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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
285/370

小鬼たちの交流会

「それで私にどうしろって?」

「お願いアリス…」


 何故か私の前には土下座をして頼み込むルカの姿があった。


 事の発端はとある掲示板のコメントから始まったらしい。

 ルカ曰く、今回のイベントでペットにしたローザたち鬼の子供たちの交流会をするという事になったらしい。

 それについては良い案だとルカ自身も思ったらしい。


 だが一つ問題があった。

 それはルカの人見知りだ。

 一応ショーゴもその交流会の参加者なのだが、その他にも六人程の飼い主がいる。

 だがルカが一応話せるのはショーゴしかいない。

 そこでルカは私にヘルプを求めて来た。

 ヘルプと言っても私自身が参加するわけではなく、ただ交流会に使用するお店に私のお店を使わせてほしいという事だ。


「まぁ別にそれは構わないけど…」


 先に断って貸し切りのため通常営業はお休みとかいうお知らせなり看板なり置いとけばいいからね。

 でも私のお店でやるって事は料理とかの用意もした方がいいよね?

 まぁ料理も朱天やローザたちに好みを教えてもらえばできなくもないけど…。


「でも結局私はそこまでフォローとかできないよ?」

「アリスがその場にいるという事実だけで頑張れる」

「えぇ…」


 どういう事なの…。

 でもまぁルカがここまで助けを求めてくるなんて早々ないし、手伝ってあげよう。


「わかった。とりあえずお知らせとかしないといけないから日にちが決まったら早めに教えてね」

「うんっ!」


 茨木童子にも頼まれたし、まぁいっか。




「なるほどな。交流会がアリスの店になったのはそういう経緯か」

「うん。まぁ私も茨木童子に頼まれたからね。他の子も何かあったら私を頼ってくれるように顔を覚えてもらおうかなって」

「ホントアリスらしいわ」

「主様~まだかえ~?」

「朱天、まだ全員揃ってねえんだからもう少し待てって」

「じゃあ茨木のと遊んでおるぞ~」

「はいっ姫様!」

「ローザ、外に出ちゃダメだよ」

「はーい」


 待ちくたびれている朱天がローザを連れて私のお店の中を歩き回る。

 一応トアさんに同行をお願いしてあるからまぁ大丈夫だろう。


「でもそろそろ時間だよね?」

「あぁ。まぁ全員一緒に来るんじゃねえの?」

「んったぶん」

「何で?」


 私のお店の場所がわからないとかじゃないよね?

 ルカも追加で看板立ててくれたって言ってたし。


 そんな事を考えていると、お店のドアが開きチャリーンと鈴が鳴る。

 そこには子供五人と蜘蛛を肩に乗せた合計六人のプレイヤーがいた。


「あっ交流会の人たちですね? どうぞお好きな席へ」

「あっあぁ…遅くなってすまない…」


 六人の中の一人が申し訳なさそうに謝罪をするが、私はそれを「気にしないでください」と返す。

 そうして交流会参加者全員が席に着いたのを確認し、私は料理を運ぶ準備をするために離れる。

 離れた場所から開始の音頭のような声が聞こえてきたので、どうやら交流会が始まったようだ。

 さてさてルカは…って、早速縮こまってるし…。

 私は料理を運びテーブルに置いた後、ルカに声を掛ける。


「ほらルカ、頑張って」

「んっ…頑張る…」


 どうやらルカは同じペットを持つ土蜘蛛の飼い主に声を掛けたようだ。

 よし! ルカ頑張れ!


 次に私は子供たちに目を向けると、子供たちは子供たちで全員が飼い主の膝の上やら席から離れて立って集まって話していた。

 どうやら近況について話し合っているようだ。

 てか虎の被り物をしている子…何か可愛い…。

 ああいう被り物っていいかも…。

 今度フェイトに何か被せてみようかな。


 っと、結構話が弾んでるのか飲み物が無くなりそうな人がいるな。


「飲み物注ぎますね」

「あっはい…」


 少し前屈みになって空いてたグラスに飲み物を注ぐ。

 って、何か視線が…?

 そう思って周りをキョロキョロと見ると、さっきの虎の被り物の子が私を睨んでいた。


「こら主っ! 何してんだ!」

「虎!? べっ別に何もしてないぞ…?」

「嘘だっ!」


 そう言って虎と呼ばれた子は飼い主の身体をよじ登り、頭の上まで登ると頭をガジガジと噛み始めた。


「だっ大丈夫ですか…?」

「あぁご心配なく、いつもの事なので…」


 いつもの事なのか…。


「ほら虎、驚いてるからやめなさいって」

「うぅー!」


 飼い主に言われて渋々噛むのを止め、今度は正面からしがみつくようにぎゅっと抱き着く。

 それを見て金髪の鬼っ娘も駆けるように飼い主の元へ戻り、しがみつき始めた。

 私がどうしたのかなとキョロキョロとしていると、私の袖を青色の髪をした男の鬼っ子が引っ張ってきた。


「あまりお気になさらずに。金熊も虎熊も主に甘えたいだけなのです」

「そっそう…?」

「あっ僕は熊童子の子のウルスと言います。こちらは星熊童子の子のスーと牛鬼の子のシュティーア、そして土蜘蛛の子のスパーダです」

「小さいのに偉いね。私はこの店の主のアリスだよ。茨木童子から皆の事は頼まれてるから、何かあったら頼ってね」

「はっはい…」


 熊童子の子がその場にいた鬼たちの紹介をしてくれたので、つい頭を撫でてしまった。

 まぁ嫌がってる様子はないし大丈夫だよね。



「初対面のショタまで落とすとは…さすアリ…」

「アリスってやっぱり天性の誑しじゃねえかなって思うんだよなぁ…」

「うぅ~っ! 俺の主を誑かしやがってー!」

「いや虎…誑かされてないから…」

「ふっふんっ! 別にあたしは気にしてないんだからねっ!」

「はいはいそうだねーマリー」

「う~! そのにやけ面やめろー!」

「…あーこの料理うめー…」

「おい現実逃避するな! お前のペットが【首狩り姫】に誑し込まれてるんだぞ!」

「…俺のところのスーも誑されそう…」

「流石に俺のところのシュティーアは…って何か照れてる!? いつの間に!?」

「なっ!? 俺でもまだスパーダの好みを把握していないのに迷わずスパーダの好みらしき食べ物を出しただと!?」

「あっごめん、それたぶん私のアレニアのせい」



 ウルスたちと話してたらいつの間にかルカたちの方が騒がしくなってた。

 どうやら仲良く話せているようでよかったよかった。

 この調子なら第二回以降も私のお店で開催してもいいかもね。

無意識(反らし目

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