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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
214/370

プレイヤーイベントは恐怖とともに⑧

 アルトと合流した俺らはその場で情報交換を行った。


「って事は今のところアルトはアリスにしか会ってないのか」

「はい。まだ半分も時間が残っているのもあるので、まずは逃げの選択として大きな音や悲鳴が聞こえたところは避けて動いています。ですがアリスさんのように気配すら絶って来る相手にはちょっと…」


 そういやアリス【隠密】系のスキルも持ってたしなぁ…。

 ホント敵にすると厄介極まりないな。


「少なくともアリスさんにはステータス上昇のバフは付いていないように思えました。ですが移動速度がやけに早かったので移動時だけはAGIが上がっているのかもしれません」

「となると、レヴィたちペットには大勢にも戦えるようにステータス上昇各種、アリスには移動速度上昇ってところか」

「はい、おそらくは」

「さて、情報交換はこれぐらいにするか。あんまり同じ場所にいると襲われかねねえからな」

「そうです…って…何でしょうこの地響きは…」


 アルトと別れようとした瞬間、大きな地響きが起こった。

 って、こいつはまさか!?


「ショーゴ!」

「おう! さっさとこの場を離れるぞ!」

「何かわかりませんが了解です!」


 おそらくあの地響きの原因はネウラだろう。

 まさかこっちに来るとは…。

 俺らは急いでその場を離れて姿を隠す。

 進行方向にさえいなければ勝手に去るだろうという予想からである。

 実際イベント開始直後の時も、ネウラは常に移動をしていた感じだし、一ヶ所に留まって戦う事はないだろうと高を括っていた。

 だがそれは間違いだった。


「しっしっ!」

「なんか虫が多いわね~…」

「おいっ! 静かにしろっ! 見つかるぞっ!」


 声を小さくして喋るが、言われてみれば虫がやけに多い気がする。

 しかもなんか俺らの周りに集まってねえか?

 シュウたちは手で追い払っているが、俺は何となく剣で地面を這っていた虫を突き刺してみた。

 すると突き刺した虫は死体が残らず霧散して消えた。

 しかも消えたにも関わらずドロップアイテムすら出ない。

 ってことは…。


「こっこの虫もしかしてモンスターか魔法の類なのか!?」

「嘘だろおいっ!?」

「くっ!」


 俺たちは慌てて周りにいた虫を斬ったりするが、虫たちは減るどころか増えている気さえする。


「こうなっては逃げるしかありません!」

「まったく! 虫まであっちサイドとかやってられねえぞ!?」


 堪らずその場から逃げるが、虫たちは俺らの背後を追いかけるように迫ってくる。


「つかアリスのやつ虫使いにもなったのかよ!? もうあいつの目指してるスタイルわかんねえぞ!?」

「本当に森の支配者として君臨する勢いですねこれは…」

「てか地響きこっちに近づいてねえか!?」

「森でマラソンなどやってられんぞ!?」

「おっお姉さんそこまで足早くないんだけど~…」

「言ってる場合か!」


 しばらく走っていると、俺らと同じように虫に追われているのか何組かのプレイヤーと合流させられた。


「これは少々まずいかもしれません…」

「あぁ…俺もそんな気はする…」


 その瞬間、俺らの上空に大きな影が被り、前方へ何か大きな物が落下して軽い地震が起こった。


「わーい、大成功ー!」

「ふっふっふ。色々いじって飛びやすいようにしてネウラお姉ちゃんの巨大触手を利用したバネによる吹っ飛び移動。成功ね! さてネウラお姉ちゃんの身体を元に戻してっと…」


 そこには三階建ての建物ぐらいの大きさになっているネウラと、その肩に乗っている一人の少女がいた。

 あの巨体が吹っ飛んでくるとか嘘だろ!?


「あれっ? ネウラお姉ちゃん。あそこにいる人たちってお姉ちゃんの知り合いじゃない?」

「えっ? あっホントだ。って事は…」


 二匹の鬼は俺らを見たと思うと、ニタリと口を開けて獲物を見つけたような表情をして言い放つ。


「「あの人たち倒せばお母さん(お姉ちゃん)喜ぶよね!」」


 その瞬間、ネウラから生えている巨大な触手たちが誘い込まれた俺ら含むプレイヤーたちに襲い掛かる。


「なんだよこれ完全にモンスターパニック物じゃねえかよ!?」

「ただのモンスターパニックじゃ済まないぞこれは!」


 初撃で上手く避けれなかったプレイヤー数人がネウラの触手に捕食されているのが見えた。


「うげぇ…捕まったら食われるのかよ…」

「流石にあれはちょっと…」

「でもあの巨体のネウラちゃん相手ならお姉さんにお任せよ~。『バーンストライク』!」


 レオーネは半径二メートル程はありそうな大きな火の玉を作り出し、ネウラに向けて放つ。


「ふふーん! 何のために私がいると思ってるのかしら!」


 すると先ほどまで俺らを追って後ろにいた虫たちがレオーネの放つ火の玉に群がり始めた。

 火の玉はネウラに迫ろうとしているが、無数の虫が火の玉を覆い、次第に規模が小さくなっていった。

 ネウラに届く頃にはかなり小さくなっており、ネウラの触手に簡単に叩かれて防がれてしまった。


「どんなもんよー!」

「ですが少々周囲への警戒が疎かですね!」

「へっ?」


 いつの間にかネウラの肩に乗っている少女の背後まで迫っていたアルトが剣を振るう。


「フェイト!」

「くっ!」

「ねっネウラお姉ちゃん!」


 咄嗟にネウラがフェイトを庇い、フェイトに剣が届くことはなかった。

 アルトはフェイトをネウラから引きずり降ろして乱戦にすることでネウラの動きをできる限り封じようとしたのだが、失敗したため一度下がった。


「申し訳ありません。失敗しました」

「いやいや、むしろあの混乱中によくやったと思うわ」

「ですが次は警戒されて容易に近づけないと思いますし、こちらが不利なままです」

「なら時間一杯粘ってデバフ入るまで待つだけだ」


 体勢を立て直し、再び攻めようとした瞬間、今度は別方向から声が聞こえてきた。


『通りゃんせ通りゃんせー…♪』


 この声はアリスか!?

 ってことは耳を塞がなきゃいけねえが今そんなことをしたらネウラたちにやられちまう…。

 くっそ…タイミングがわりぃ…。

 周りのやつらも耳を塞げる状況じゃない事は理解しているのか、ネウラを見据えたままだ。

 ネウラたちも無駄に攻めて耳を塞がれるよりも、アリスが歌い終わるまで待っているようだしな…。

 アリスが歌い終わったのか、再び俺らの場所に静寂が訪れた。


「さて、お母さんも歌い終わったようだし、時間もないし行くよ! フェイト!」

「えぇ! 任せて!」


 っち…アリスの歌の影響で位置把握ができなくなっちまった…。

 しかも森の中だから目印のようなものがねえから(はぐ)れたらアウトだなこりゃ。


「ガウル! レオーネ! シュウ! もし逸れたら歌の効果が消えるまで自分の事だけ考えて生き延びろ!」

「まぁこの状態ではしょうがないな!」

「逸れてアリスちゃんと当たるのだけは勘弁だぜ…」

「まっ、それも運よね~…『ファイアランス』!」


 さて、本格的なサバイバルが始まりそうだなこりゃ…。

ネウラたちは 虫でサーチ→ネウラの触手バネで移動→プレイヤーの前に出現 の方法を覚えた(悪夢

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