したレヴィだよ」
「こっこの蛇は何てユニークモンスターなんだい…?」
「えっと、リヴァイアサンだよー」
「リッリヴァイアサンだって!?」
「うっうんっそうだけど…」
おばあちゃんはとても驚いた様子でレヴィを見つめています。レヴィも驚いたのか、私の肩から顔を隠そうとしています。
「…その昔、どこかの海で巨大なドラゴンの幻獣が暴れまわっていたらしく、その幻獣のせいで何人もの漁師や港が襲われていた。そして、そのドラゴンの幻獣がリヴァイアサンだったという話だよ」
「レヴィそんな悪いことしてたの?」
「キュゥゥ?」
レヴィは首を傾げているということは、レヴィじゃないリヴァイアサンが昔にはいたってことかな? もしくはレヴィの親とかかもしれない。
「まぁそんなことで、あまりその子の真名は言わない方がいいね。わかったかい?」
「うん、気を付けるね」
おばあちゃんはレヴィの真名…種族名が知られることで、私に何か起こる事を予感してこういう忠告をしてくれたんだろう。そう考えると最初におばあちゃんのところに来てよかった…。
「もし誰かに言うなら海蛇にでもしておけば大丈夫だろうよ」
「まぁレヴィも見た目は蛇だからそれで平気そうだよね」
「キュゥゥ!」
「じゃあおばあちゃん、色々とありがと」
「あぁ、気を付けるんだよ」
「ほら、レヴィもお礼言って」
「キュゥ!」
私とレヴィはおばあちゃんにお礼を言って家を出た。
さてさて、リーネさんのところに行って泳ぐ用に水着を作って貰いたいけど…水着の素材となるやつって他にあるのかな…? ないなら絶対目立つよね…。…どうしよう…。
一ヶ月毎日更新達成しました!
これからも頑張っていきたいです!
2016/8/1 レヴィ【封印状態】についての説明を修正しました。それにともない文章の修正を行いました。




