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Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
312/370

【敗北者】④

「いひひっ…これだけレベルが上がれば…」


 彼はフードを被って街の隅っこで一人スキル一覧を見てほくそ笑む。


「これでもう誰も僕をバカになんてできない…今に見てろよ…」


 根暗という理由だけで学校でいじられ、いじめられ、そのストレスをたまたま抽選に当たったNWOで発散しようとした彼。

 だが現実はそんなうまくいくものではなく、直接攻撃を受ける環境からモンスターとの戦闘がうまくできず、度々モンスターにやられ死に戻りをしていた。

 そんなある日、彼は初心者狩りに会ってしまい抵抗する暇なく倒されてしまった。


 それからだった、彼がPKに執着するようになってしまったのは。

 ストレスを発散するために始めたNWOも次第にその目的が変化し、ただただ自分をバカにしているという一種の被害妄想まで入ってしまい、彼はPKを行い、そして返り討ちに合い続けた。

 だが彼にとって顔も正体もわからないNWOだからこそできている行動であり、現実ではそんな事を欠片すら見せない。

 そして遂に手に入れてしまった。

 そのスキルが何を意味し、何のために実装されたかなど知らずに…。



 ---------------------------------------------------------------



 ログインした後、トアさんに色々とショーゴや進藤君から話を聞いたので、分かってきた事を話す。


「つまり、そのPKに足りないのは友達なんだ!」


 と、私が発言したらトアさんが盛大にずっこけた。

 あれ?

 変な事言ったかな?


「さ、流石ですお嬢様。まさか私もそのような結論に至るとは思いませんでした」

「いやぁそれほどでも」

「…褒めてはないのですがね…」

「えっ?」

「何でもありません。ですが友達を作ると言いましてもきっと話など聞かないと思うのですが?」

「まぁそこは…手足斬れば抵抗できなくて話聞くんじゃないかな?」

「〇町式交渉術じゃないんですから普通それで話を聞く人はいないかと…」

「やっぱりそういう交渉術ってあるの?」

「いえ今のは気にしないでください」


 えー気になるんだけどなぁ。

 でも襲ってくるけどそこまで強くないならやっぱり手足斬った方がいいと思うんだけどなぁ?


「そもそもお嬢様がそのPKと友達になる必要はあるのですか?」

「それを言われると…。でもまずは切っ掛けを作ってあげるのも大事じゃないかな? ウィルだって私たちが仲裁して仲良くなったし!」

「以前その話を聞きましたが、あれとはまた別パターンです」

「うぅ…」


 でも今の無差別PKの問題解決のためにはまずは話し合う必要があると思うんだ。

 というか皆も皆で相手が弱いって事であんまり気にも留めてないからなぁ…。

 周りがそういう態度だとあっちも一向にやめようとしないだろうし…。

 となればやっぱり別の楽しみ方を教えてあげるべきだと思うんだ。

 だけどこの様子だとルカや海花たちもダメって言いそうだなぁ…。


「でもこのままじゃ収まりつかなさそうじゃないかな?」

「いえ、どうせストレス解消でプレイしているのですし、その内消えていくでしょう」

「そういうものなのかな?」

「はい。ですのでお嬢様もお気になさらずに」


 うーん…何か引っかかるんだよなぁ…。

 いくら負け続けてるからって何の対策もせずに負けてるっていうところが特に…。

 それに最近聞こえ始めたトドメとなる攻撃に対する無効化スキル。

 いくら何でもここの運営がそんなスキルを何の考えもなしに実装するかな?


「お嬢様は何か引っかかる点がおありなのですか?」

「うーん…うまくは言えないんだけど、そんだけ他への恨みとかがあるなら大罪の悪魔を呼び寄せてもおかしくない気もして…」

「他者への恨みとなりますと…【嫉妬】か【憤怒】、あとは力を欲するという意味で【強欲】、それに向上心の無さから【怠惰】も当てはまりますね。ただ【嫉妬】についてはお嬢様が既に従えていますのでそこは除外ですね」

「私としては【怠惰】は確実にアケディアに惹かれると思うからそれも除外かなぁ…」


 あの怠惰っぷりに勝てるプレイヤーはいないだろうし…。


「となりますと残る可能性は【憤怒】と【強欲】ですか。ただそうなりますと【憤怒】の可能性の方が高くなりそうですね」

「どうして?」

「【憤怒】を司るサタンはヘブライ語で『敵対者』や『妨げる者』、そして『誹謗する者』を意味します。ある意味今のPKの状況にピッタリでしょう」


 あー…言われてみれば確かに…。

 私はレヴィとリエルを呼び出して話を聞いてみる。


「今の話を聞いてて、二人は何か思った事とか気になった事とかある?」

「キュゥ…」

「一応【監視】スキルは使えるから悪魔の気配の感知はできるけど、細かくは無理ね。でも気付いたら教えてあげるからそこは心配しなくていいわ。ちなみにレ…レヴィ…兄さん…はわからないって言ってるわ」

「そっか、ありがと」


 リエルもまだレヴィの事を呼ぶのは慣れていないようだ。

 まぁその内呼ぶのも慣れるだろう。


「まぁここまで対応手段があれば大丈夫でしょうかね? お嬢様の事ですし、やると言ったら聞かないですし」

「その言い方は語弊があるような…」

「本当に語弊がありますか?」

「…いえ…その通りです…すみません…」


 割とごり押してる部分もあるし、否定できないのが辛い…。


「さてあとは件のPKを探すことだけですね。早速探すとしましょう」

「おー!」

「キュゥ!」

「お、おー…。…なんで私までこんな事を…」

一体どういう方向へ持ってこうとしているのだろうか(錯乱

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