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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
256/370

暴走は誰にも止められない

 救護施設での手伝いが終わり、私とルカはトアさんと合流する。


「トアさんもう話は終わったの?」

「はい、大丈夫です」

「あっ、そういえばリーネさんに当日トアさんも私たち側でいいのか聞くの忘れてた…」

「まぁ…大丈夫じゃないですか? 何なら私が後で確認しておきますので」

「あーうん、お願いしてもいい?」

「かしこまりました」


 なら後確認しておくことは特にないかな?

 拠点作りはルカがやる気満々だし、森については私がせっせとやる感じだし。


「いっその事リスポーン地点も選べたらいいのに」

「それって暗に私たちは森でイベント終えるって言ってない?」

「一応…保険も…必要だし…」


 ルカ、そこで顔を反らさない。


「にしてもよく皆お城の建て方なんてわかるよね」

「いえ、そうでもないようですよ」

「えっ?」


 そう言うとトアさんはある一角に向けて指を差す。


「えーっと下積みはこれがこれでこうなって…」

「いいからどんどん覚えてきた事書き込め! 確認は全員が書き終わった後に確認すりゃいい!」

「くっそぉぉぉぉ! 覚えてきたことをこっちで書き写す事になるとは思わなかったぁぁぁぁ!」

「城作りとか内容濃過ぎんだよ! 土塁と石垣のメリットデメリット本によって微妙に違いすぎてわからねえよ!」


 あぁ…そういう事ね…。

 確かに建築学とかやっていたとしても普通はお城なんて建てないもんね。

 皆わざわざログアウトして調べてそれを書き写してるのね…。


「まぁ覚えきれるかは、趣味かどうかでも変わるし」


 確かに私も童話とか童謡は結構好きだから覚えてる節がある。


「生産職って大変そう」

「いや、ルカも片足突っ込んでるよね? 社とか鳥居作るのって生産職に入るよね?」

「アリス、それは違う」

「どう違うの?」

「私がやってるのはアリスのための生産。強いて言えばアリス職」

「何か新しい職業できてない?」

「宗教では首狩り教もあるし、職業でもアリスに関連するものがあってもおかしくない」

「いや、おかしいところしかないからね?」


 何故私に関係すると宗教や職業ができるんだ…。

 私はやれやれといった具合に溜息をつく。

 そんな私たちの会話をじっと聞いていたトアさんがふと口を開く。


「それにしてもお嬢様方はとても仲良しですが、何かきっかけとかあったのですか?」


 きっかけかぁ…。

 そもそもルカと出会ったのがハーフェンに行くための馬車の中だしなぁ。


「あれは私がぼっちでハーフェンに行く時の事」


 あれ?

 それ語るの?


「馬車の中には知らない男の人しかいなくて怖かった。でもそんな中一人、アリスがいた」


 確かにあの時は私とルカぐらいしか女性はいなかったけど…そこまで大袈裟な事だったかな?


「そんなアリスに勇気を出して声を掛けた。そして膝枕をしてもらった。…あれはとてもよかった…」

「そこまでうっとりするようなものじゃないよね?」

「そのような事が…。私も是非膝枕をしてもらいたいものですね」

「いや、そこまで羨ましがるものじゃないですからね?」


 つい最近エルザさんにもしてあげたし。

 まぁあれは慣れてないのもあったから変な反応しただけだもんね…。


「そんなこんなでアリスと一緒に狩りをして仲良くなった。キャンプイベントでもアリスのご飯、美味しかった。お嫁さんに欲しいと思ったぐらい」

「私がお嫁さんだとルカがお婿さんになるけど平気?」

「…リアに性転換薬作ってもらわないと」

「冗談だからね!? あの薬は危険だから禁止!」


 作り方が出回ったらホント何が起こるかわからないからね…。

 リアもルカにお願いされたら一つぐらいは普通に作りそうだし…。


「リアお嬢様と言えば、お店の近くには同じぐらいの歳の子供もいませんし、どこかでお友達でも作ってあげるといいかもしれませんね」

「あー…」


 確かにリアの歳ぐらいなら普通に友達と遊んでるよね。

 リアもだけどサイもそういった事言わないからついつい気が付かないでいたよ…。


「このイベントマップ次第かもしれませんが、無事エアストの方とゲートが繋がるようならば、お嬢様の別邸をこちらに構えてもいいかもしれませんね」

「別邸?」

「はい。別にこちらではお店といった事はせず、リアお嬢様方が近い歳の子と遊ぶための拠点として利用するのもアリなのではないでしょうか。例えばお嬢様がこちらのマップに用がある時に一緒に来るなどして、お嬢様は本来の用を済まし、その間はリアお嬢様とサイ様はこちらで息抜きとして遊ぶといった具合に」


 確かにトアさんの提案はいいかもしれない。

 私がいない間にエアストから離れるっていうのは不安だけど、私がいる時という制限があれば安心できる。

 それこそ、リアやサイに仲の良い子ができたら二人の将来的にも繋がりができる。

 何ならその子の家族含めて、私のお店の方に住み込みしてもいいぐらいだ。

 トアさんが増えたと言っても、部屋はまだ余ってるし。

 あれ?

 これって結構良い提案なんじゃ?

 私もこっちでの探索とかが長引いたらここでの拠点で寝泊まりできるし、何なら色々道具とかも置いておける。

 それこそこっちでの人を雇って余ってるアイテムを売り出してもいいぐらいだ。

 まさにラビットティーパーティ二号店といった具合に。


「そうなるとお店とこっちでの家を繋ぐためのポータルとか必要だよね。そういうのってあるのかな?」

「えっと…今の話からどうしてお店と繋ぐ話に…」

「えっ? だってお店と繋がってれば余った素材とかアイテムすぐ送れるでしょ?」

「あの…お嬢様…。まだ家も建ってないどころかちゃんと繋がるかもわかってないので先走りすぎるのはちょっと…」

「…これ、アリスが暴走するやつだ。アリス、リアたちのためならどこまでも頑張っちゃうから」


 えーっと、それならまずは運営にそういったアイテムの確認を…って、運営が答えてくれるとは思えないからショーゴに聞けばいいかな?

 たぶんショーゴなら知ってるだろうし。

 あとはそれがあったとして、お金も結構掛かるだろうしお金集めもしないといけないかも。

 いざとなったら山王鳥の卵を市場に出して…。

 あとは…。


 この後、アリスの暴走思考が終わるまでルカとトアは見守るしかなく、トアは失言をしてしまったと反省した。

たまに暴走する主人公(素

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