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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
287/370

予定は未定

「へー、東野グループの一人娘が婚約だってよ」

「東野グループってあの大きい会社のところの?」


 私と正悟は鈴の着物の着付けを待っている間、ソファに座ってテレビを見ていた。


「あぁ。でも社長とその奥さんが事故で亡くなって色々ごたついてたっていう話もあったが、こんなニュース流すぐらいだしある程度落ち着いたんかね」

「その相手ってどんな人なんだって?」

「画面に書いてあんだろ。って、高校の一つ上の部活の先輩ってめっちゃ庶民じゃねえか…」

「わーお玉の輿?」

「はてさて何があったのやら…」


 高校生で婚約かー。

 やっぱりお金持ちのところは早いところにそういう婚約者とか決めちゃうもんなんだね。

 お金持ちもお金持ちで大変だ。


「てかアリサ、秋祭りだからって昼から何も食ってないとかマジか?」

「本気と書いてマジと読む」

「祭りは割高ってのはわかってんだろうが…」

「雰囲気代を含めてあの料金と納得してるのです!」


 お祭りは楽しまなくちゃ!

 それにしても鈴遅いなー。

 やっぱり新しく買った着物だから着付けに時間掛かってるのかなー?

 私と正悟は以前のお月見で着ていた着物にしてるから着慣れている意味でそこまで時間掛からなかったんだけど、鈴って着物とかを柄とか模様重視しちゃうから複雑な物でも選んじゃうからなぁ…。

 私はシンプルイズベスト!

 簡単に着れるのが好きなのだ!

 …まぁNWOでは簡単に着れるからちょっと凝ったデザインとかのやつにしてるけど…。


「つっても10月になるけどまだそこまで寒くないから着物で行けるってのはラッキーだったけどな」

「祭りでただの服は勿体ないからね」

「一応羽織れるのは持ってくから肌寒くなったら言えよ」

「はーい」


 まぁ食べてればそこまで寒くならないだろうし平気でしょ。


「そういえば朱天はどう? ちゃんと言う事聞いてる?」

「あぁ、アリサのおかげでばっちりだ」

「おぉ。ちゃんと言い付けたこと守ってるんだね」

「まぁ…少し効きすぎた部分もあるがな…」

「えっ?」

「なんでもねえ。それより今後アリサは活動どうするんだ? 和風マップ解放されただろ? そっち行くのか?」

「んー…まだ悩んでるー」


 ルカと一緒に和風マップに行って茨木童子と会ったりするのもいいし、沼地を抜けて新しいところを探したりしてもいいかもだし、色々と迷ってるんだよね。

 あとはアシュリーさんが管理してる『嘆きの里』の攻略に向けてスキル強化したりとかね。

 って言っても、『嘆きの里』に関しては【狂気耐性】を上げないといけないからなぁ…。

 アシュリーさんにお願いしてスキルだけ取ってレベル上げに付き合ってもらおうかなぁ…。


 そんなこんなで正悟とNWOの話をしていると、着付けを終わらせた鈴がやってきた。


「お待たせ~」

「鈴遅かったねー」

「ちょっと胸辺りで色々あって時間掛かっちゃったわ~」

「へー…」


 むぅ…。

 鈴のメロンめ!

 また大きくなったのか!

 私成長してないのに!


「はいはい鈴もアリサをからかうような事はやめてさっさと行くぞ」

「あらあらからかってないわよ~? それとも正悟が気になったのかしら~?」

「…気になってません」

「語るに落ちるとはこの事ね」

「むぅ!」

「うぉっ!? アリサどうした!?」


 私は頬を膨らませて正悟の右腕にしがみつく。


「早く行こ!」

「あらあら~じゃあ私はこっちね~」

「おい鈴っ!?」


 そう言って鈴は正悟の左腕に腕を絡ませて横に並んだ。


「あら、アリサは良くて私はダメなのかしら~?」

「お前…わかってやってんだろ…」

「さぁ何の事かしらね~。でもこう三人で一緒にいるのも久々ね~」


 確かにそう言われればそうかもしれない。

 特に鈴は銀翼関連で忙しいのもあってあまり私たちと行動を一緒にすることはできない。

 正悟はまぁ私のお店でアイテムを購入する関係上割と会うんだけどね。


 ちなみに私も後から知ったのだが、鈴たち銀翼は防衛イベントの時には西側にいて熊童子と戦っていたらしい。

 なのでそれを聞いた時はてっきり銀翼が熊童子の子を手に入れたものと思ったのだが、交流会の時に銀翼の人は見なかった。

 となるとやっぱりボスの子供は相性で選ばれるという事だったのだろう。

 実際安定の団長さんがMVP報酬として熊童子から刀を貰ったらしい。

 ただ団長さんは刀は使わないため、それがどうなったかは不明だ。

 一応トレード不可とは書いてなかったので、他の人にトレード等で渡せるはずなのでたぶんギルド内で分けたんだと思う。


「やっぱり銀翼って忙しいの?」

「そうね~。メンバーが多いって事はそれだけ管理しなきゃいけないし、一応攻略組に入るから新しい場所の探索や既存の素材の収集とかもしないといけないからね~。一応銀翼での私を含める上の方はプレイヤーイベントで手に入れたリヴァイアサンの素材で防具はパワーアップしてるからだいぶマシなんだけどね~。でもあんな素材どこにあるのかしらね~? ギルドの戦力アップとして集めたいのよね~…」


 鈴の言葉に私と正悟が不自然じゃない程度に目を反らす。

 ごめん鈴…それに関しては私は何も言えないしできないんだ…。

 正悟は隠し報酬という意味で知ったけど内緒にしてくれてるし…。

 鈴だけ仲間外れという感じがとても心苦しい…。

 …またゲーム内での半年後ぐらいに匿名でリーネさんにお願いしてオークションに出すから…。


「正悟は今後どうするの?」

「俺はいつも通りだな。スキル上げて適当に探索して素材集めて武器防具作ってって感じの。つか朱天が色んな場所みたいっていうから割と色々回って疲れる…」

「あら正悟パパは大変ね~」

「誰がパパだ!」

「パパぁーアイス買ってー」

「アリサも悪乗りするな!」

「テヘペロ」


 さてはてもう10月になるけど、今年も残すとこ二ヶ月か。

 何だかんだ半年もやってるんだなぁ。

 だけどその分NWOでの生活は充実してるし、楽しい。

 だから二人にお礼を言わないとね。


「正悟、鈴。ありがと」

「お、おう?」

「急にどうしたの~?」

「んー? 何でだろうねー」


 私はニッコリとしながら正悟と鈴と一緒に秋祭り会場の神社へと向かった。

これにて第五章完!

第六章はのんびりなはず(真偽不明


ダンジョンメーカーがPCゲームじゃなくて携帯ゲームだったことに驚愕を覚えました。

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