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Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
311/370

【敗北者】③

「正悟ー」

「んー?」


 なんだかんだでNWO内で予定が合わなかったため、私は大学で正悟に話を聞くことにした。


「どうしたんだ?」

「ちょっと聞きたい事があるんだけど、今平気?」


 正悟の周りにはよく一緒にいる男子学生もいたため、何か話してることがあるならまた後にしないといけないしね。


「別に大した事じゃねえから気にしなくて平気だぞ。んでどうした?」

「おい正悟君よぉー。確かに雨宮さんの用事と比べたら俺が次の参加者抽選に当たった話なんてどうでもいいけどよー」

「次の参加者抽選?」

「あぁ、進藤がNWOの第…えーっと何陣だっけか?」

「六陣だよ! ようやく抽選に当たったんだよ!」

「へーそうなんだー」


 となると正悟のPTに入るのかな?


「それで、どうしたんだ?」

「あーうん、ちょっとネットゲームでのPKの心情とかってどういう感じなのかなって聞きたかったの」

「PKの心情?」

「PKかー」

「進藤君も何か知ってたら教えてくれる?」

「別にそれぐらいお安い御用さ」


 どうやら進藤君もネットゲームをやっていたようで、そこら辺の事はある程度わかるようだ。


「つっても俺らはネトゲでPKをやってたわけじゃねえからなぁ」

「確かになぁ。正悟も俺も普通にプレイしてただけだしな」

「まぁPKにもいくつか種類はあるけどな。一つ目に純粋にPKをする事を楽しんでいるやつ。二つ目は最初は普通にプレイしていたけど、PKをされたりしてるのを見て自分もしたくなった、というやつ。三つ目はあんまりいないと思うがストレス解消にPKをやるやつ」


 正悟の話からすると、アワリティアは一つ目ってところで、件のPKは三つ目でいいんだよね?


「それでなんで三つ目があんまりいないの?」

「単純にPSだったり、武器防具、それにレベルの差とかもあるしな。ネトゲだと基本動作は同じだから、どれだけ時間や金を掛けたかとかで大きく変わるから、ストレス解消というだけでそこまでやるやつなんてほとんどいないんだよ」

「普通のネトゲだと課金したもん勝ちってのが大きいしな。それで無課金をぼこってスカっとするっていうのもいるっちゃいるが…まぁそれやんのは金に余裕があるやつらだな」


 となると、高校生ぐらいっていうトアさんの話から考えるとそのお金を掛けてっていうタイプは当てはまらないだろう。

 そうなると本当にストレス解消にPKをしているタイプなのだろう。


「でもなんで急にPKの事なんて聞きたくなったんだ?」

「ちょっとトアさんとかが襲われたから色々と話聞いておきたかったの。全員返り討ちにしたって言ってたけど」

「そういやそんな話もあったが…てか「とか」って事は他にも襲われたのか?」

「えっと…」


 流石に他の人がいるところで首狩り教の話はしたくないから、私は正悟の耳元に顔を近付ける。


「あのね、首狩り教の人も襲われたの」

「っ!? わ、わかったから少し離れろ!?」

「んっ? うん、わかった?」


 何かやっちゃったかな?

 私は正悟の言う通り少し離れる事にした。


「おいおい正悟君、何の内緒話だい?」

「別になんでもねえからそのニヤケ面やめろ!」

「またまたー」

「んぅ?」


 私は二人が何の話をしているのかわからず首を傾げる。

 正悟と進藤君って仲いいんだなー。


「しっかしNWOでストレス解消かー。全く無駄な事してんなー。それなら俺と抽選変わってほしかったわー」

「無駄な事なの?」

「いやまぁ雨宮さんは普通にNWOを楽しんでるようだからそれでいいと思うんだけど、ネトゲだとストレスを解消するつもりで逆にストレスを溜まるっていうのもあるんだよ」

「ゲームをやってるのに?」


 普通ストレスとかを発散するためにゲームをしたりするよね?


「例えばだけど、自分の思い通りにならないだったり、敵にやられたりとかいった具合にね。だから今のゲームにはチートコードだったり色々なストレスフリーシステムがあったりするんだよね。でもNWOではそういうシステムはないから、本当に自分でどうにかするしかないんだよ。だからそういうゲームでストレス解消を求めるのは間違いって俺は思うんだよね。つか俺と変われ!」


 なるほどなぁ。

 つまり件のPKはストレスを解消するつもりが、逆にストレスが溜まってるって感じなのか。


 「進藤君ありがと、参考になったよ」

 「そ、そう?」

 「お礼と言ってはなんだけど、進藤君がNWOにきたら初心者用のポーションセットプレゼントするよ」

 「おっマジで! よっしゃぁ!」


 それに正悟の友達だしね、少しぐらいは支援してあげなきゃ。

 チラッと正悟の方を見ると、何故か顔を抑えてたけど…何かあったのかな?


 「じゃあ私そろそろ帰るね。正悟はどうする? 一緒に帰る?」

 「いや、ちょっと進藤と話すことがあるからそれが終わったら帰るわ」

 「それなら私終わるまで待ってるよ?」

 「ぐっ…ならちょっと男同士の話だから少し離れててくれ…」

 「ん? わかった?」


 まぁ正悟にも聞かれたくない事だってあるだろうし、少し離れて待ってよう。



 「おい正悟、そんな深刻そうな顔してどうしたんだ?」

 「おい進藤…悪いことは言わねえからNWOではアリサとリアルでの知り合いってのは隠せ! お礼のポーションセットは俺がアリサに頼んだって事にしろ! いいな!」

 「は? どういう事だ?」

 「これは友人に対しての警告だ! 下手にリアルの知り合いなんてバレてみろ!」

 「どっどうなるんだ…?」

 「…不特定多数から嫉妬の対象になる…」

 「…お前…NWOでどんな目にあってんだよ…」

ふぅ…何とか糖度が低くて済んだか…(達成感

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