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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
219/370

後夜祭①

「それにしてもショーゴランクインとはやるなー」

「俺らも結構惜しいところまで行ったが足りなかったんだぞ? まぁ報酬は割と良い素材だったけどな」

「皆さんはいいですよ…。序盤にリタイアした私なんてポーションの詰め合わせですよ…?」

「クルルもそう落ちこまないの~。オークションで欲しいものは手に入れてたんだし~」

「そうですけどー…」


 イベント集合地点のテントから出た俺たちは、先ほどの感想をお互いに言いながら辺りを歩っている。


「それにしてもイベント仕様だと言ってもアリスちゃんのペットたち凶悪だったなぁー」

「逆に言えばああいうのがレイドボスとして出てきてもおかしくないって事だろう? まったくもって恐ろしいな」

「レイドボスなら捕食はないと思いたいわねぇ~…」

「捕食は嫌捕食は嫌捕食は嫌…」


 クルルのやつトラウマになってやがるし…。

 掲示板の方もチラっと見てみたけど、イベントの愚痴が大半だしなぁ…。

 本当ならあのイベント内容をPV化して配信する予定だったけど、あまりの残酷さに中止したっていう噂もあるぐらいだしな。

 ホラー番組として配信したら視聴者数かなり行きそうな気はするけどな。

 のんびりと歩いていると、ふと見知った集団を見つけた。


「おっ、銀翼の連中じゃん」

「本当だな」

「あら~ショーゴ~」


 あちらもこちらに気づいたのか、リンがこちらに近づいてくる。


「おう、イベントお疲れさん」

「ショーゴもね~」

「そういやリンたち銀翼の姿全く見なかったんだが、どこら辺にいたんだ?」

「正直言うと私たちも途中からどこら辺にいたかわからなかったのよ~。序盤にアリスの歌聞いちゃってね~」

「おぅ…」


 そいつはドンマイとしか言えねえなぁ…。


「そしたらネウラと当たったり、レヴィとも当たってもう大混乱よぉ~。幸い団長たちのおかげで壊滅とかは防いだけどね~」

「さすが銀翼ってところだな」


 普通のギルドとかだったらネウラとレヴィの巨大モンスター組と当たったら混乱している途中で壊滅してるだろうしな。


「まぁおかげでダメージポイントは稼げたし、上位に食い込めたわ~」

「へー。俺は11位だったけどリンは何位だったんだ?」

「私は6位よ。団長が3位で副団長が5位ね。二人はリヴァイアサンの鱗を二つずつ貰えて羨ましかったわ~」


 ってことは5位までは二個でそれ以降は無くなるまで一個って感じか。

 俺って割とギリギリだったんじゃね?


