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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
207/370

プレイヤーイベントは恐怖とともに①

 さてと、今日は遂にプレイヤーイベントの日だな。

 俺は今イベント会場に来ている。

 イベント会場には出店が多く建ち並んであり、多くのプレイヤーで賑わっていた。

 噂じゃイベント景品の中にはとんでもない品があるっていうし、結構楽しみだな。

 だが問題のイベント内容はどうするんだろうな?

 オークションだと金持ってるやつの独壇場だろうし、戦闘イベントじゃ俺ら戦闘職が有利になっちまうもんな。

 まぁそこは運営サイドのやつらが考えてるし気にするとこじゃねえな。


「おーいショーゴ、さっさと行くぞー」

「あぁ今行くわ」

「つかさっさと来ねえとクルルたちが買ったもんのおこぼれ貰ねえぞ」

「食いたいなら自分で買うわ!」


 まったくシュウのやつは…。

 つか買い食いかぁ…。

 アリスのやつが会場中周って食いまくってんだろうなぁ…。

 元々食い物のためにNWOやり始めたぐらいだし、自分じゃ作らないようなもんが売ってるこのイベントは大喜びだろうな。

 まぁコミケの件は正直済まなかったと思ってる…。

 加減はしてくれたが結構高い物要求されたしなぁ…食い物で。

 しかし…俺とリンが見てもあの量はかなり多いと思うのだが…アリスは一向に太ったりしている様子はない。

 胸も大きくなったとかそういうのもないのだが…一体あの栄養はどこに行っているのだろうか…。

 ある意味俺ら三人の中での七不思議の一つとなっている。


 それにしても人結構多いなぁ。

 って、そういやリンが数日前に第四陣が来始めたつってたな。

 俺らは結局、いつもの五人での固定パーティだから追加で誰か誘うとかは特にないからあんまり気にしてなかったが、リンとかのギルド組は新人を入れて大きくする必要とかがあるしな。

 ホントご苦労様って感じだわ。

 とは言っても、俺らも活動拠点みたいのはそろそろ欲しいところなんだよなぁ。

 ギルドホールとまではいかなくても、五人が生活できるぐらいの一軒家は欲しいところだ。

 でもなぁ…高ぇんだよなぁ…。

 一度そういうのを探してみたが、修理とかアイテム補充の分考えるとあんまり使えねえんだよなぁ…。

 しかも王都へ近ければ近いほど地価も上がるし、逆に遠いと今度は狩りとかの移動に一手間掛かっちまうしなぁ…。

 つかなんでこの歳で家の事考えなきゃいけねえんだよ!

 もう少し後の事だろ!

 つか…誰と結婚するとか考えてねぇし…。

 いやでもアリスとリンが他の男となんて…。


「…何握り拳作ってうなだれているんだ?」

「は…?」

「いや…自分の手を見てみろ」


 ガウルから指摘されて自分の手を見てみると、確かに握り拳を作っていた。

 あれ?

 俺いつの間にこんなことしてたんだ?

 全く気が付かなかった…。


「まぁお前がそんな風になる原因は大体察している。これでも長い付き合いだ」

「はっ? 何の話だ?」

「大方幼馴染の二人の事だろ? 二人の事で何を考えていたかは知らんが、お前が心配するような事とすると…男関係辺りか? 確かに二人はいい女だと俺も思う。しかもアリスの方にしては料理も上手いときた。嫁にしたいと思う男は多いだろう。俺が言うのもなんだが…顔も可愛いし面倒見がいいからな、惚れない方がおかしいだろう」


 ガウルは少し恥ずかしいのか、少し顔を赤くする。

 正直あの堅物のガウルがこんな事を言うとは思わなかった。


「正直お前は勝ち組だと思うぞ。あんな幼馴染がいるんだからな。だが、どちらを選ぶにしてももたもたしていると他から取られてしまうかもしれないからな。下世話かもしれないが、早いところ決めた方がいいぞ」

「お、おう…」

「なんだ? 俺がこんな事言うとは思わなかったか? 俺だって男だ。何となくわかることだってある。それに友人には少しでも幸せになってほしいもんだからな。さてと、そろそろレオーネとクルルのところに戻って荷物持ちに戻るとするか。まったく、STRが高いばっかりにこんなことをさせられるとは…。まぁイベントの集合時間まで好きにしていいという事になったからそれまでお前も好きに歩き回っているといい」


