表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
297/370

嫉妬VS神の光③

 ミールド山脈に行く前に一つやっておかなければいけない事を思い出したので、私は一度王都で孤児院をしている教会へと向かった。

 教会へ向かうと、ちょうど外で掃除をしていたアシュリーさんに声を掛ける。


「アシュリーさん」

「あら、アリスさん。どうなさいましたか?」


 遠くにいたエルザさんが私が来た事に気付き、他のシスターを呼んで「ほらっ! あそこにいるのが聖女のアリスさんっすよ!」と他のシスターたちと覗き見しながら話しているのが微かに聞こえたが、今はそれよりもアシュリーさんだ。


「先日の件で姫様にお話したい事があります」

「…わかりました。という事でエルザ、少しアリスさんと歩いてきますので他の子と一緒に子供たちの事お願いしますね」

「っ!? うっす!」


 あっさりと覗き見しているのがバレたエルザさんたちは姿勢を正して敬礼をする。


 私はアシュリーさんについていき、『嘆きの里』が隠されている墓地へと向かう。

 そこで『嘆きの里』が隠されている石碑―ではなく、ただの墓石の前に座り、石碑の時と同様に何かを唱える。

 すると石碑と同様に墓石が動き、その下に階段が現れた。


 「アリスさん、どうぞ」

 「はい」


 私はアシュリーさんに続いて階段を降りていく。

 アシュリーさんは私が入ったのを確認すると、また何かを唱えて墓石を動かし、入口を塞ぐ。

 そしていつの間にか用意していた手燭に火を付け、そのまま道沿いに進んでいく。


 「やっぱりここも抜け道の一つなんですか?」

 「えぇ、と言ってもここは私たち暗部用のですけどね。ですが姫様の元へ行くにはここが一番近道なのです」


 なるほど…。

 てか王都抜け道多くない?

 気のせい?


 しばらく階段を登ったり進んだりとすると行き止まりへと辿り着く。

 一瞬道を間違えたかな? と思ったが、アシュリーさんが再び唱えると行き止まりの壁が動き、その先には左右に分かれた通路があった。


 「さて、ここまで来れば一般の兵はいませんし大丈夫ですよ」

 「一般の兵って事はここを通るのは特殊な人たちって事ですか?」

 「えぇ、そしてその管理をしている姫様の部屋に近いのです。っと、話している間に着きましたね」


 以前は暗かったのであまりわからなかったが、凝った装飾を施された扉の前へと着いていた。


 「姫様、アリスさんがお話したい事があるとのことですのでお連れしました」

 「入ってらっしゃい」

 「失礼します」

 「しっ失礼します」


 私はアシュリーさんに続いて部屋の中へと入る。


 「あら、先日は貴女の代わりにメイドから報告を聞いたのだけど何かあったのかしら?」

 「はい、その件でお話があります」

 「…聞きましょう」


 私の様子から真面目な話と察したのか、姫様はリラックスしていた姿勢を正す。


 「私はこれから再びミールド山脈へ行き、天使と戦ってきます」

 「そう。それを言うために来たのじゃないのよね?」

 「はい。その戦闘で全力を出した際に王都方面に何かしらの被害が出てしまう可能性があるため、その事を伝えに来ました」

 「被害…ね。具体的には?」

 「水害と思ってくださって構いません。それと若干の地震も」

 「それは大変ね」

 「出来る限り王都から離れて戦闘できるように誘導はしますが、それに関しては相手次第なので確約はできかねます」

 「まぁ相手が天使ですし仕方ありませんね。とはいえそれをただ許容するわけにもいかないわ」

 「はい。ですので水害対策として私の知り合い…と言っていいのかわかりませんが、首狩り教という組織にミールド山脈方面に堀を作ってもらうようお願いしようかと思います」


 私と似たようなスキルを取ってるって事は地形操作は可能なはず。

 それをある程度の範囲で作ってもらえればもしもの時の被害の軽減ができるだろう。


 「そこまで考えてるならいいでしょう。貴女が戻ってくるまで異邦人以外のミールド山脈方面への立ち入りを禁止しておきましょう。と言っても今現在で既に立ち入りを禁止しているのですけどね」

 「そうだったんですか?」

 「流石に天使がいるのですから。下手な興味で近付いて王都にまで引き込まれたら大問題ですしね」


 確かに…。

 善人ならいいが、悪人が近付いて変な挑発にならないとも限らない。


 「それにしてもわざわざ一言言いに来るなんてね。やっぱり貴女聖女として私の元で働かない?」

 「えっ? いえ…被害を起こす可能性があると言っている本人が何で聖女扱いなんですか…」

 「報告・連絡・相談をしているのよ? しかもその被害を軽減するための備えまで考えている。十分聖女として通じるわ」


 あれっ?

 聖女って何だっけ?


 「それとその組織はどう指示するの? 貴女は天使の元へ行くから細かい指示はできないでしょ?」

 「そこは繋がりのあるアシュリーさんにお願いしようかなって思っています」

 「確かに私が適任でしょうね。彼らにはよくしてもらっていますし」

 「ならそれはアシュリーに任せるわ。立ち入りを管理している兵士たちに何か言われたら私の名を言いなさい」

 「わかりました」


 さて、これでやっておくべきことは全部手を打ったかな?

 一応既にファナティクス経由で首狩り教に手伝ってもらえるように連絡は付けている。

 あとは姫様の許可次第という事は言っておいたから、たぶんメンバーは集めてくれている途中のはず。


 「じゃあ報告を楽しみにしているわね」

 「できる限り王都に被害が出ないように頑張ります…」

 「もし被害が出たら私に奉仕という形で謝罪してもらおうかしら」

 「姫様、悪い癖が出ています」

 「あら失礼」


 奉仕って…一体何をしろって言われるんだろう…。

 不安だ…。

ほうれんそうは大事(震え声

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