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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
255/370

三者三様

 屋台の片付けを行い、私たちはリーネさんの元へと向かった。


「リーネさん、いますかー?」

「いるから入ってきて平気にゃー」


 テントの中に入る前に一度声を掛ける。

 すると中からリーネさんの声が聞こえたので中へと入る。


「そろそろ来ると思ってたにゃ」

「えっ? 何でですか?」


 特にリーネさんのところに行くなんて連絡してなかったはずだけど…。


「ちょっと掲示板でアリスちゃんたちの事を聞いたからにゃ。それで、何があったか言いに来たところだよね?」

「はい…」


 私は先程の件をリーネさんたちに伝える。

 それを聞いてリーネさんは「うんうん」と頷く。


「掲示板の内容とほぼ一致してるにゃ。まぁアリスちゃんに非はにゃいのは確実だからそこまで気にしないでにゃ」

「わかりました…」

「まぁそうは言っても難民さんたちの事は気ににゃってるだろう事はわかってるし、そこについてはこっちの方でフォローしてるにゃ」

「すいません余計な手間まで掛けてしまって…」

「いいにゃいいにゃ。その分当日には馬車馬のように働いてもらうからにゃ」


 にゃははと笑いながらリーネさんは話を続ける。


「それとその男性プレイヤーについてはまだ把握してにゃいからそこだけはごめんにゃ」

「いえ、私の方こそルカとトアさんが止めてくれなかったら流血騒ぎになっていましたし…」


 完全に首か腕は持っていっただろうし…。

 それを聞きリーネさんは少し苦笑いをする。


「それはちょっと勘弁にゃ…。てかアリスちゃんそこまでキレてた感じにゃのね…」

「いやぁ…今思うとあの時はキレたせいでアリカまで出てきた感じが…」

「にゃ? アリカ?」

「あっなんでもありません」


 おっとっと…。

 アリカについてはリーネさんには話していなかった…。

 別に色々相談に乗ってくれてるリーネさんには説明してもいいんだけど、こうも人が多いところでそれをするのはねぇ…。


「まぁこっちでも今後そういう事が起こらないように気を付けるにゃ」

「元はと言えば私のせいなのにすいません…」

「いいにゃいいにゃ。それよりもアリスちゃん、救護施設の方で塗り薬とか欲しいっていう声があったからちょっと行ってきてほしいにゃ」

「わかりました」

「じゃあ私も手伝う」

「では私は少しこちらでお話を聞いていようと思います」


 ルカは私についてきて、トアさんはリーネさんと少し話をしたいようだ。

 私は「行ってきます」と言ってルカと一緒に救護施設の方へと向かった。



 ---------------------------------------------------------------



「それで、その姿で会うのは(・・・・・・・・)初めてだと思うけど…今は何て呼べばいいかにゃ?」

「先程お嬢様がおっしゃったようにトアでお願いいたします」

「わかったにゃ」


 私―トアは少しリーネさんと二人きりで話がしたいという事で人払いはしてもらってある。

 そのため今この場にいるのは私とリーネさんだけだ。


「単刀直入に聞きます。例の男の正体、わかっているんですよね?」

「そうにゃ。まぁあの場ではわかってにゃいって言った方がいいかと思ったから少し嘘ついたにゃ」

「そうですね。公にして大事にするよりはいいでしょう」

「その様子だとトアちゃんはわかってるみたいかにゃ?」

「勿論です。あのような事をするやつらなど一つしかありません。念のため()ましたけどね」

「全く困ったものにゃ…」

「えぇ本当に」


 しばらく沈黙が続き、気まずいと感じたリーネさんは話題を変えようとする。


「そういえば何でアリスちゃんのところのメイドにゃのにゃ?」

「それは勿論お嬢様の戦闘時と平時のギャップがドストライクで…。…ごほん、お嬢様の気高さ諸々から仕えるべき主と考えてお側にいさせていただきたいとお願いしたからです」

「今本音少し漏れたにゃ」

「気のせいです」

「そっそうかにゃ…?」

「はい、そうです」

「それにしても、以前と比べてトアちゃん変わったにゃ」

「そうですか?」

「以前は本当に仏頂面だったにゃ。表情もほとんど変わらなかったにゃ」

「以前の事はもう忘れてください…」


 あの時はこの世界をゲームとしか思ってなかったんです…。


「でも今はなんだか生き生きとしてるように思えるにゃ」

「生き生き…ですか…?」

「それもこれもアリスちゃんの影響かにゃ? あの子と接していると何故か助けたくなるって感じになるにゃ。そのせいでその分こっちも頑張らないといけなくにゃるにゃ」

「そうですね…。お嬢様はどこか危うい感じがあります。ですので私たちが寄り添ってあげないとどこまでも一人で行ってしまうきらいがあります。ルカお嬢様も無意識ですがお嬢様を一人にしたくないんでしょう」


 戦闘時にたまに見せる表情も、先程一瞬見せた表情もどことなく危うさを感じさせますからね。

 それこそ、どこまでも堕ちていくように…。


「っと、少し長く話し過ぎたかにゃ?」

「そうですね。お嬢様たちが心配してこちらに戻ってきてしまうかもしれません。それでは私はこれで」

「はいにゃー」


 さてと、お嬢様たちの元に戻らないといけませんね。



 ---------------------------------------------------------------



 私―リーネはトアちゃんが去った後一人思考する。

 少なくとも彼女ならば相手の正体を見破る事など造作もないだろう。

 とはいえ、いつまでも放置するわけにはいかない。

 幸いそこまで私たちプレイヤーのイメージは下がってない。

 それもこれも皆が親切に接してくれたおかげだ。

 だがそれとは別に対策を取る必要がある。

 しかし、相手の拠点がどこに作られるかがわからない以上、こちらから手を出すことはできない。

 全く…ホント迷惑な話にゃ。


「リーネ、もういいのか?」

「平気にゃ。もう話したい事は大体終わったにゃ」

「そうか。ならさっさと都市計画進めるか」

「…ホント大変にゃ…」

「何か言ったか?」

「んにゃ。にゃにも言ってにゃいにゃ」


 誰か苦労枠代わってくれないかにゃ…?

おやっ? リーネさんとトアさんは顔見知りのようだぞ? どうしてかな?(すっとぼけ

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