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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
24/370

人間諦めは大事

今更やっとちゃんとした生産についての話が…。

 あれからもう二時間が経過しておやつの時間になりそうです。と言っても、こちらにはまだおやつにできそうなお菓子がないので食べれませんけどね。砂糖やクリームはあるから多分作ろうと思えば作れるんだろうけど、まだそこまで余裕があるわけではないので仕方なく後回しです。そのうちに土地を買って家立ててそこで料理とかできるようになりたいかなー。そういえばルカが【道具】スキル持ってるって言ってたし、包丁あるか聞いてみよっと。


「ルカー、起きてる?」

「うん」

「ちょっと聞きたいんだけど、【道具】スキルのレシピに包丁ってある?」

「ちょっと待って」


 ルカが【道具】のウィンドウを開いて調べてくれているようだ。


「ん、ないっぽい。まな板やガラス瓶はあった」

「そっかぁー…」


 ということは包丁は【鍛冶】扱いなのかな? となると、金属が使用されているような物は鍛冶で、金属を扱わない物は道具っていうふうに分けられてるのかな? もしくは複合みたいな感じで両方取ってないと作れないのかな?


「そういえば思ったんだけど、生産スキルって最初からレシピがある物はいいと思うんだけど、ない物はどうやって作るの?」

「レシピって言っても作り方がわかる物。一回作ればスキルで簡略化できるけど性能低い。あとスキルレベルが低いとうまく作れない」

「ということはこうやれば作れる、みたいな手順書がレシピっていうこと?」

「うん」


 ということは材料を集めてポポーンという感じではなく、材料はこれが必要でこういう手順が必要です。みたいな感じで作るのか。あれ? そうするとポーションとかはどうなるんだろ? あくまで基本的な作り方しか乗ってないから性能を上げるためには自分で探してねってことかな。ホント変なとこまでリアルだなぁ…。


 ルカと話していると、説教が終わったのか四人がこちらへ近づいて来た。というかリーネさんはまだ泣いてるけど…。


「ひっぐ…アリスちゃん…ぐすっ…ごめん…なさい…ぐすっ…」


 完全にガチ泣きじゃないですかやだー…。


「まぁ掲示板についてはちゃんと対応してくれるってことですので、私はそこまで怒りませんけど…。ルカはどうする?」

「ん、アリスが気にしないならいい」

「ということなので、大丈夫です」

「アリスさん! 優し過ぎます!」


 こちらから何の罰も出さなかったことにクルルは異を発します。私としては実害はなかったし、あそこまで追い詰められたリーネさんを更に追い詰めるのはちょっと気が引けるしなぁ…。


「はぁー…。アリス~…あなたはホントに~…」

「お姉さんはガツンと言ったほうがいいと思うわよ~。むしろガツンと言いましょう~?」

「リーネさんも反省してるようですし…ルカもいいって言うからこれぐらいで…」


 二人もまだ不満そうだ。んー…どうすれば納得するのだろう…。


「そういえばアリス~。なんで呼ぶ前にここに来たの~?」

「え? 繊維系の素材が取れたから防具の依頼を…」


 その言葉を聞いた瞬間、三人が不敵な笑みを浮かべました。


「そうなの~…新しい防具ねぇ~…」

「お姉さんいいこと思いついちゃったわ~…」

「奇遇ですねー…私もですよー…」

「「「フフフフフ…」」」


 三人はリーネさんの方へ振り向きます。その不敵な笑みを見てリーネさんはガクガクと震えてしまいます。一体何が始まるのか…。


「リーネ」

「はっはい!」

「あなたも二人に何かお詫びをしたいわよね~…?」

「はっはい! させて頂きたいと思います!」

「じゃあ二人の装備を無償で作るぐらいいいわよね~…?」

「えっ…ふっ二人分の装備を…タダで…?」

「えぇ、そうよ~」


 えっ!? リン!? 何言ってるの!?


「流石にタダは…」

「何か言ったかしら~…?」

「ひっ!? そっその…素材がわからないとこちらも…」

「アリス、今その素材あるの~?」

「あっあるけど…」


 リンに出すように言われたので大人しく蚕の繭を出しました。


「えっ…? これって…」

「中に蚕が入ってない蚕の繭だけど?」

「いやいや…なんで…」

「港街にある方の森で手に入れました」

「……」


 ん? リーネさん突然黙ったけどどうしたんだろ?


