普段大人しい人ほど
大人しい人がキレた時ほど怖いことはありません。
さて大学も終わった事ですしログインしますか。ルカの事だから多分朝からやってるんだろうなぁ…。となるとやっぱり二日ぐらいルカに素材集めを任せてることに…。よし、早く行って私も素材集めないと!
ログインしてさっそく森に向かいます。目的は蚕の繭なので道中に桑の葉を採取しながら移動します。すると運よく蚕が十匹ぐらいの集団でモソモソ移動してたので、桑の葉でこちらに釣って餌付けします。流石に十匹は多かったので最初に採取した分を蚕の近くに置いて、近くの桑の葉を採取し追加で置きます。お腹いっぱいになったのか、糸を吐き始めたので私はしばらく待ちます。蚕は昨日と同じように、私に糸を飛ばす事なく繭を作っていきます。蚕が繭を作り終わってこちらに作り終わった繭を置いてその場を去っていくのを確認した後、その繭を回収します。
「さて、これで十一っと…」
ルカはどこだろう? フレンドからメッセージが飛ばせるようなので場所を聞いてみる事にした。しばらくすると返信が来て、今ちょうど街に戻ったところで入口で待っているとのことだ。なので私も行ったん街に戻ってルカと合流することにした。
街に戻るとルカが返信通りに入り口で待っていた。
「アリス、おはよ」
「おはよ。実際は夜だけどね」
「そういえばそうだった」
一日潜りっぱなしなのかな…?
「ちゃんと休憩とかしてる?」
「してる」
「じーっ…」
「……こっちで寝た」
「もぅ…」
こっちでの睡眠はちゃんとした休憩とは言わないと思うんだけどなぁ…。まぁ私も夜間行動できるようになったから、そのうち人のこと言えなくなるとと思うんだけど…。
「あと、繭溜まった」
「どれぐらい?」
「六十七個」
「おぉー…」
二日でそれぐらい取れれば十分だよね。そんな頻繁にさっきみたいな集団でいるわけないし…。でも一日当たり三十四個前後でしょ? ホントにあの子は休んだのだろうか…。
「これで装備作れる」
「ホントにいいの…?」
「いい」
「じゃあ五十個だけ貰うから、ルカの足りない分は依頼した後一緒に集めるってことでいいよね?」
「だいじょぶ」
ということでルカとトレードをして、さっき手に入れた十一個をルカに渡し、五十個を送ってもらった。
「アリスいつの間に」
「あー…さっきメッセージ送る前に集団でいたからそれでね」
「これであと二十二個集めればいける」
「頑張ろー」
「うん。じゃあ依頼しにいこう」
「そうだね」
じゃあエアストに戻ってリーネさんのところで頼めばいいよね? ルカも一緒に行けば一人の時も行けるもんね。ではエアストにれっつごー。
ハーフェンのポータルからエアストに飛んだけど、ちょっとふわっとした感じがした。体感的にはエレベーターの止まるときのあの感じだろうか? まぁ慣れるだろうしそんな気にしなくていいよね。
って、あれ? なんか見られてる? なんでだろ?
「アリス…」
「あぁごめんね。行こっか」
人に見られるのが嫌なのか、ルカが腕を掴んできたので早いところ移動しましょう。
……んーやっぱりおかしい…。全員っていうわけじゃないけど、何人かのプレイヤーっぽい人たちがこっちを見てる感じがする? 私何かしたっけ…? でも特に心当りはないし…。あったとしてもあの街道の件ぐらいだしなぁ…。それに私はそんなに目立ってなかったし、【狩人】や【解体】の影響もなかったから特に注目されるようなことはない…はず…。
それとも注目されてるのはルカの方かな? 確かに可愛いし小動物っぽいし、そういうところでファンがいないとも言えないけど…。
「ルカって今まで男の人とかに話しかけられたことってある?」
「怖いから話しかけない。話しかけられない」
「あー…そっか…」
「馬車の時も怖かったからアリスのとこ来た」
あー…あれはそういう…。確かに他に女性は私しかいなかったような気もしたけど…まぁおかげで仲良くなれたしいいでしょう。…じゃなくて。
「なんか見られてるけどルカは心当りある?」
「ない」
「そっか…」
ルカの方にも心当りはないときたか…。これはさっさとリーネさんのところに逃げたほうが良さそうかな?
「ルカ、走るよ」
「うん」
ルカの手を掴んでリーネさんのところへ全力疾走をする。私たちを見ている人は咄嗟の事に反応できなかったのか、後ろをぱっと見ても追い駆けてくる様子は見られなかった。
しばらく走ってリーネさんのところに飛び込むと異様な光景が見られた。
「……何してるの三人とも…」
そう。中に入った私の目に飛び込んできたのは…。
「あらアリス~、なんでもないわよ~? このお馬鹿さんを叱ってるだけよ~?」
「そうなの~お姉さんたちがこの頭空っぽなアホ娘を叱ってるだけよ~?」
「アリスさん邪魔しないでください。このド畜生に色々と教育するんですから」
リン、レオーネ、クルルの三人の前で既に泣きながら正座しているリーネさんの姿が見えた。一体何があったのだろうか…。
「ごっごめんなさいなのにゃー…もうしないのにゃぁー…」
「にゃーにゃーうっさいんですけど反省してないんですか?」
「反省してます…もうあのようなことはしません…」
というかクルルガチ切れしてないですか? ルカなんてブルブル震えてしがみ付いてるし…。
「よう、アリス」
「ショーゴ?」
「女性は怒らせると怖いな…」
「まぁありゃあの子が悪いけどな…」
「ガウルにシュウもどうしたの?」
何故皆がここに?