「それで銀翼はこれからどこに行くんだ?」

「一時間後ぐらいから後夜祭としてステージエリアが解放されるからそっち方向に向かうつもりよ~。一応スタッフとか出演者は先に入れるらしいけどね~」

「ステージって事は何かショーとかするのか?」

「詳しい事はわからないけど、プレイヤーの中にも見世物とか色々やる人がいるらしいわよ~。あとはショーとかもやるらしいしね~」


 へー、結構面白そうだな。


「さて、団長たち待たせてるしそろそろ行くわね。じゃあまたねショーゴ~。とりあえずアリス見つけたら色々聞かないとね~うふふ~」

「まぁ確かにな」


 そう言うとリンたち銀翼は去って行った。

 どうやらリンと俺の話が終わるまで待っていてくれたようだ。

 団長さんたち良い人だなぁ。

 人の話が終わるまで待っていてくれるんだから。

 さてとっ俺も時間までアリスを探してみるか。


「おっ、話終わったか?」

「あぁ。一時間後ぐらいにステージエリアが解放されて後夜祭としてそこを使うらしいぞ」

「リーネが言ってたやつか。じゃあそれまで解散しとくか? 皆も精神的に疲れて一人になりたいってのもあるだろうし」

「そうね~。って言ってもお姉さんはクルルの付き添いをするけどね~」

「子供じゃないんだから大丈夫ですよー!」


 たぶん闇落ちしないか監視するんだと思うけどなぁ…。

 まぁ言わないでおこう。


「ならステージエリアが解放される頃にそっちで集合にするか」

「さんせー」

「後は気楽なだけですし食べますよぉ…!」

「あらあら~クルルったら~」

「じゃあそういう事で。解散っ!」


 さてと、アリスはどこにいるかなー…。

 確か料理倶楽部とかから食べ放題っつってたから、ある程度デカイ建物にいそうな気はするが…。

 って言っても情報がそれだけっていうのも探すのは大変だよなぁ…。

 掲示板とかに目撃情報とか載ってねえかなぁ…。



「いたわ」

「あむっ?」


 結論から言うと、簡単に見つかった。

 掲示板でイベントスレを見たら、アリスがどこどこら辺で大量の飯を食べているっていうのがあったから、その場所を見つけたら本当に食べていたよ。


「あむあむ…ごくんっ。あっショーゴ」

「本当に食べ放題なのか…」

「うん。報酬だもん」

「…ちなみにデザートは何個だ?」

「ショーゴたちのおかげで十二個! 海花を見つければ一気に三十個はいったのに…」


 知り合いでリタイアしたのって俺らとルカとお庭番の連中って事だから…5、1、6ってところか。

 つか海花のファンたちを知り合いでカウントしたらホントやべえ数になってたんだな…。

 海花、グッジョブだ。


「あとウィルたちもリタイアしてなかったんだよね。一体どこにいたんだろ? レヴィたちに聞いてみたけど海花もウィルも見なかったんだって。フェイトが広域探索したのにも関わらずってちょっとおかしいんだよねぇ」

「そのフェイトってあのネウラと一緒にいた虫使いの子供か?」

「うん。あの子が四人目のペットだよ」

「ってことはミラが三匹目って事か。全く恐ろしいペットばっか手に入れやがって…」

「あれ? ミラにも会ったの?」

「あぁ。広域殲滅持ってるやつはホント怖えよ…」

「ふっふっふ。強かったでしょー」


 何ドヤ顔してんだこの野郎…。


「はぁ…ホント散々だったわ…」

「ふふっ。お疲れ様」


 そう言うとアリスは箸を置いて手を伸ばして俺の頭を撫でてくる。


「お疲れ様って…誰のせいで疲れたと思ってんだ…」

「だって全力でやれって言われてたもん」

「全力過ぎて参加者にトラウマできてたぞ…」

「えっ? なんで?」

「何でってお前…」


 あぁ…そうだこういうやつだった…。

 俺は諦めて溜息をつく。


「まぁいいや…」

「そう? じゃあ一緒に食べよ?」

「いや、俺はいいって。お前の報酬だろ?」

「そうだけど、私一人で食べるより皆で食べる方が美味しいもん」


 よく見ると離れた席で小さくなったレヴィたちが食べている姿が見えた。


「レヴィたちったらきっと誰か来るからって遠くに座っちゃったんだよ? だからショーゴ一緒に食べよ?」


 俺の服の裾をクイクイっと引っ張って座れアピールをしてくるアリス。

 はぁ…仕方ねえかぁ…。

 俺は諦めてアリスの隣に座る。

 テーブルには肉料理や野菜料理、魚料理と様々な種類の料理が置いてあり、近くには小皿が置いてある。

 どうやらバイキング形式のようだ。

 つっても何食うかなぁ…。


「ショーゴショーゴ」

「んっ?」

「あーん」

「はっ!?」


 いきなりアリスが小皿に乗せた料理を持って近づけてきた。


「美味しいよ。早くあーんして」

「いっいやっ…一人で食べれる…」

「別にあーんぐらい普段家とかでもしてるんだしいいじゃん。ほら、あーん」

「いや…だから…」


 周りにギャラリーがいるだろうが!

 しかも厨房辺りからニヤニヤしているやつはいるわ、外から羨ましそうに見てるやつはいるわ、こんなんで食えるわけねえだろ!


「嫌…?」

「うっ…」


 だからアリスもそんな悲しそうな顔するんじゃねえよ!

 外のやつらもヒソヒソと「ひでぇなぁ…」とか「この甲斐性なし…」とか言ってんの聞こえてんだよ!

 あー畜生!

 俺は覚悟を決めてアリスが箸で掴んで差し出してきた料理を咥える。


「どう…?」

「ん…美味い…」

「よかった。まだまだ一杯あるからね!」


 そう言って嬉しそうにどんどんあーんを要求してきたり、俺にあーんをしてもらおうとしてくるアリスの行為と、それを見ている外野からの視線に耐えながら、俺はアリスとの食事を後夜祭の時間近くまで続けた。


 やっぱり…今日は厄日だったんだ…。

 もう掲示板とか怖くて覗けねえよ!

なんだこのイチャップルは…(困惑

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