表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
208/370

プレイヤーイベントは恐怖とともに②

 いやいや…何でアリスが鬼役になってんだ…?

 つかフィールドが森とか冗談じゃねえぞ…。

 周りの先行組の連中も余裕と思ってた顔つきが一転して真っ青になってやがるし…。

 するとモニタの画面が二分され、リーネの方の映像が現れた。


『ということで、今回のイベントの鬼役を務めてくれるアリスちゃんにゃ。皆拍手ー!』


 何も知らない後続組は「かわいー」とか言いながら手を叩いているが、リーネの野郎マジで容赦ねえ事しやがって…。


『さてと、じゃあこれから細かい説明をするにゃ。まずこのフィールドはこの中心から半径5kmのドーム状に広がってるにゃ。新規プレイヤーたちにとっては広すぎかと思うけど、人数を考えるとこれぐらいの広さが必要だったから勘弁してにゃ』


 半径5kmって…絶対アリスの移動速度を考慮した結果だろ…。

 直径5kmだったらアリスなら数十分で反対側までいけそうだしな…。


『そして今回は復活システムは無しにゃ! だから捕まったりやられたりしたら時間まで待機部屋にボッシュートされちゃうにゃ。だから皆気を付けてにゃー』


 捕まるってどういう事だ?

 アリスの事だろうし捕まえるなんて手間のかかる事なんてしそうにないが…。


『なお、アリスちゃんが攻撃開始するのは参加者から攻撃されるか、誰かがチェックポイントに触れてポイントをゲットした瞬間に解禁にゃ。それまではアリスちゃんは攻撃をする事はないにゃ。だからアリスちゃんの攻撃が始まる前に陣地作りとかしても問題ないにゃ。なお、今回のフィールドの木々は破壊はできるけど時間で自動修復される仕様になってるから、伐採して視界を確保しようとしても伐った丸太が残って、その場所にまた同じ木が生えるだけだから、陣地作りをするなら考えて作るのにゃー』


 いやこれはリンみたいな地形破壊するやつ対策だろ絶対…。

 まぁアリス対参加者大勢って形だからある程度はアリスに有利にしてもいいけどさ…。

 俺はチラッと周りを見る。


「お前ら首当て急いで装備しろ!」

「でっでも金属系じゃねえと【切断】スキルの前じゃ気休めにしかならねえぞ!?」

「ばっきゃろ! 一秒で斬られるのと二秒で斬られるのじゃ変わるだろ!」

「ほとんど変わんなくね!?」


 お前らの気持ちはわかる。

 でも結局刃を通さないような物で守らないとあれ貫通するんだよなぁ…。

 以前アリスにどこまで斬れるか試してもらった時に知ったけど…。


「なー運営サイドの人よー」


 すると後ろの方から装備がまだあまり整っていない見るからに新人そうなプレイヤーがモニタのリーネに対して声をあげる。


『何か質問かにゃー?』

「その鬼役の人って捕まえて攻撃しまくってもいいのかー?」

『えっ? あ、うん。別に問題ないにゃ。アリスちゃんには【自動回復】のバフが運営から付けられてるから全損して鬼役が消えるってことはないにゃ』


 その解答に「よっしゃ! なら合法で…」とか嬉しがってるけどさ…。

 お前…本当に相手をわかってるのか…?

 お前じゃ捕まえるどころか触れる事すらほぼ不可能じゃねえのか…?

 つか質問した男…ルカと海花に武器喉に構えられて威圧掛けられてるじゃねえか。

 薄っすら会話が聞こえ、「は? 合法でアリスに何するって…?」「あたしが貴方を捕まえて色々してあげましょうか…?」といった具合に少し物騒なのが聞こえたが、今はスルーしておこう。


『あー…そういう事にゃのか…』


 先程の質問した男の様子を見て何かリーネが気づいたようだ。

 そして、アリスを知らない後発組を地獄に落とすような爆弾発言をする。


『参加者の皆ー。このイベントはポロリもあるから楽しみにしとくのにゃー』

「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」


 ……。

 おう、そうだな。ポロリするな。

 俺ら参加者側の首がな!


『あっ、アリスちゃんの知り合いの人たちも安心するにゃ。アリスちゃんが全力を出せるようにちゃんと交渉は済ましているにゃ』


 おい!

 何余計な事してやがる!


『まぁその交渉内容はアリスちゃんから直接聞くといいにゃ』

『えっ? あれ言うんですか?』

『別に問題にゃいから平気にゃ』

『はぁ…。えっとね、鬼役を引き受けるとね…』


 いっ…一体何で釣られやがったんだ…?

 俺らは固唾を飲んでアリスの発言に耳を傾ける。


『…料理倶楽部や【料理】スキル持ちの人たちの豪華料理食べ放題が付いてくるの…! しかも知り合いを倒す毎にとっても美味しいデザートが追加されるの! だから私頑張るねっ!』


 たっ食べ物に釣られやがったぁぁぁぁぁぁぁ!?

 知らないやつらは「食べ物に釣られるなんて可愛いなー」とか呑気な事言ってるが、知り合い勢からすれば恐怖以外の何物でもねえぞ!?

 今までは知り合いという枠で多少は加減されていたかもしれない殺り方が、突如本気の殺り方に変わるんだからな!?

 さっき近くにいたルカと海花を見てみると、完全に顔を真っ青にさせてガクガク震えてるし…。

 しかも海花に至っては、「おっお姉様の本気を森で…? いやいや敵うわけないじゃない…」といった具合に頭も抱えてるし…。


「おいおいやべえぞショーゴ…」

「これって俺らが狙われるってことだよな…?」

「流石にお姉さんたち魔法職は今のアリスちゃんに接近されたら一瞬でやられるわよ~…?」

「そもそも認識する前に殺られそうなんですが…」


 くっ…。

 知り合いというやりにくさを逆手に取って出会っちまった場合にちょっと攻撃して逃げ切る作戦も立てたが、アリスがあそこまでやる気になってる以上、そんな甘い手は使えない…。

 となると、アリスに見つかったら正攻法で退かせないとダメってことか…。

 相手はAGI特化型の一撃必殺持ちで得意フィールド。

 何だこの無理ゲ!?

 今時の子供だったらクソゲって投げ出すレベルだぞ!?


『あとアリスちゃんは一定のスキル帯に達していない参加者と戦う時や、同じ場所に一定時間いるとデバフが掛かるようになってるから、チェックポイントを見つけて出待ちといったことはないと思うにゃ。…たぶん…』


 おい最後。

 不安になるような事言うんじゃねえ。

 つか一応後続組に対しては少しは手加減されんだな。

 でも同じ場所にいると弱体化ってのは使えるな…。

 つまりアリスの現在位置の把握、これがこのイベントのキーポイントだな。


『そういえば制限時間を言ってなかったにゃ。フィールドが半径5kmということで、イベントの制限時間は五時間とするにゃ』


 結構長いな…。

 いや、長時間相手のフィールドにいるという精神から攻めていく形か…。

 まったく性格が悪い…。


『さてと、これで説明する事は終わったと思うにゃ。もし言い忘れてた事があったら随時アナウンスするにゃー。じゃあ早速始めるにゃ! イベント名【Alice the Ripper in the deep forest】の開幕にゃー!』


 …おいイベント名自重しろ!

 ノリノリで言ってんじゃねえ!

手加減があると思った? 残念そんな慈悲なんてなかったんや。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 食べ物に釣られる死神ちゃん((((;゜Д゜)))) [気になる点] 直訳で死神アリスの深い森?もしくは深き森と死神アリスかな?
2023/02/06 00:57 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