表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
246/370

どうかご勘弁を

「ふぅ、これで多少の範囲は活性化したわね」


 何度か休憩を繰り返し、フェイトは土地の活性化を行った。

 私にはわからないが、フェイトにはどれぐらい土地が活性化したかがわかるためある程度の手応えは感じたようだ。


「フェイト、お疲れ様」

「まっまぁこれぐらい私なら余裕よっ!」


 フェイトは褒められて嬉しいのか、頬を赤めらせながらも誇らしげにする。

 私はそんなフェイトの頭を優しく撫でてあげる。


「えへへー…」


 あっ、フェイトの顔が緩んでだらしない顔になった。


「ねぇお母さん、あの人たち何したのー?」

「えーっと…ここは神社予定地だから…んーちょっとお母さんもわからないわね~」


 ふと後ろの方から何人かの話し声が聞こえたため、振り返ってみる。

 すると何人かの難民が私たちやルカが建てたと思われる看板などを見ていた。


「はいはーい、ここはフェイト教の本社予定地です。完成したら是非お参りに来てね」

「フェイト教? どんな宗教なんだい?」

「えっ…えーっと…アリスのペットのフェイトを祀る宗教で…その…」


 難民への対応をしていたルカが助けを求めるようにこちらを見つめる。

 いや、見つめられてもどう助ければいいか…。

 まぁただフェイトを祀るとかしか考えてなかったっぽかったもんね…。


「今さっき何か緑の光を出してた子がフェイトって子なのかい?」

「そっそう! それであの銀髪がアリス。フェイトのおかげでこの土地が活性化してる」

「ほうっ、そんな事ができるのか」

「フェイトの力でこの周辺の土地の精霊に力を与えた。だから感謝の証としてここに本社や社を建ててる」

「なるほどねぇ。俺らのためにそんな事までしてくれたのか」

「アリスが皆さんのために街作り以外でも役に立ちたいって事でやった。アリスはお礼とかは考えてないけど、せっかく本社建てるしお参りしてほしいかも」

「そんな事なら容易い事だ。つっても建てるのも大変だろうし、その話俺たちが他のやつにも話しといてやるよ」

「ありがと。アリスもフェイトも喜ぶ」


 どうやら何とか言ったようで、ルカは満足気だ。

 ただ…物は言いようだなぁ…。

 いや確かにお礼とか見返りとかを求めてフェイトにやってもらったわけじゃないけどさ…。

 話し終わったルカが私の方に近づいてくる。


「布教完了」

「うっうん…お疲れ様…」

「でも話してて問題見つけた」

「フェイト教って何だとか?」

「それもあるけど、フェイト教の本社や社でのご利益考えておかないと…」

「ご利益って…」


 確かにフェイトは土地神だからある意味お参りとかそういったのに当てはまるけどさ…。

 私はチラっとフェイトを見る。


「私に拝むとご利益…。まず生贄に選ばれたぐらいだから病気とかに縁がなかったって事だから無病息災? あとペカドとの事もあるから縁結び? それに加護とかあるしお祓いとか浄化も含まれるかしらね? あとはお姉ちゃんについていったから心機一転? あとは…」

「アリスによる癒しで癒しってのは? そんで多神教許可」

「いいわね! それも含めましょう!」

「……」


 ご利益ってそんな感じで決めるものなの…かな…?

 そしてそんなに時間を置かない内にフェイト教のご利益が看板に書かれた。

 その内容を見てルカとフェイトは満足そうに頷く。


「これでフェイト教に聞かれても大丈夫」

「何なら私が奇跡として目の前で精霊集めてもいいわよ!」

「難民はもっと増える。そしてこの街最初の宗教はフェイト教。そうすればこの一帯の一大宗教は…ふふっ…」

「私を崇める人が多くなれば強くなってお姉ちゃんの役に…うへへ…」


 ルカとフェイトは何やら企てており、ニヤニヤと笑みを零している。

 ダメだこの二人、早く何とかしないと…。


「アハハ…。でもフェイトもお母さんの力になりたいっていっつも言ってたもんね。そのチャンスが来て嬉しいんだよ」

「まぁ土地神だからね。常に動いて回る私たちプレイヤーと一緒だとどうしても力を溜め辛いってのはあるもんね」


 フェイトも一つの土地を管理してそこに付くとかだったらある程度の力は出せるんだろう。

 でも私と行動するって事は、一つの土地に留まるということはない。

 だからどうしてもフェイト本来の力の相性としては悪くなってしまう。

 しかし、今回のようにフェイトが認知され、崇められるようになれば信仰という形でフェイトの力となる。

 他の信仰があるところで他の信仰ってのはかなり難しいからね。

 それに下手をすれば宗教同士のトラブルという事になる。

 だがそれについてはルカが多神教も可能と言ったし、感謝として参拝とも言っていたのでそこまで大きなトラブルは起きないだろう。


「さて、あとはフェイトの銅像の横にアリス像置くための構造考えないと」


 ん…?

 何か今変な事が聞こえたような…。


「やるなら私も同じ大きさにしてよね!」

「大丈夫。なんならアリスに抱き抱えられてるフェイト像という形も可」

「おっお姉ちゃんに!? そっそれはちょっといいかも…」


 いや良くないよね?

 抱き抱えられてる像が本社に置かれてるとかなんなの?

 そんな像とか聞いた事…あっ、カーリー像ってなかなかやばい造形してたっけ?

 確か夫を踏んでるんだっけ?

 なら抱き抱えられてるぐらい…。

 ってダメダメ!

 そこで許可したらホントにそんな像が建てられる!

 でも本社を建てるのはルカという事は、全てはルカのさじ加減という事に…。

 ぐぬぬ…。


「ルカ…」

「んっ?」

「お願いだから建てるなら普通のにしてください…」

「あ…うん…」

「お姉ちゃん土下座するほど嫌だったの…?」


 別にフェイトと一緒の像が嫌っていう事じゃないよ?

 ただ、そんな恰好の像がずっと建ってるって考えるともう恥ずかしさでやばいの…。

 だから手加減してくださいお願いします…。


 私の必死の説得とお話のおかげで、何とか普通の像という事で収まる事ができた。

 ただ少し勘違いして落ち込んでしまったフェイトを元気にするという仕事はできたけど…。

実際ご利益って関連ある事柄から作られるし多少はね…?(震え声

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