「その様子じゃ何も知らないようだな」
「そもそも何の話?」
「簡単に言うとお前が晒されてたんだよ」
「え? なんで? 私なんか悪いことしちゃってた?」
晒されるようなことしたかなぁ…? したことと言えばえーっと…ギルドに頭提出したのと…森で首狩って血を周りに飛ばしたり…とかと…えーっと……だめだ他に思いつかない…。でもその中であるとしたらギルドの件かなぁ…?
「あー…安心しろ、一応悪い意味での晒しじゃない。が、普通のゲームと違うから迷惑な晒しだけどな」
「ショーゴ、どういうこと?」
「えーっと…そのだな…」
何でショーゴ顔赤くなるの…。
「はっきり言って」
「んん! つまりだ! お前が可愛いってことで晒されたんだよ」
………? ショーゴは何を言ってるのだろうか?
「確かに。アリス可愛い」
「だよなー! アリスちゃんやっぱり可愛いよなっ!」
「っ!?」
「こらっ! シュウ! ルカ怖がらせないの!」
「ごっごめんなさい…」
まったく…。んでなんで私が可愛かったら晒されるの…? そこが分からない。
「ショーゴ。ちゃんとアリスに説明してやれ」
「そうだな…。いいかアリス、お前は自分が可愛いっていう風には思ってないだろうが、世間一般からしたら十分可愛い分類に入るからな?」
「う、うん…」
「でだ、それが掲示板でそういう子について話してるスレがあって、そこでお前が出てきたんだ。ここまではいいか?」
「だ…だいじょうぶ…」
「アリス照れてる」
「うぅ…」
ショーゴに可愛いって言われるのは流石に照れる…。私からショーゴのことをかっこいいとかは言うけどショーゴ恥ずかしがって何も返してこないから…。そういうのは慣れてないのだ…。
「でだ、その原因がそこのリーネだ。彼女がアリスの情報を喋ったから今こうなっている」
「なっなるほど…」
それで三人にガチ説教をされているというわけか…。
「ついでに今思い出したが、その時にあげられたスクショにそこの彼女も一緒に映ってたため、君も少し話題になっていたらしいぞ」
「ルカも?」
「?」
「どうやら馬車の時に撮られたもので、膝枕が羨ましいという話らしい」
膝枕…ってあの時か!? そんなのまで撮られてたの!?
「それも相まってな…クルルが特にぶち切れてな…。アリスだけじゃなくてその仲良くしてた子まで巻き込んだことが特に頭に来たらしく…彼是何時間だ…?」
「少なくともリンは今日学校にはいたよ? それで一緒に帰ってきたから大体五時頃ぐらいに家かな?」
「ということは少なくとも四、五時間は経過してるのか…」
「そんなに…」
大学のリンはそんな様子見られなかったから、ログインした後にクルルとかから聞いたのかな? もしくは既に知っていて溜めてたからあんな感じに…ガクブル…リンに怒られたときの記憶が…。
「まぁアリスについての情報及びスクショについては、リーネに消すように他の人にも言うように指示したから多分大丈夫だと思うが…」
「むしろ運営にあのスレ自体を消してもらったほうが早いと思うぞ」
「それでもいいが、スレのやつらがそういうことを続けるようならキリがないからな。オープンからまだそこまで日が経ってない今の内に、そういうことをやるならば本人に了承を得てからとか規則を作らせる必要がある」
「それが続くようなら運営に通報、か」
「そういうことだ。ここが普通のゲームじゃないってことは住人でわかっているが、掲示板についてはまだその認識が甘いっていうのがあるからな。まぁ有名人とかそういったので出るのはしょうがないが…」
「女性プレイヤー自体の晒しだからな…ゲームとしては関係ないからな…」
…はっ! 意識が飛んでた! とりあえず私とかが晒されてたというとこまではオッケー。それをどうするかってとこだっけ? って、おーい。私抜きで話進んでない?
「それで、私はどうすればいいの?」
「まぁ…とりあえず…女性陣の説教が終わるまで待ってようぜ…」
「アリス、膝枕して」
「まぁいいけど…」
「アリスちゃん俺もしてほ「…なに……」いえなんでもないです…」
シュウが何か言いかけたけどよくわからないからスルーしてと、ルカに膝枕するために椅子に座ってと。説教…どれぐらいかかるかなぁ…。
リーネさん、とりあえず一言言わせてください。怒らせてはいけない人は見誤らないでください…。
更新頑張ります。
2016/7/22 誤字の修正を行いました。




