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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
213/370

プレイヤーイベントは恐怖とともに⑦

「いやぁー思った以上だにゃー…」

「如何せんこれはやり過ぎたのではと思いますね…」


 運営スタッフの拠点でイベントフィールドの様子を見ているリーネとウォルターは予想以上の事態に苦笑いを浮かべている。

 他のスタッフはこの後の準備などで今は席を外しているため、この惨劇の現状を知っているのは今はこの二人しかいない。


「イベント開始前に十二宮の子たちが来てアリスちゃんたちにイベント用のバフ掛けるからって少し借りて行ったけど…まさかネウラちゃんとフェイトちゃんの合わせ技がこんな事ににゃるなんてね…」

「もはやあれは兵器というよりも城塞ですな。あの大きさが最大かはわかりませんが、もっと大きくなるとしたら一プレイヤーが持つ戦力を遥かに超えますな。いやはやスキル次第とは言いますが、ここまでとは…」

「私の方も運営の方には加減をお願いしといたはずにゃんだけどなぁ…」

「これは運営にとっても計算違いですな」

「まぁイベントボスとして色々あったってことにするにゃ。こんなのが知れ渡ったらアリスちゃんもうめちゃくちゃにゃ」

「確かにそうですな。これは我々だけの秘密ということにしておきましょう」

「っと、そろそろ時間が半分経過するにゃ。アナウンスしてくるにゃ」

「それでは私は景品の確認をしてくるとしますか」


 二人はそう言って席を立った。



 そろそろ時間も半分が経過する頃か。

 ヒーラーのクルルがいなくなったため、なるべく慎重に進むようにしてるが意外にポイントの稼ぎは悪くはないと思う。

 するとアナウンスの音が森の中で響き渡る。


『あーあー、マイクチェックマイクチェック』


 時間が半分経過するからそのアナウンスってところだな。


『さてさて、そろそろ時間が半分経過するけど、皆楽しんでるかにゃー?』


「楽しんでるかボケー!」などと言った怒りの声が各地で上がってそうだが、リーネは気にすることなく話を続ける。


『とりあえず途中経過を報告するにゃ。まずは脱落率にゃ! えーっと…現時点での脱落率は約24%ってところらしいにゃ』


 二時間半で二割近くが脱落か…。

 問題はその中でも第一陣がどれだけ残ってるかだな。


『一部の参加者には有名勢がどれだけ残ってるか気ににゃると思うけど…これって言っていいのかにゃ? とりあえず即席のアンケートの通知送るにゃ。それで多数決を取るにゃ。ってことでアリスちゃんたち一分程攻撃はストップして欲しいにゃ』


 するとすぐにリーネの言っていたアンケートの通知が届いた。

 俺らは迷わず『教えて欲しい』の方を押す。


『さて、アンケート終了にゃ。どうやら知りたいっていうのが過半数のようだし、教えるにゃ。と言っても、いちいちプレイヤー名を出すのも大変にゃ。にゃので脱落者の中で代表的なプレイヤーやギルドをモニターに出すにゃ。ちゃんと皆にも見れるように参加者の周りに出るように設定したにゃ』


 リーネの言う通り、俺らの前にモニターが現れ、有名勢の脱落者のリストが並べられていった。


「おいおいマジかよ…」


 リストの中にはルカやウェンディの名前やお庭番衆の名が記載されていた。

 ルカとウェンディはソロだが、まさか集団単位のお庭番衆が全員脱落しているのは予想外だった。

 とはいえ、銀翼や大手ギルド辺りの知ってる名前は見えないためそれ以外のやつらは無事なんだろう。


「つかさ、クルルの名前がねえけど…」

「まぁ俺らは二つ名が付くほどじゃないからな。仕方なかろう」

「ショーゴは【ハーレム王】みたいなのが付きそうだけどね~」

「そんな二つ名はお断りだ!」


 とはいえ、第一陣の中で二つ名以外は多少なりとも落ちてると思っていいな。

 にしてもウェンディは典型的な魔法使いだからレヴィみたいな奇襲にやられたんだろうけど、ルカが負けるとはな…。

 アレニアを使った足止めとかで十分時間稼ぎはできると思ったんだが、そうはうまくはいかなかったんだろうな。

 ってなると、ルカを脱落させたのはアリス辺りか?

