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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
228/370

やっぱり少し変

 トアさんの事については正直言って心配いらなかった。


「リアお嬢様、こちらにポーションの箱を置いておきますね」

「はいっ!」

「それと、今の売り上げ状況ですと今後少し初心者用のポーションが不足してしまうかもしれませんので、追加を作ったほうがいいかもしれません」

「わかりましたっ! じゃあリア少し作ってくるのでお願いします!」

「かしこまりました」


 そう言ってリアとトアさんは販売担当を入れ替わり、リアは調合部屋へと向かった。

 私はそっとトアさんに近づく。


「えっと…いつの間にリアとあんなに仲良しに…?」

「はい。仕事内容について話していましたら、やはりリア様も調合方面でお嬢様のお役に立ちたいという事がわかったため、私も販売を受け持つ事を話しましたらあのようになりました。とはいえ、リアお嬢様が販売をやりたくないというわけではないので、そこは判断して交代してもらっております」

「なっなるほど…」

「正直に言いまして、リアお嬢様が販売と調合を掛け持ちしていますと日々収穫されてくるあの量の素材を捌ききれないため素材が有り余ってしまう状態で…。さすがに他所に売るというのも難ですし、こちらが卸業者と思われてもいけませんから…。それどころかサイ様もかなり手際が良くなっているようで、更に農場や栽培エリアを広げようという事すら考えている始末なので余計に…」


 お…おぉぅ…。

 そういえば薬草とかの素材とかも植えてるから毎日とは言わないけど定期的に収穫はできるんだよね。

 そしてこっちでの成長速度は現実よりも早いから更に増える。

 でもリア一人だと生産活動だけやるって事は出来ず、素材は溜まっていく一方。

 そりゃぁ…余るよね…。


「幸い保管すれば腐りはしないので何とかなっていますが、店一つが使う素材の量を遥かに超えていますので、リアお嬢様には何でもいいので生産活動をしていただきたいなと思っております。むしろ大量に使っていいとさえ思っております」

「別にトアさんもその素材使ってもいいんだよ…?」

「はい。私もメイドですので生産活動は一通りできます。ですがここで私が調合をしてしまいますと、リアお嬢様に変な気を遣わせてしまうかもしれないため、そういった事はできないのです」


 あー…確かに余ってる素材ってどっちかって言うと調合と料理方面だもんなぁ…。


「トアさんとしては何か植えれる物で欲しいのとかってある?」

「欲しい物…ですか? そうですね…」


 トアさんが親指と人差し指で顎をはさむ仕種をして考える。


「強いて言えば裁縫関連で使う物が欲しいですね。ですがあれらは採取してくれば集まるので栽培するほどではないですね」

「ということは綿花とかだね。でも種とかを手に入れたことないし…。リーネさんなら何か知ってるかなぁ? 後で聞いてこなきゃ」

「あっいえ、そのわざわざ栽培するほどの事でもないので私が必要になったら取りに行けばいいだけの話で…」

「あとは桑の木植えて蚕を何匹かこっちで飼う事ってできるのかな? それも確認しなきゃ」

「あっあの…そんな本格的に生産体制を作らなくても…」

「あとはイカグモさんの糸も素材としてはいいけど、さすがにこっちに住んでもらうわけにもいかないしなぁ…」

「あっあのお嬢様? 私の話を聞いていただけませんか…?」

「それとルカからアレニアの糸とかも使わせてもらえたら…」

「あっはい、聞いてもらえないんですね…」



「ちょっと考えが先走りすぎちゃったね」

「いえ…落ち着いてもらえてよかったです…」


 いけないいけない。

 つい生産体制を考えてしまった。

 リアとサイとも仲良くしてもらってるみたいだし、それぐらいしてもいいだろうと思ってついやってしまった。


「それにしてもお嬢様」

「んっ?」

「イカグモとかアレニアと言っていましたが、それらは一体…」

「あー…」


 アレニアはともかくイカグモさんは説明していいものなのだろうか…。


「答え辛いのでしたら結構ですので大丈夫です」

「あー…うん、ルカのペットのアレニアはともかくイカグモさんはちょっと秘密ね」

「ルカお嬢様の…そうでしたか。全てはお嬢様のお心のままに」

「あ、うん…」


 トアさんのこの忠誠心は一体…。


「そういえばトアさんって私の事どこで知ったの?」


 聞いていなかったけど、もしかしたらプレイヤーイベントの時にいたのかもしれないもんね。


「そうですね…。噂はかねがね聞いていましたが、何度か直接お姿を拝見することができましてそれで是非お嬢様にお仕えしたいと思いました」

「でも私なんかよりもっと凄いプレイヤーは多いと思うけどなぁ…」


 銀翼の人とかアルトさんとかね。


「確かにそういった方々も実力としては申し分ないと思いました。ですが、私が仕えたいと思っている方はただ強ければいいという事ではありません。最初にも説明しましたが、気高く美しいというのも大事です。そして何より戦闘時とそれ以外のギャップがとても好みでし…戦闘時以外の際のどこか儚さを兼ね備えたお嬢様は仕え甲斐のある方だと判断したからです」


 いや、今好みって言ったよね?

 絶対その前条件建前だったよね?

 やっぱりトアさんって…良い人だけど少し変わった人だ…。

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