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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
282/370

百鬼夜行⑰

 地面に寝っ転がってごろごろしていると、イベントクリアーの知らせと同時にリーネさんから連絡が来た。

 どうやら北東の戦況報告をしにきてほしいらしい。

 っと、そうだそうだ。

 鬼の姫が見つかったって伝えておかないと。

 たぶんまだ探してくれてるよね?

 でも茨木童子も撤退したし、もう戦闘は終わりってことでいいんだよね?


「じゃあ皆ー街に戻るよー」


 私の指示に従って皆が帰り支度をし始める。

 朱天とローザはお互い手を繋いでショーゴたちの後ろについて歩く。


「って、そういやルカ」

「んっ?」

「何で茨木童子の子供の名前をローザなんて女の子っぽい名前付けたんだ?」

「…え? 何でって…」

「ショーゴ? この子…女の子だよ?」

「はっ…?」


 見た目がボーイッシュな上に着物も男物を着てるからわかりにくいかもしれないけど、ローザは女の子だ。


「…もしかしてわかってなかった?」

「いやだってよ…」

「女心わかってない。アリスに怒られちゃえ」

「うっ…」


 私はローザの頭を撫でながら歩くが、ローザは特に気にしていないようだ。


「いば…ローザは男前だからのぉ。よく間違えられてたのぉ」

「姫様、茨木でも平気です。僕の主君は呼び方はどちらでもいいと言ってました」

「おぉそうか。なら妾は今まで通り茨木のと呼ばせてもらうぞ」

「はいっ!」


 朱天とローザの二人が嬉しそうに笑顔になって歩くのを見て、私たちもつい笑顔になる。

 …って、朱天は飾りで角隠れてるけどローザの方は角がもろに見えちゃってる…。

 んー何か隠せるような布とか帽子は…って、ルカ、その赤いリボンはどうしたの。

 随分用意周到だ…って、それまさか私に付けようとしてた?

 うん、そこで顔反らさない。


 ルカがローザの角を隠すようにリボンを二つ付けると、ローザは照れたように頬を赤く染める。


「えっと…姫様…どうですか…? やっぱり僕には似合いませんよね…?」

「そんな事ないぞ。似合っておるぞ」

「ローザ、似合ってる。それに髪の色もアリスに似てるし、色々参考になる」

「ルカ…一応聞いておくけど、何の参考になるの?」

「…秘密」


 秘密って…。

 ヘンな事しないでよね?


 のんびりと歩いて街の中に入ると、どこも既に祭り状態でバイキングのようにテーブルに料理やら飲み物が置かれており、帰ってきたプレイヤーたちが料理を食べて飲んで騒いでいた。

