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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
250/370

表と裏

 さすがに私の精神状態に不安を覚えたルカと海花がリーネさんに相談した。

 するとリーネさんの口から簡単に対処法が伝えられた。


「それなら【集中】スキル使えばいいんじゃにゃいかにゃ? アリスちゃんも持ってるはずにゃ。 …てかまさか【集中】スキル使わずにあの距離植えてたのかにゃ…?」


 と言われ、ルカと海花が私に何で使わなかったのかと責めた程だ。

 いや…そういうスキルをある事を思い出したのが言われてからだったし…。

 最近そんな籠って【集中】スキル使う事なんてなかったから余計に…。

 ともかく、これで植林は大丈夫!

 いや、あの量は大丈夫じゃないけど…。


 とまぁこんな調子で一区切り着いたので、私は一旦サイたちの食事の事もあって家に戻る。


「ただいまー」

「ご主人様っ!」

「お帰り、ご主人様」

「お帰りなさいませ、お嬢様」


 どうやらトアさんは二人が起きている間はイベントマップへ行かず、サイたちが寝たら行くらしい。

 いつもありがとうございます。

 でもそんなに心配しなくても二人はしっかりしてるから平気だよ?

 えっ?

 好きでやってるだけだから大丈夫?

 まぁトアさんがそう言うならいいけど…。


「それで、イベントマップはどうでしたか?」

「えーっと、今は資源集めつつ砦を作っている形ですね。確か星状稜堡ってやつです。あと敵は鬼とかそういった和風系かなってところかな?」

「なるほど。でしたらせっかくの星状稜堡ですし、先端に何か社とかでも建ててはどうですかね? 所謂陰陽五行のあれです。和風そうですし、もしかしたら何か効果があるかもしれませんね」


 社ってなると…ルカにお願いする形なのかな?

 でも先端に社って何か移動に邪魔そうだけど平気かなぁ…?


「そういえばお嬢様はお一人で作業をしていたのですか?」

「ううん、ルカと一緒にやってたよ。途中で海花も合流したけどね」

「そうでしたか。それでルカお嬢様は何を?」

「……」


 フェイト教を作っていたと言っていいのだろうか…。

 なんだか嫌な予感しかしないけど…そんな隠す事でもないだろうし…。

 ということで、ルカがやっていたことを説明した。


「それは素晴らしい考えです。私も是非手伝いたいところです」

「そっそれはルカが全部やるっていうから大丈夫のはずだからっ!」

「そうですか…」


 いや…そんなあからさまにがっかりしなくても…。

 むしろトアさんまで手伝ったら本当に何が起こるかわからないから止めないといけないんです…。


「それにしても北東全域カバーとは…流石ですお嬢様」

「ほぼ無理矢理なんだけどね…?」


 どうやらトアさんも私たちの持ち場の件についても納得しているようだ。

 てか何でここまで信用されるような事に…。

 いっその事ウィルを森以外の特化型に教育して…。


「…ご主人様、とりあえずその悪い顔はやめといた方がいい。リアが真似る」

「はっ!?」


 いけないいけない…。

 可愛い弟子をダメな道へ行かせてしまうところだった…。


「となると私は当日お嬢様と一緒には行動できないのですかね? お話からすると同行できるのは海花お嬢様の配下と首狩り衆だけのようですし」

「あー…」


 あくまでトアさんはそのどっちかに所属しているわけでもないもんね。

 でも私の直接の下って言えば納得はしてもらえるのかな?


「トアさんはどうしたい?」

「できる事ならお嬢様に同行したいと考えております」


 んー…なら私の下って事でリーネさんを説得するかなぁ?

 あの一件を見た感じだと結構実力ありそうな気はするけど、誰もトアさんの事知らなかったし平気だよね。


「じゃあ一緒に動けるように交渉してみるね」

「ありがとうございます」


 まぁ一人増えたぐらいじゃそんなに変化ないもんね。

 …ないよね?

 私はチラっとトアさんの方を見る。

 その視線に気付いたトアさんはにこっと微笑んだ。

 っと、そういえば聞くの忘れてた。


「そういえばトアさんって武器何使うの? 一応私の担当場所が森になるから…」

「はい、ナイフといった短刀や投げナイフなどの投擲物ですので問題ありません」

「あ、はい」


 ナイフに投げナイフも使うメイド…?

 あれ?

 メイドってなんだっけ?

 その内スカートの中から手榴弾とか落としたりしないよね?

 でもなんでメイドとか執事とかは普通と違うキャラばっかりが二次元ではいるのだろうか…。

 やっぱりインパクトが大事って事でそうしているのかな?

 つまりトアさんもインパクトある事をするという事に…。

 いやいや、きっと気のせいだ、そうに違いない。


「しかしイベント準備のためとはいえ、少しばかりポーションや薬の売り上げが伸びていましたね」

「結構怪我人いたからねぇ…。リアには悪いけど頑張ってくれる?」

「はいっ! リア頑張ります!」


 私がリアの頭を撫でていると、トアさんが「少し席を外します」と言って席から離れた。

 何か知り合いから連絡があったのかな?



「何の用ですか?」


 先程連絡が入り、私は指定された場所へと着た。

 そこには一人の男性プレイヤーがフードを被って待っていた。


「いや、ちょっと情報が入ったから教えてやろうと思ってな」

「貴方からの情報は大体ろくでもなかった経験しかないのですが?」

「相変わらずきつい女だ。あそこでメイドをやって少しは柔らかくなったと思ったんだけどな」

「貴方とお嬢様を一緒にしないでください」


 空気が張り詰める中、男は特に気にする様子も見せず言葉を続ける。


「ラグナロクたちの動きが不穏になってきた。イベントマップの方で何かやらかすのかもしれない」

「誰も知らない場所だから再起できるとでも思ったのでしょうかね…。全くどこまで愚かなのか…」

「とはいえ、やつら全員を把握しているわけじゃないからな。街の一角にでも拠点を作るのかもしれない程度で終わる可能性もある」

「それだけならいいんですけどね…」


 私はラグナロクたちの行ってきた事を考え、それで済むはずがないと確信していた。

 それ故、何かしてくる前に潰したいという事すら考えていた。


「っふ」

「…何がおかしいんですか…」

「そんなお前一人で解決しようと考えるな」

「貴方の力を借りろ…という事ですか? 対価は?」

「別に俺はPKができればいい。ただそれだけだ。まぁできれば強い奴とな」

「何人かの残党を率いてやっているとは知っていますが…貴方が出てくると騒ぎになる気しかしないんですよ」

「騒ぎになる…ねぇ…。やっぱり柔らかくなったな、お前」


 私は男の発言に不機嫌になり、顔をしかめる。


「どちらにせよ、手を貸して欲しかったら連絡しろ」

「わかりました。それで、用件はもう終わりですか? アワリティア」


 アワリティアと呼ばれた男はニヤッと笑みを浮かべる。


「あぁ、今日のところはな。まぁ俺はお前が暴れるところも見てみたいって気持ちもあるがな。何しろ俺は『強欲』だからな」

「…好きに言ってなさい…」


 私は踵を返し、主たちが待つお店へと戻る事にした。

四像が忙しくて…(言い訳

新作の書き溜めができたら投稿しようかなぁと考えています(ジャンル:ローファン

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