 ホント知り合いにも容赦ねえなぁ…。


「だが実力者が減ったという事は、それだけ時間稼ぎできるやつが減ってきたってことだよな?」

「第二陣は多少は持つとしても、第三陣と第四陣なんて一瞬だろうなー…」

「ってことはこれから加速度的に脱落者は増えていきそうね~…」


 俺らは今北西から既に北東側に移動している。

 幸いなところ道中誰とも遭遇しなかったが、ところどころアリスにやられたであろう死体をいくつも見かけている。

 ホントアリスに遭遇してなくてよかったわ…。

 そうしてしばらく歩いていると、地形としては木々が並んでいるのだが、ところどころ木が倒れたり削れたり血痕が付いていたり変な臭いを発して倒れている木があり、かなりの激戦をした跡の残っている場所に出た。


「なんじゃこりゃ…」

「どこの怪獣同士が戦った場所だ…」

「この木に付いている紫色の液体って…毒かしら…?」


 毒…?

 毒使いにしてもこんな大規模な戦いをするやつなんて…。


「あっあれって!?」


 上を見たシュウが何かに気づき声をあげる。

 その声の先を見てみると、上の方に木と木の間に掛けられた蜘蛛の巣のようなものに引っかかってプラプラとなっている首無し死体があった。


「あの服ってルカちゃんのじゃね!?」

「確かにそのように見えるな…。ということはこの激戦の跡は彼女か…」

「あの首の無い状態を見ると、相手はアリスだが…だけどアリスとルカだけでこんな状態になるのか…?」

「となると、アリスちゃん以外にもたまたまこの場所に来て…ってのが妥当よね~…」

「うえっ…アリスちゃん以外に他も相手にするとかマジ勘弁だわ…」


 そう考えるのが自然だが、そうなると…レヴィ辺りか?

 レヴィとアリスを同時に相手とはルカも運がなかったなぁ…。

 つか他の血痕の事を考えると、ルカとアリスの戦闘中にレヴィから逃げていたプレイヤーが巻き込まれたっていう風にも見えるな。

 ホントにルカ…ドンマイ…。


 少しその場所を捜索してみると、ちゃんとルカの頭があったのでやはりあの死体はルカで間違いなかったようだ。

 にしてもちょっとルカの表情が変だな…。

 まるで何かに驚いているような…。


「おや、皆さん無事でしたか」


 すると森の中からアルトが現れた。


「それにしてもこの惨状は一体…」

「現場検証からしてルカがアリスとレヴィ辺りと同時に戦った結果、ってのが俺の考えだな」

「それは…ルカさんも運が悪かったですね…」

「んでアルトはどうしたんだ? 結構焦ってたように見えたが?」

「いえ、南東から北東に進んでたら今さっきアリスさんと遭遇しまして…何とか耐えてアリスさんの進行方向と逆側のこちらに来たところなんですよ」


 おう…流石アルト…。

 アリス相手によく耐えたな…。


「それにしてもアリスさんの戦い方がちょっと気になったんですよね…。まるで私を空中に上げたいような攻撃をしたりして…」

「空中に? 逃げ場を無くして切断するためとかか?」

「恐らくそうなんでしょうが、他の生存者の話を聞くと何やらアリスさんが分身したとか突拍子もない事を言っていたりしてもう何が何だかわかりませんよ」


 分身って…。

 暗殺者の次は忍者って…やっぱりあいつそっちの分野に進む気なんじゃねえのか?

リーネ「正直済まないと思っている(苦笑いしながら)」

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