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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
245/370

見習いでも成長する

「アリス、機嫌直して?」

「怒ってないもん…」

「アリスちゃん、放ってた事は謝るから許してにゃ…」

「怒ってないですから…」


 私は頬を膨らませたままそっぽを向く。


「そんなほっぺを膨らませてたら怒ってるって言ってるようなものにゃ…」

「アリスにもちゃんとわかりやすいように説明するからこっち向いて?」

「むぅ…」


 ルカが私を宥めようと抱き着いたり頭を撫でたりしてくる。

 それを拒んだりはしないが、なんだか釈然としない…。

 別にいじけてたりしてないもん…。

 周りの街作りを話し合ってたプレイヤーたちも、私の様子を見てどうするか困っているようには見えるけど…。

 でも私悪くないもん…。


「んー…このアリスちゃんの機嫌を直すにはどうしたらいいかにゃ…」

「今回の場合、アリスだけじゃなくてフェイトも放っておいたのがダメだったかも。だからフェイトの方から何とかしてもらわないとダメかも」

「べっ別に私は怒ってないわよ! でもお姉ちゃんが私のために怒ってるって思うと…」


 何故かフェイトが頬を赤めらせて身体をクネクネとよじらせる。


「嬉しいのはわかったから、今はアリスの機嫌直すのが先」

「むぅ…少しぐらい感傷に浸ってもいいじゃない…。でもお姉ちゃんをこのままにしておくわけにもいかないもんね」


 フェイトはルカとそう話すと、ルカと同じように私に抱き着いてくる。


「お姉ちゃん、私は怒ってないからそんなに膨れっ面にならないのっ!」

「なってないもん…」

「それより私の社作ってくれるんでしょ。だからいじけるのはその後っ!」


 そういえば当初の目的はフェイトのために社を作るんだった。

 別にいじけてないけど、私の都合で変に遅れさせちゃ可哀想だよね。

 私はゆっくりと立ち上がり、両手をぐっと握る。


「よしっ! 早いところ社作ろっか」

「うんっ!」

「流石ルカちゃんにゃ…。アリスちゃんの事をよくわかってるにゃ…」

「ふふん」

「ルカ? そこで何どや顔してるの? 社建てていい場所も教えてもらったし早く行こ?」

「うん、今行く」



 テントから出た私たちは社を建てていい場所へ向かう。

 中央以外の社についてはまだ範囲が決まっていないため後回しだ。


「じゃ、とりあえず資材と加工施設準備する」


 そう言うとルカはてきぱきと準備を始め、加工用の木材や道具を設置していく。

 ぱっと見だけど手際いいなぁ…。


「それと社って言ったけど、中央が本社になるからある程度は立派にしないと」

「立派って言うとどれぐらい?」


 私がそう尋ねると、ルカは少し考えて答える。


「ある程度の広さは貰ってるし、少なくてもキャンプイベの時のログハウスぐらいの大きさにはしたい」


 キャンプの時のログハウスって…。

 あれ確か女性陣四人の部屋にキッチンリビングついてたよね…?


「フェイト教を広めるならそれぐらいの広さは必要。むしろ住人の中から神主とかを選んでもいいレベル」

「そこまでするの!?」

「だから鳥居も作りたい」

「鳥居ってあれどうやって作ってるの…?」

「材料は木でいいらしいから作れる。細かい作り方は調べておく」

「うっうん…任せる…」

「任された。一先ず鳥居と本社の建築場所に印付けるから、フェイトに精霊集める準備してもらってもいいかも」


 ルカはそう言ってロープなどを取り出して大まかな建築予定を立てる。

 その間私たちは暇になるので、フェイトにお願いして精霊を集める事にした。


「ふっふーん! 任せてお姉ちゃん!」


 フェイトはルカの立てた建築予定の鳥居と本社の中間ぐらいに立ち、そっと手を地面にかざす。


「まずは土地を活性化させないとね…『土地活性化』っ!」


 フェイトが唱えると、かざした部分が薄っすらと緑色に光り、周囲へとその光が広がっていった。


「さて、あとはこれで周辺の精霊たちが元気になればこの場所に集まってくるわね」

「そういうものなの?」

「土地についてる精霊って結局は土地がどれだけ活性化してるかなのよ。だから活性化すればその分精霊も元気になるってことなの」

「所謂共存関係って事?」

「大体はそういう感じね。精霊は土地から力を貰う代わりに、土地にとって悪いものを防ぐ。悪いものを防げば土地は栄養を得られて更に活性化するって具合にね」


 ようは精霊か土地、どっちかが弱まればどんどん悪い方向に進んでしまうってことなんだね。

 それを防ぐために土地神が土地を活性化させて補助する。

 ってことは…。


「フェイト、ここの土地って弱まってるんだよね?」

「まぁそうね」

「じゃあフェイトのところの土地神みたいに悪いもの取り込んだり…」


 私の不安を拭うようにフェイトが説明を続ける。


「それについては大丈夫よ。あの方は不作とかの恨み言とかからそうなっちゃっただけで、この土地に住んでる土地神ならともかく、私みたいにただ活性化させるだけならそういった影響はないわ」


 それならよかった。

 でもそうなると、完全にその土地の土地神になった場合はそういった影響も受けるって事だよね?

 フェイトがどうしたいかはわからないけど、そういった時の事も考えないといけないんだよね。


「フェイトのあれ、気持ちいいよねー」


 フェイトの成果を待っていると、ネウラが出てきて羨ましそうにフェイトを見つめる。


「気持ちいいの?」

「うんっ! こうね? 身体の中がぞわぞわーってきて、ごわーんって力が湧いてくるのー!」

「まぁあれは力を貰ってたのもあるしね。今だとそんなじゃないわ。って、早速来たわね」


 ふと周りを見ると、10cm程の小さな光の玉がフェイトの周りに集まってきた。

 数はそれほど多くはないが、いくつか集まればフェイトの顔が見えない程には集まっている。


「六…七…まぁ今の私の力じゃ一度にこの程度よね」


 フェイトは集まってきた光の玉の数を数えると、その光の玉に何かを指示する。

 すると光の玉は周辺へと散っていき、地面へと潜っていった。


「さて、どんどん範囲広げないとね。『土地活性化』っ!」


 フェイトは再び地面に手をかざしてスキルを発動させる。

 先程と同様にかざした部分が薄く緑色に光り、周囲へと広がっていく。


「えっと?」

「えっとねお母さん。ここの土地の力は弱いけど、一杯精霊がいるの。それをフェイトは今近くにいた精霊を集めて、それを再配置したの」

「再配置?」

「うん。私も今のを見てわかったんだけど、ここの土地の精霊は土地と同化することで小さな範囲だけど悪いものを防いだり活性化させたりしてるの。そこでフェイトは土地を活性化させて近くの精霊から力を与えてるの。でも今のフェイトだと一度に与えられる量は限られてるっぽいの。だからああやって繰り返すことで活性化する土地を広げてるの」


 ようは、土地を活性化させる→精霊がそれを吸収→再度同化して土地を活性化。

 これを繰り返してるって事ね。

 考察していると、再び光の玉がフェイトの周りに集まり、先程と同様に周囲へと散って地面と同化していった。

 それを何度か繰り返すとフェイトはMP切れなのか、私の元へと戻ってきた。


「ふぅ…疲れた…」

「お疲れ様。休もっか」

「うん」


 ルカの作業の邪魔にならないように座り、フェイトを労わる。

 なんだかんだフェイトも成長してるんだね。

 これなら立派な土地神になる日も遠くないかな?


明けましておめでとうございます。今年もNostalgia world onlineをよろしくお願いします。

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