「―して…」

「え?」

「もう勘弁してー!!!」


 突然リーネさんが大声を上げてまた泣き始めてしまいました。



 ---------------------------------------------------------------



「リーネさん落ち着いた…?」

「うん…」


 しばらくわんわんと泣き続けて流石のリンたち三人も困惑してしまったため、落ち着くまで待つことにしました。


「確かに繊維系の素材集めてきてって言ったけど…いきなり蚕はやめてほしいの…」

「えっと…どういうこと…?」

「蚕の繭ってことは物としては絹になるの…。ということは絹織物になるんだけど…、流石にいきなり絹となると私のスキルレベルの問題が出てきて…。その…うまく作れるかの問題になってくるの…」


 本人としては、私が取ってきてくれる素材が麻や木綿と思ってたらしく、掲示板の方でも北の街周辺で見られたという情報があったのでそれを期待していたらしい。それがいきなり高級の絹の素材である蚕の繭を持ってこられてしまい、怒られたのも相まった結果、ああなってしまったということらしい。


「その…ごめんなさい…」

「お詫びをしたい気持ちは確かにあるけど…流石に絹素材の防具をタダは少し無理があるの…」

「それについては私たちもアリスがまさか絹を持ってくるとは思わなかったしね~…」


 いやだって…港街の方に蚕や蜘蛛がいるって聞いたから行っただけで…。北に麻や木綿があるなんて思わなかったし…。


「だから絹織物についてはスキルレベルが上がってから作るってことでいい…? その時は割引するから…」

「別にそれは構わないけど…」


 それで三人が納得するかが問題なような…。


「代わりに麻か木綿で防具をタダで作るから勘弁してください…」

「私はそれでいいけど…」

「私もそれでいい」

「まぁ二人がそういうならね~…」

「仕方ないわね~…」

「今回は許すとしましょうか…。でも…」

「「「次はないわよ」」」

「わかってます…ちゃんと反省してます…」


 リーネさんしばらくこの状態だろうな…。語尾ににゃーを付ける余裕なんてないだろうし…。


「となると、麻か木綿取って来ないといけない感じだよね?」

「それについてはこちらが全部負担するから大丈夫…。それで防具はどんな感じにすればいいかな…?」

「私は…「アリスは和服」ってルカっ!?」


 何故かルカが私の装備を決めようとしていた。


「色はどうする…?」

「黒メインの赤が入る感じ」

「なるほど…。じゃあ着物だから襟と帯を赤にする感じでいいかな…」

「ばっちぐー」

「ちょっと!?」


 何で二人で私の服の色とか決めてるの!? そもそも着物前提なの!? 私は助けを求めるために残りの女性陣

 を見ると。


「アリスは銀髪だから濃い色の方がいいわよね…」

「お姉さんとしては赤と黒を逆にしてもいいと思うけどね~」

「いっそのこと白を基本として他の濃い色とかはどうですか?」


 だめだ! こっちも当てにならない! となると残るは男性陣だけど…。


「いつ終わるんかねぇ…」

「女性の買い物は長い。諦めろ」

「眠くなってきた…」


 やっぱり使えない…。というかシュウちょっとは真剣になってよ。こういう時こそ私のフォローをしてくれるもんでしょ!


「ということでアリスちゃん、決まったよ」

「はいっ!?」

「黒メインの赤。きっと似合う」

「ありがと…じゃなくて!」

「素材が届き次第に製作するから終わったら連絡するよ。ルカちゃんもいいよね?」

「私は普通の服で大丈夫。色任せた」

「任されました」


 リーネさん少しは元気になってくれたね…じゃなくて! だから! なんでルカは普通で私は着物なの! おかしいでしょ!


「まったく二人で何決めてるのかしら~?」

「リンっ!」

「任せなさいアリス~、私がしっかりと言ってあげるわ~」


 やっぱりリンは私の味方だよね! そうそう、着物なんて普通に考えたら戦闘じゃだめに決まってるもんね。


「色が黒と赤なんて安直すぎるわ~。だからいくつかの色の組み合わせを作ってアリスに一番似合うのを決めましょ~」

「そうね~。一つだけっていうのもなんだしね~」

「一番似合うのを選んであげないと可哀想ですしね」


 …あれぇぇ…? これあれだ…。全員私を着せ替え人形にする気だ…。こ…こういう時は三十六計逃げるにしか…。


「アリス~? どこへ行くのかしら~…?」

「ちょ…ちょっと散歩に…」

「だめよ~? まだ色々するんだから~…」

「いや…ちょっと…その…」

「アリス、観念」


 私はリンだけでなくルカにも捕まえられてしまった。もう逃げられる気配がありません。つか逃がされないようにされてます。


「着せ替え人形はいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 私は絶叫するも彼女たちから無慈悲な返答が返ってきます。


「「「「「人間諦めが肝心」」」」」

日本でもポケモンGOが配信されましたが、トレーナーの皆さんは歩きスマホによる事故に気を付けてください。

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