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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
252/370

アリス、イメージアップ作戦①

 先程の事をトアさんと話しながら私たちは街へと向かう。


「しかしお嬢様も無自覚でやっているところがありますし…」

「そう言われてもなぁ…」


 別に好きでやっているわけじゃないんだけどなぁ…。


「とはいえ、いくらお嬢様が怖いと言っても女性に対してあの態度は失礼だと思います」

「ねえフォローしてるんだよね? さらっと怖いって言ったよね?」

「なので、ここはお嬢様のイメージを良くする活動をするべきだと思います」

「イメージを良くする?」


 んー…どんな事すればいいんだろ?


「一先ず、お嬢様が怖がられている原因の一つは首を狩る事だと思います」

「でもそれは私の攻撃手段だから変えられないよ?」

「はい、それは承知しております。そこで、お嬢様=首狩りというイメージを逆手に取って饅頭を売り出すのはどうでしょうか?」


 私はトアさんの発言に首を傾げる。


「どうして饅頭なの?」

「元々饅頭は人の頭を模して作られたものです。そして人の頭を模しているという事で、神への供物としても利用されていました」

「へー」

「なので、いっそのこと少し大きめの饅頭を売り出すことでお嬢様の首狩りのイメージを饅頭を売る人というイメージに置き換えてしまうのです」

「そんな上手くいくかなぁ?」

「えぇ、きっと大丈夫です」

「でも饅頭って事は餡子がいるよね? 私まだ持ってないよ?」

「それなら豚まんにしてしまえばいいと思います。王都ならば加工肉が多く売られているので、まとめて購入すればある程度は割り引いてもらえるはずです。勿論提案者の私もお金を出しますので。もしくは少し日を頂ければ変わり種の肉としてサニーシープを数十体程手に入れてきますが」

「あーうん、お店で加工肉買おっか。でもトアさんは服作らなきゃいけないから先にそっち作ってて。お肉は私が買ってくるから」

「わかりました。では待っている間に完成させておきます」


 話は決まり、私は王都でお肉を買いに、トアさんはこっちで服を作る事になった。


 一旦イベントマップから出た私は王都へと向かう。

 イベントマップの影響か、普段の王都よりもプレイヤーの数は少ないように感じた。

 市場の場所は以前来た時には把握しているのでわかっているのだが、お肉の加工場となると別だ。

 まさか市場で動物の解体を行うわけにはいかないため、必ずそういった加工施設か場所が設けられているはずなのだ。

 エアストでもそうなのだから、王都でもきっとそうだろう。

 私は市場の人に話を聞いて加工施設を教えてもらう。

 予想通り、お肉の加工施設は少し離れた場所にあり、看板に『この先肉の加工施設』と注意書きも書かれていた。

 しばらく先へと進むと、大きな倉庫のような施設があり、私はもう慣れたが少し獣っぽい臭いが倉庫の中から漏れていた。


「すみませーん…」


 私は倉庫の扉から顔を覗かせて声を掛ける。

 中には大勢の人がおり、今も台に置かれた牛や豚を解体していた。

 すると私に気付いたおじさんが一旦手を止めてこちらに近付いてくる。


「ん? 異邦人の嬢ちゃんがこんなところで何やってんだ?」

「えっと…お肉を買いたくて来たんですけど…」

「何の肉だ? 牛か? 豚か?」

「えーっと…」


 豚まんって事だから豚肉でいいんだよね?


「ちょっと豚肉が欲しいんですが…」

「何kgだ? 部位はどうする?」

「ええっと…何kgがいいんだろ…でも量は多い方がいいよね…? えーっと…えーっと…」


 私が悩んでいると、対応していたおじさんも少し困って頭をぽりぽりと掻く。

 そんな時、私の後ろの方から元気な声が聞こえてきた。


「おやっさーん! エルザっすー! 余った獲物持ってきたっすー! …って…その後ろ姿に服装は!?」


 見知った声に気付き後ろを振り向くと、そこにはシスター服を着ていながら軽々と片手で猪を抱えているエルザさんがいた。


「アリスさんじゃないっすか! こんなところでどうしたんすか!」

「いや…エルザさん落ち着いて…」


 エルザさんは私に気付くと凄い勢いで駆け寄ってきて質問をしてくる。

 おじさんも突然のエルザさんの登場に驚くというよりも、私の方に驚いている気がする。


「エルザ嬢ちゃん、この嬢ちゃんと知り合いなのか?」

「知り合いも何もアリスさんは聖女っすよ!」

「聖女じゃないですからね!?」


 ほら!

 おじさんもびっくりしてるじゃん!

 変な誤解植え付けないで!



 しばらく話して誤解を解き、エルザさんを交えて話し合いを再度行う。


「それでアリスさんは豚まんを作るためにお肉を買いに来たって感じっすね?」

「うん。でもどれぐらい必要かっていうのまでは考えてなくて…」

「その豚まんの大きさはどれぐらいなんだ?」

「えーっと、人の頭っていう話だったんですけど、それだとやっぱり大きすぎるのでその半分か三分の一ぐらいがいいかなーって考えてます」

「なら結構多めにあった方がいいな。話を聞くと【収納】は持っているんだし、日持ちとかはあんまり考えなくていいからな」

「なんならあたしがアリスさんのところに肉仕入れるっす!」


 いやエルザさん…貴女は孤児院の子たちのご飯獲ってこないといけないんでしょ…?


「まぁエルザ嬢ちゃんの仕入れとかは置いといて、一先ず20kgぐらいでどうだ? 結構数配るっていうし、そんぐらいあっても困らないだろ」

「はい。それでいくらぐらいになりますか…?」

「豚肉だからkg当たり大体1000Gだから…20000Gってところだな」


 まぁ20000Gぐらいなら…。

 たぶん話した感じ、エルザさんの知り合いだから端数とか負けてくれたんだよね。

 ところで…。


「エルザさんは何でここに?」

「そりゃー獲ってきて余った肉をここに売ってるんっすよ! むしろあたしたちの教会の収入源はこういったやつっす!」

「なかなか血生臭い収入源ですね…」


 流石バトルシスターといったところかどうか…。


「まぁ今だと援助をしてくれるところがあって助かってるっす!」


 おぉ、援助してくれるところができたんだ。


「それはよかったね」

「はいっす! これもアリスさんのおかげっす!」


 ん?

 私のおかげ?

 どういう意味だろ?


「いやー首狩り教っていう異邦人の人たちが援助してくれるってなって大助かりっすよ! 聞けばアリスさんと懇意っていう理由だけで援助してくれるなんてやっぱりアリスさんは聖女だったんすね!」


 ……。

 ちょっと待って!?

 何であの教会と首狩り教繋がってるの!?

 てかどこでその情報手に入れたの!?

 私その事誰かに言ったっけ!?


「アシュリーもアリスさんに感謝してたっす! だからまた来て欲しいっす!」

「あー…うん…時間が空いたら行くね…」

「はいっす! 楽しみに待ってるっす!」


 おかしい…。

 きっとイメージアップにはなっているんだろうけど…。

 これは…違くない…?

イメージアップ(全てがプラスとは言っていない。



古戦場…止まるんじゃねえぞ…。


2018/1/23 肉まんを豚まんに修正しました。

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