 あー…私たちもさっさと報告終わらせてご飯食べたい…。

 私たちは主要メンバーと一緒に司令部の建物へと入る。


「リーネさーん、来ましたよー」

「おー待ってたにゃー。ほらほら座って座ってー」


 私たちはリーネさんに聞かれるまま北東の戦況を報告した。


「ふむふむ。つまり茨木童子は撤退してその子供がルカちゃんと一緒にいるって事でいいかにゃ?」

「はい。あと酒呑童子の娘がショーゴと一緒にいます」

「へー酒呑童子の娘にゃのかー。それはまたま…酒呑童子の娘!?」


 まぁさすがに驚くよね。


「アハハ…。それが鬼の姫という事なんで私たちも驚きましたよ」

「てっきりそういうのはアリスちゃんかと思ったんだけど予想が外れたにゃ…」


 リーネさん…貴女私を何だと思っているんですか…。


「でもまぁこれで鬼の子供はMVP報酬に近い形ってのはわかったにゃ。あとは各鬼を倒した名刀辺りってところかにゃ? アリスちゃんたちは何貰ったのかにゃ?」

「えっと、私は髭切っていう太刀を貰いました」

「太刀ならアリスちゃん一応使えるからよかったにゃ。まぁ長さが全く違うから扱えるかは別だけどにゃ」


 確かに少し長かったからなぁ…。

 ちょっと練習しないと…。


「それにしても防衛成功報酬とかはまだかにゃ? でも私は特に戦ってにゃいからにゃぁ…」

「そういうのって何かしらの補填はあると思うんですけどねぇ?」

「たぶんあるはず。なかったら運営を恨もう」

「にゃはは…」


 ルカはたまに冗談か本気かわからない事言うからなぁ…。

 リーネさんと話していると、メッセージが届いた音が鳴った。

 どうやら来たようだ。

 私はそのメッセージを開く。

 するとモニタのような画面が映し出され、そこには社長が映っていた。

 どうやら周囲に人がいるとまとめて見れるように少し大きめに映し出されるようだ。

 その証拠に私たちの正面に移るように映し出されている。


『さてプレイヤーの諸君、イベントお疲れ様。なかなかの大型イベントだったが楽しんでいただけたかな? 先の知らせの通り、君たちは無事街の防衛に成功した。そして更に鬼の撃退、撃破にも成功した。そのため防衛報酬と撃破報酬を送らせてもらう。まず防衛報酬はSP10ポイントに10万G、そして正式にこの大陸へ繋がるゲートの設立だ。ただゲートの開通は現実世界での一週間後とさせてもらう』


 一週間…恐らく撤退中の茨木童子たちが逃げる時間の確保の意味でだろう。

 普通は追撃なんてしないだろうが、一定数はそういう人がいてもおかしくないだろうし…。

 でもゲートの正式な設立って…失敗してたら復旧作業から始まった感じなのかな?


『そして次に撃破報酬だ。これについては最終日に君たちがいた方角のボスの素材がランダムで送られる事になっている。なお、色々と動いていた場合はその方角分が含まれてのランダムとなる。そして生産職のように戦闘に参加できなかったプレイヤーに関しては完全ランダムになっている』


 なるほど。

 って事は私たちは茨木童子の素材って事になるのか。

 でも素材と言われても…どんなのだろ?

 考えていると、報酬を送ってきたであろうお知らせが届いた。



 防衛報酬

 SP10ポイント

 10万G


 撃破報酬

 茨木童子の角*1

 茨木童子の角*1

 茨木童子の血液*1



 …えーっと…。

 角はまぁうん、まだわかるとして血液ってどういう事?

 しかも茨木童子の血ってHP吸収とかそういう影響あるやつじゃないっけ?

 大丈夫?


「アリスちゃんたちは何貰えたのかにゃ?」

「私は茨木童子の骨と爪二個」

「私は角が二個の血液一個ですね」

「ふむふむ。私は土蜘蛛の毒液に星熊童子の骨に牛鬼の爪だったにゃ。まさか本当にランダムとは…。これ素材集めるだけでもかなり大変にゃ…」

「まぁ少なくても八体ボスがいたことになりますからねぇ…。でもその内の七体が倒されてしまったけどどうやって素材集めるんだろ?」


 私の不安を拭い去るように、社長の説明が入る。


『なお今回君たちが倒したボスが出るダンジョンがこちら側に出現するため、報酬で得た素材を集めたい場合はそこに挑戦してくれ。ただし、あくまでダンジョンという事で最大人数はレイド戦という事は考慮しておいてくれたまえ。そして場所については頑張って探してくれたまえ』


 あー…。

 確かにダンジョンってなると人数の上限あるから数でごり押しはできないって事か…。

 しかもそれってボスもランダムって事でしょ?

 私たちは茨木童子しか当たってないけど、他にはもっと厄介なボスがいただろうし…。

 うん、考えないでおこう。


『それでは23:59までは強制転移は発生しないため、各々自由にしているといい。では長い話は嫌われるためこの辺にしておこう。次のイベントも是非楽しんでくれたまえ』


 社長の話が終わるとモニタが消え、外がまた騒ぎ始めた。

 どうやらイベントの話はこれで終わりのようだ。


「さて、運営からの話も終わった事だし、アリスちゃんたちも楽しんでくるといいにゃ。今日に限っては街の住人も出てこないっぽいし、ペットにした鬼を出しても平気はずにゃ」

「じゃあローザ、アリスたちと一緒にご飯食べよう」

「わかった。僕も主君たちが食べる食事には興味あるから少し楽しみだよ」

「主様! 妾も食べたいぞ!」

「わーったわーったから少し落ち着け」


 おやおや随分と懐かれているようで。

 まぁ私も茨木童子から頼まれたししっかりと面倒を見よう。



 こうして、私たちの防衛イベントは無事終了を迎えることができたのであった。

やっと終わった…(遠い目

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