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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
276/370

百鬼夜行⑪

「くっ!」

「ほらほらっ!」


 茨木童子は腕を鋼鉄のように硬くして攻撃をしてきている。

 今までの鬼はこん棒を使っていたため、てっきりそういう物を持って戦うと思っていたのだが、まさかの肉弾戦とは思わなかった。

 てか動きが早い!


「ふんっ!」


 通常剣を持った相手に対しては三倍の実力がないと対抗できないと言うが、それは一撃貰えば終わる相手の場合だ。

 この鬼のように肉体が鋼のように硬ければそんなの関係ない。

 むしろ無刀の利点はその手数の多さだ。

 刀のように武器一つが攻撃手段ではなく、肉体そのものが攻撃手段になる。

 腕だけで二つあるにも関わらず、足も入れれば軸足を除いて三つも攻撃手段がある。


「お母さんっ!」

「ギュゥ!」


 ネウラの操る植物が茨木童子を拘束し、それに合わせて巨大化レヴィが尻尾で圧し潰そうと攻撃を仕掛ける。


「甘いっ!」


 それを茨木童子は拘束を簡単に破り、レヴィの巨体を右手で受け止める。


「ふっ!」


 私は意識がレヴィに向いた瞬間を狙って一気に切り込む。


「ギュゥっ!?」


 だが茨木童子はそれを待っていたのか、一瞬レヴィを宙に持ち上げ、空いた右手で私にカウンターをする。

 間一髪避けることができたが、顔を掠ってしまった。

 しかし、こちらも浅いがすれ違いざまに一発入れることができた。


「やるねぇ」


 再び左手でレヴィの身体を支えている茨木童子は私を称賛する。


「レヴィ下がって!」

「ギュゥ…」


 やっぱり大ボス級なだけあってあんな一発じゃほとんどダメージ喰らってないか…。


「さてウォーミングアップはこれぐらいでいいかな?」

「そのままずーっとウォーミングアップしてくれてもいいんですよ…?」

「ハハハッ。そうしたいのは山々だが、君の仲間が来る前に仕留めさせてもらうっ!」


 そう言って茨木童子は勢いよく踏み込んで突っ込んで来る。

 でも直線状に来てくれるならやりようはあるっ!

 私は地面に手を翳す。


「『地形操作―隆起(ライズ)!』」

「何っ!?」


 私自身が立っている場所を隆起させると同時に、茨木童子はその隆起した土の壁に右手を突っ込む。


「はぁぁぁぁっ!」


 私はそのまま上から転がるように落下し、刀を右肩に突き刺す。


「ちぃっ!」


 茨木童子は土の壁を振り払うように右腕を振って壊し、そのまま私を殴ろうとする。

 今回は避ける時間があったため、攻撃を喰らうことなく回避することができた。

 ダメージは…おっ、割と喰らってるっぽい。

 見てわかるぐらいには減っているのが確認できた。

 てか流石に突き刺したから返り血が結構付いちゃった。


「まさかこんな手で来るとは思わなかったね」

「こういう搦手ぐらいしか通用しなさそうですからね」

「いやぁ本当に惜しい。ここまでの戦いで君が歴戦の剣士という事は理解した。だが悲しいかな、君では俺には勝てない」

「何を…!」


 そう言って茨木童子は右手を私に向けて翳す。

 一体何を…っ!?

 相手のHPを見てみると、削ったはずのHPが回復しており、ダメージを与えたはずの右肩の傷が完治していた。

 それに対して、右手を翳されてから特に攻撃を喰らっていないはずの私のHPが逆に減っていた。


「一体何がっ!?」


 HP吸収!?

 右手を翳しただけで相手のHPを奪う能力!?


「さて、これで振り出しに戻った」


 まずいまずいまずい!

 HP吸収能力なんてどう対処したらいいかなんてわからない!

 吸収する条件は!?

 接触!? 攻撃を何回か当てる!? 範囲内!?

 ダメだ対処法が全く思いつかない!


「ご主人様っ!」


 今まで空中で自分の攻撃に巻き込まないように位置取りを気を付けていたミラが私の前に現れ、牽制をするように茨木童子に対して血の槍を飛ばす。

 だが、茨木童子は私たちの中でも最も貫通力がある攻撃にも関わらず、全部腕で弾いていく。


「まさか御同類までいるとはねぇっ!」

「くぅっ!」


 茨木童子は血の槍を全て弾き、ミラと両手を組むように力比べをする。


「大人ならともかく、ひよっこじゃ俺に対抗できねえだろうよ!」

「がぁぁぁぁっ!」

「ミラっ!」

「ギュゥッ!」


 ミラが茨木童子の両手を抑えている間にレヴィが横から攻撃を仕掛けようとする。


「ふんっ!」

「きゃぁっ!?」

「ギュゥッ!?」


 その瞬間、ミラはレヴィの方にぶんっと投げられ、レヴィは慌てて攻撃を止めるが、うまく止めきれず硬直を作ってミラを受け止める。


「ペットの心配なんてしてる場合じゃねえよっ!」

「がっ!?」


 ミラたちへの意識の隙を突かれ、私は茨木童子の突きをもろに喰らう。


「ごふっ…。でっでも…捕まえたっ…!」

「なっ!?」

「ナイスよアリスっ! 『付加―【紅蓮魔法】!』」


 放たれた右手を両手で掴み、逃がさないようにする。

 それと同時にアリカを出して虚を突いて炎を纏った刀で茨木童子の腹を突き刺す。


「もう一発っ! 『グラビティゾーン』!」


 アリカは振り上げた足を降ろす瞬間に自身に重力を掛け、蹴りの威力を上げて茨木童子に対して踵落としをする。


「ぐっ!?」

「一旦下がるわよアリスっ!」

「うっ…うんっ…」


 私はグラビティゾーンをすぐさま解除したアリカに抱えられ、一旦茨木童子から距離を取る。

 さすがに頭に踵落としを喰らったから少しは動きが止まってくれたようだ。

 にしても結構ダメージを喰らってしまった…。

 私はポーションを飲んで回復をするが、距離が離れたためか途中HPの吸収は行われなかった。

 やはり距離が影響あるのだろうか。

 だけどあのHP吸収をどうにかしないと茨木童子は倒し切れないだろう。

 何か対策を立てないと…。

あれこれあと数話で締めれるのか…?(白目

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