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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
212/370

プレイヤーイベントは恐怖とともに⑥

 ミラを退けたが、俺らの疲労感はかなりのもので、休憩を余儀なくされていた。


「はーホントアリスちゃんのペットこえー…」

「幸い戦闘経験が少ないようで助かったが…あれで研鑽を積まれたら厄介極まりないな…」

「エリアに時間制限があってたすかったわね~…」


 本当に今回は時間制限のおかげで助かったな。

 あんなのにずっといられちゃリタイア必至だわ…。

 つかレヴィってあの吸血鬼より強いのかよ…。

 確かに迷宮イベの時にあの姿は見たけど、そんなにやべえのか?

 ってことはキャンプの時に言ってた海蛇ってのはアリスの嘘って事だろう。

 だとすると妥当なのは水龍ってとこだが…でも水龍って森の中であんな自由にできるもんなのか…?

 大抵属性の名前がついてる龍って、その属性の地形は得意だがそれ以外だと苦手って印象あるが…特に水龍なんて水ないところはダメなイメージしか…。

 あーなんか変に考えるとドツボにはまりそうだ。

 とりあえず今は休憩するか。

 俺は近くの木に寄りかかって身体を休ませる。



 一方その頃、別の場所では…。



「くっ! 全くもって厄介だ!」

「この巨体に複数の触手による防御…それに…」


 彼らの前には三階建ての建物ぐらいの大きさの上半身が女性の姿の下半身を花のつぼみで覆われ、そこから二メートル程の太さの触手が何本も暴れつつ常に前進を続ける植物系モンスターの姿があった。

 更にその上半身の左肩の上には一人の少女が指を差してそのモンスターに指示を出している。


「アッハッハ! やっちゃえバーサーカー! じゃなかった、ネウラお姉ちゃん!」

「うん! えーい!」

「まさか私の【加護】と【土地活性化】がパワーアップしたネウラお姉ちゃんを土地扱いしてこんなに巨大化するとは思わなかったわ! アハハハハ! ネウラお姉ちゃんどんどん行っちゃえー!」

「わーい! たーのしー!」


 巨大化したネウラは自分たちを攻撃しようとしているプレイヤーたちを自身の触手で払ったりして攻撃している。

 単純な攻撃方法だが、体積が何十倍にもなったネウラの物理攻撃は実際かなり脅威である。

 所謂重戦車に歩兵が突っ込むようなものだ。

 いや、重戦車ならまだマシであっただろう。

 今のネウラはまさに移動要塞なのである。

 しかも一ヶ所に留まらず常に移動しつつ攻撃しているので出会った者からすれば天災以外の何物でもない。


「しまっうぁぁぁぁぁぁ!?」

「ディック!」


 ネウラたちと戦っているプレイヤーの一人がネウラの触手に捕まって捕食されてしまう。

 何もネウラの攻撃が触手を振り回すだけではない。

 巨大化した触手は捕食もするのだ。

 今までは小さな動物ぐらいまでを捕食できた大きさだったが、今では人一人捕食するのなど造作もないことなのだ。

 しかも今のネウラは一人ではなく…。


「きゃっ! 何この虫邪魔ってしまっきゃあああああ!?」

「はい一丁あがりっと。お姉ちゃんドンドン行くよー」

「うん、任せて!」


 近づけばネウラの物理的な触手攻撃。

 離れればフェイトの虫たちによる注意力の散漫からの触手の捕食。

 出会った者にできるのはこの天災が去るまで耐えるか逃げるしかないのだ。

 しかし、この巨体のため攻撃を当てるのは他の相手に比べればやりやすい面もあるため、上位を狙ってポイントを得るためにはここで手を出さないわけにもいかない。

 勿論ネウラとフェイトはこれを狙ってやっているわけではないのだが…。


「でもネウラお姉ちゃん」

「んー?」

「全く知り合い見当たらないんだけど、レヴィお兄ちゃんたちが倒してるのかな?」

「どうだろー?」


 実際のところ、こんな巨大な移動要塞と序盤で当たるのは勘弁だと避けられているのだが二人は全くその事には気付いていない。

 元々のんびり屋なネウラにあまり難しい事を考えず突っ走るフェイトの組み合わせである。

 知略担当のミラがいない時点でこうなることは確実であった。


「でもその内見つかるよね! そしたら倒してお姉ちゃんに褒めてもらっちゃいましょ!」

「ネウラもお母さんに褒めてもらいたーい」

「「アハハハハハー!」」


 森の天災は楽しそうにイベントフィールドを蹂躙していくのであった。



「うおっ…なんか悪寒が…」

「別に寒冷の地形効果なんて掛かってないぞ?」

「いや…ちょっと嫌な予感がしただけだ…」

「おっ! あったあったチェックポイントだ! これで三つ目か」


 俺らはそのまま西へと進み、道中のチェックポイントに触れる。


「やっぱ遠い程ポイントが高いんだな。ミラちゃん攻撃したのもあって端数になってるけど」

「俺とレオーネの方には入ってないから、アシストとヒットでポイントが入るんだろう」

「アシストでも入るなら盾役や後衛にもポイント入るしな。まぁ妥当だろ」

「つかそろそろ一番外側に着いちまうな。その後はどうする?」

「北か南か…はたまた東に戻ってそこから方向転換か…どうすっかな…」


 ミラが去った方角は確か南側。

 東側にいたとなるとミラは反時計回りで活動をしているかもしれない。

 それにアリスが南西から南に移動って事はアリスも反時計回りってことになるのか?

 なら今のうちに北西に行ってチェックポイントのポイント手に入れて南に逃げるのがいい気はするが…。

 北西はネウラがいたんだよなぁ…。

 でもあのでかい音をまき散らしながら来るって考えるとある意味発見しやすいから北西がいいのか…?


「あーもうわっかんねえ!」

「この際あまり深く考えずに直感でもいいんじゃないか? 結局敵は五人はいるわけだし、一度も当たらないなんてないだろう」

「これでアリスちゃんとネウラちゃん、それと新しい子に当たればコンプリートだけどな…ハハッ…」

「縁起でもない事は言わないようにね~…」


 まぁ少なくてもアリスとは当たりたくねえよなぁ…。

 となると、アリスと一番距離が離れるのは…。


「なら北西に向かうか」

「わかった。このまま外周寄りでいいのか?」

「あぁ、下手に内周行って当たるよりはいいだろ。それにフィールドが円形っつーことは、外周であればあるほど他のエリアに移動するのは時間掛かるだろ。その分遭遇しても戦闘時間をなるべく少なくできるしな」

「ショーゴにしては冴えてるなぁー…」

「ちょっとお姉さんびっくりしちゃったわ~…」

「おいこら」


 シュウにだけは言われたくないわ!

 ともかく、さっさと北西に向かうとするか。

さいっこうにハイってやつだ!

ちなみに触手と丸呑みで変な事考えた人、先生怒らないから手を上げなさい。

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