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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
244/370

フェイト教ふたたび

 私たちはリーネさんがいる場所を聞き、その場所に向かう。

 向かった先には大きめなテントが立っており、何人も人が出入りを繰り返していた。


「お邪魔しまーす…」

「あれ? アリスちゃんとルカちゃん、どうしたのにゃ?」


 テントの中で他のプレイヤ―と話し合っていたリーネさんがこちらに気づき、一旦話を止めてこちらに近づいてくる。


「ちょっと相談したい事がありまして…」

「…ちょっと待ってにゃ。このタイミングで相談は経験上嫌な予感しかしないにゃ」


 まるで私がいつも悪いタイミングで相談しているみたいじゃないですか…。


「それで今度はどうしたにゃ? モンスターの大群? 特殊ペット? それとも難民数千人連れてきたかにゃ?」

「そんな大それた事じゃないんですが…」


 私はフェイトの手を掴んで身体の前へと連れてくる。


「フェイト…この子のスキルで精霊を集めてここ一帯の土地の活性化ができるかもしれないのでその相談に来たんですけど…」

「…え? 土地の活性化…? その子が…?」


 私が頷くとリーネさんは何やら考える素振りをする。


「そういえばその子イベントの時にネウラちゃんと一緒にいて色々やらかしてた気がするにゃ…」

「それでその…フェイトの社とかそんなのを作りたいなー…なんて…」


 社についてはルカのアイデアだ。

 神様なんだから崇める社とかは必要、とのことだ。


「つまりアリスちゃんはフェイトちゃんが土地を活性化する上で、精霊を集める場所として社が欲しいって事かにゃ?」

「はい…」

「…ちょっと待ってにゃ」


 リーネさんは先程話していた人たちのところへと戻り、何やらヒソヒソと話している。

 しばらくして話が終わったのか、リーネさんはこちらに戻ってきた。


「オッケーにゃ。社についてはそこまで大きくないなら問題にゃいという感じになりそうにゃ。それで場所はやっぱり中心部に近い方がいいよね?」

「そうですね…外側になっても反対側まで遠くなりますからね…」

「なら分社を東西南北に一つずつ配置するのは? それなら全域カバーできる。なんなら私が分社作る」


 おぉ…ルカのやる気が凄い…。


「なら本社もルカちゃんに任せた方がよさそうかにゃ?」

「むしろその気満々。頑張ってフェイト教を広める」

「まぁ確かに土地の活性化なんてできたら崇められそうな気はするけどにゃぁ…。じゃあとりあえずその方針にするから、アリスちゃんたちもこっち来てほしいにゃ」


 リーネさんは私たちを手招きして、先程話し合ってた人たちの方へと向かう。

 ルカは人が多くなったため、私の腕にしがみついて隠れるように顔を隠す。

 相変わらずの人見知り具合だ…。

 でも一体なんだろう?


「んで、話は纏まったのか?」

「そうにゃ。一先ず中心部に本社、東西南北に分社を建てる形にするにゃ。ただ、本社は少し広めに場所を取った方が縁起も良さそうだから、その分を確保したいにゃ」

「なら…こんぐらいあればいいか? 外周についてはまだ星型稜堡をどんな形にするかで悩んでるから後だな」


 男のプレイヤーが地図を開いて本社の範囲をマークする。

 って、あれっ?

 外側って円形で囲むんじゃなかったのかな?

 私の疑問にリーネさんが答える。


「最初は円形で囲むっていう話だったんだけど、防御の観点から星型稜堡にしろっていう意見が結構あったのにゃ。あれだと土塁とかだから崩れにくいからにゃ。でもファンタジーの世界の場合、攻城兵器が大砲や鉄砲だけということではないにゃ」

「魔法もあるからな。それに防衛側も魔法を使って反撃するから土塁に取り着いたやつを攻撃すると、こっちの反撃魔法で土塁を壊しかねないんだよ」

「それに籠城戦ってのは、結局は援軍が来るまで耐えるのが前提なのにゃ。アリスちゃんなら一方向の敵と二方向の敵、どっちが厄介かにゃ?」

「まぁ二方向ですね」

「そうにゃ。だから援軍が来るなら星型稜堡でもいいのにゃ。でも今回のイベント、全員が星型稜堡に籠った場合、どうしても挟撃といった事がし辛くなるのにゃ」

「それに何日城攻めが続くかわからねえからな。背後から敵襲を気にしなくていい場合、攻め側はかなり楽になるからな。それだけでも全然士気が変わってくる。逆に防衛側は敵が余裕を持てば持つほど精神的に不利になりやすくなる」

「だから稜堡から背後を付ける秘密のルートか、稜堡の外側に円形の建物建てて地下に稜堡と繋がる道を作るとか色々考えてるにゃ」

「……」


 えっと…?

 つまりどういうこと…?


「確かにプレイヤー全員が機動力高いわけでもない。だから打って出て背後に回れるとは限らない。それに敵がいつ攻撃をしてくるかわからない場合、動きも鈍る。それができないのとできるのでは大違い」

「おっ、【病毒姫】も結構わかるじゃねえか」

「色々戦略シミュレーションはやってたから、何となくわかる」

「そういう経験者は歓迎だぞ。お前も会議に参加してくれよ」

「わかった。代わりにフェイト教広めるの手伝って」

「フェイト教? よくわからねえがそれぐらい構わねえぞ」


 ルカ?

 なんでいつの間にかノリノリで会議に参加してるの?

 あれ?

 人見知りはどこに行ったの?


 その後、私とフェイトを置いて盛りに盛り上がった会議を横に私とフェイトはテントの隅っこで体育座りをして終わるのを待っていた。


「…ねぇお姉ちゃん…」

「なぁに…?」

「私たち…何のために来たんだっけ…?」

「…なんでだっけね…? アハハ…もう…忘れちゃったよ…」

いじけてるアリス可愛い()


さぁコミケという名の戦争の始まりだ。

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