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Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
294/370

助言と書いて無茶振りと読む

「『だから我は何度同じことを言えばよいのだ…』」

「いやぁ…割と緊急事態な事には変わりなかったので…」

「ギュゥ!」


 私はレヴィに叫んでもらうようお願いをし、レヴィのお父さんに海底神殿まで運んでもらった。

 レヴィのお父さんは呆れているが。


「『それで、今度はどうした?』」

「えっと、実は王都の北の山脈にウリエルが現れまして…」

「『何だと!?』」


 ウリエルの名を聞いた途端、レヴィのお父さんは目を大きく開いて驚いたようなそぶりを見せる。


「『あの頑固親父の天使が現れただと!?』」

「あっいえ、現れたのは女の子です」

「『女子だと? …もしややつの娘か?』」

「そこら辺の事情は私たちにはわからないので何とも…」

「『だが何故やつの娘が地上へ…? 確かにやつの娘はお転婆だがわざわざ地上まで降りてくる事はないはずだが…』」

「あっ何か私を指…というか剣差して父親が言ってた悪魔め的な事言ってました」

「『……』」


 私の話を聞くと、急にレヴィのお父さんが顔を反らし始めた。

 んっ?

 どうかしたのかな?


「どうかしましたか?」

「『…いや…そのだな…』」

「はい」

「『…恐らくやつの娘が言ってた悪魔とは我の事であろう…』」

「…はい?」



 どうやら詳しく話を聞いてみると、原因はレヴィのお父さんのいる海底神殿の存在が異邦人であるプレイヤーに知られた事らしい。

 レヴィのお父さんの推測だが、恐らくその事でウリエルのお父さんが愚痴か何かを零したのをその娘が聞いて早とちりしただろうと言う。


「でもなんでウリエルなんですか? 他の天使でもおかしくないとは思いますけど」

「『ウリエルが司る美徳は【忍耐】であり、我が司る大罪である【嫉妬】の対となるのだ』」

「あー…」


 対の関係だからウリエルが出張ってきたという事か。


「でも天使がそんな簡単に姿現していいんですか?」

「『基本悪魔と違って天使は天界にある自身の住処から出てこない。出て来るとしても創造主やそういった者たちから頼まれでもしないとな。だが例外はある』」

「例外?」

「『対となる大罪が姿を現した時、その抑止力として出現するのだ』」

「つまり大罪の悪魔が暴れた時にそれを止めるのが美徳の天使って事ですか?」

「『その認識で間違ってはいない。ただ我らも下手に暴れると創造主たちに消されることもあり得るから今はそう暴れはせんがな。だからこそ全力で暴れる場所の制限としてこの住処があるのだ』」


 なるほどそういう設定にしてあるのか。

 確かに無闇に大罪レベルのモンスターが暴れたらゲームどころじゃないもんね。

 てか今の現状だとレヴィのお父さん一人ですら全プレイヤーが攻撃して何とかとかそういう気がするし…。

 そんなのが後六人でしょ?

 無理無理。

 どんな防壁建てようが、レヴィのお父さんの津波で詰むもん。


「『だが今回に至っては我は特に暴れてもおらん。つまりやつが出てくる必要はない』」

「って事はただ単にその娘が暴走してるだけって事ですか?」


 私の質問にレヴィのお父さんが大きく頷く。

 それを聞いてチラッと掲示板を見てみると、その娘についてのスレが立っており、もはや祭り状態であった。

 どうやら『神の光(ウリエル)』の光が原因で完全に見つかったらしい。

 あまりの威力に緊急レイド戦では? という憶測が立ち、攻略組を始め、多くのプレイヤーがミールド山脈へと乗り込み始めたらしい。


「…どうしましょ?」

「『…我は知らん、とは言えないな。憶測ではあるが原因の一端は我であるからな。それに万が一にでもヤツの娘がやられでもしたら洒落にならん。流石のヤツでも暴れるかもしれん』」

「…それ普通大罪側が困らせる側なんじゃないんですか?」

「『天使は基本親バカだからな。その子がやられれば黙っていない。その点我ら悪魔は自由であるからな。子も好きにさせている』」


 そう言いながら最初レヴィの事で怒ってた気がするんだけど…。


「とにかく何とか止めないと…」

「『うぅむ…。手っ取り早いのはヤツに直接娘を回収してもらう方法だが、どうせヤツの事だ。人間の事は見つけれても娘の事は見つけれんだろう』」

「何でですか?」

「『ヤツの持つ【監視】スキルはあくまで人や悪魔、そして魔獣などを監視するためのスキルだ。天使を監視するスキルではない。故に天使は捕捉されず、直接見つけるしかない。しかも今頃我の住まう海底神殿の辺りを監視しているだろう。おかげで騒ぎが起こっておる北側に目などいっておらんだろう。まぁいい気味だから決して教えてやらんがな』」

「ちょっとー!?」


 つまり父親の助けは期待できないと…。

 一体どうすれば…。

 だがその解決策をレヴィのお父さんが提案してくれる。


「『別に難しく考える必要はあるまい。愚息同様にお前が使役してしまえばよかろう』」

「いやいや! あの敵対心から無理ですよね!?」

「『なに、人の身であればヤツのスキルで怖いのは【神の光(ウリエル)】と【忍耐】ぐらいであろう。今なら囮が大量であろうから撃ったのを確認してすぐさま襲撃すれば案外簡単に行くだろう。しかも見習い天使なんぞ特殊スキルさえ封じてしまえば恐るるに足りん』」

「簡単に言いますけど割と大変ですよ!? 軽く見積もっても封印解除時のレヴィと同等なんですよ!?」

「『そこを工夫するのが人というものであろう』」


 むっ無茶苦茶だ…。

 とは言えやるしかないんだろうなぁ…。

皆さんも経験があるはず(確信

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― 新着の感想 ―
[一言] 悪魔ですら逃げ出す怖さを持ってるんだから天使にも効くんでない(笑)特に説教モードなら(笑)でもこの作者はいいね。ちゃんと大罪と対になる美徳まで出してくれて。
2020/06/26 16:40 退会済み
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