 ガウルはそう言い残すと、レオーネたちがいる店の方へと戻っていった。

 って、自由時間って言われてもな…。


「あふぇ? しょーふぉ?」


 聞き覚えのある声の方を向くと、そこには食い物を大量に持ちながら口に焼き鳥を銜えていたアリスがいた。


「お、おう…」

「こんふぁところふぇどうしふぁの?」

「とりあえず食ってから喋れ」


 全く…予想通りというかなんというか…。



「それで、どうしたの?」

「んまぁイベントまでの自由時間に何してようか悩んでたところだな。アリスは…聞かなくてもわかるからいいや」

「ん…?」


 俺の隣に座って買ってきた食べ物を次々に食いまくるアリス。


「あむあむ…」

「つか最近こっちじゃ姿見なかったがなんかしてたのか?」

「んー…まぁ色々してた」

「そうか」

「…あむあむ…」


 さっきのガウルとの事があって何話せばいいか思い浮かばねえ…。

 あれ…?

 俺っていつもアリスと何話してたっけ…?

 俺が何喋ろうか考えていると、アリスが俺の服の裾の軽く引っ張る。


「どうした?」

「んっ」


 アリスは買ったであろう肉まんっぽい大きさで肉と薄く書かれた溝がある饅頭を渡してきた。


「食えってことか?」

「ん。あむあむ…」

「……」


 俺はアリスから饅頭を受け取って一口食べてみる。


「…美味いなこれ」


 肉と書いてあるからには肉まんなのだろうと思って食ってみたが、結構いけるなこれ。

 中の肉は豚肉かと思ったが、違うようだ。


「これって何の肉だ?」

「サニーシープの肉だって。豚肉と比べて少し柔らかいけどジューシーなんだって」

「ほー、あの羊の肉って結構美味かったんだな」

「ショーゴは知ってるの? サニーシープ」

「これでも結構回ってるからな。そういやアリスは火山とか氷山は行った事ないんだったな。そりゃ知らないわな」

「そっちの方に生息してるの?」

「正確には火山の方に生息してる羊だ。耐熱性の毛が取れるから結構重宝されてるぞ」

「へーそうなんだ。でも火山かぁ…」


 何かすげぇ嫌がってんな…。

 アリスって暑いところ嫌いだったっけか?


「何か嫌な事でもあんのか?」

「んー…ネウラが嫌がりそうだなって」

「あー…」


 確かにネウラは植物系のペットだし、火は嫌いだろうな…。

 そう考えるとレヴィもいるし、火山よりは氷山の方がいいのか?

 あっ、ペットといやぁ…。


「アリス、お前新しいペット二体も手に入れたんだってな」

「…どこから聞いたの?」

「いや、掲示板でお前が四体連れてたって話になっててな」

「…見たいの?」

「まぁ…気にはなるし…」

「イベントが終わったらね」

「ん? まぁアリスがそれでって言うなら…」


 なんでイベント後なんだ?

 もしかしてイベント内容がバトルロワイヤルみたいな感じかもしれないから手札を隠したいとかなのか?

 それなら仕方ねえな。


 そんなこんなで食べたり話してたりしていたらあっという間に時間が過ぎており、もうそろそろイベント集合時間となっていた。

 俺はアリスと一緒にイベント集合場所へと向かう。

 イベント集合場所は大きなテントの中で、既に多くのプレイヤーが待機していた。

 おそらくここからイベントステージに転移させられるんだろう。

 既にテントの中にはガウルたちがいたのでそっちの方に向かう。


「ショーゴ、遅いぞ」

「わりぃわりぃ、ちょっとアリスと話し込んでてな」

「なんだよアリスちゃんとデートしてたのかよー」

「単に食い物食ったり話してただけだ」


 まったく…シュウは…。

 おっそうだ。


「アリス、俺らとパーティ組むか?」

「ううん。今回私は一人でやるから」

「おう、わかった。じゃあ後でな」

「うん。また後でね(・・・・・)


 アリスはそう言うと俺らから離れていき、次第に姿は見えなくなっていった。

 しばらく経って集合時間になると、モニタが現れ画面にリーネが映った。


『あーあーテストテストにゃ。皆―聞こえているかにゃー?』


「おー」と周りが声をあげる。

 シュウも一緒になって声をあげるが、俺ら他の四人はただ画面を見つめる。


『今回集まってくれて感謝にゃ。おかげで予定参加者を超えることができたにゃ。まぁ長話も嫌われそうだし、さっさとイベントフィールドに転移させるにゃ。ってことでお願いしますにゃ』


 リーネが発言を終えるとテントの足場が光り始める。

 どうやら転移が始まるようだ。

 そして眩しく光り、俺らは転移させられた。


「ここは…」


 目が慣れてたので開くと、一面に広がる森が映っていた。

 しかも微妙に薄暗い…。

 するとまたモニタが空中に現れ、再度リーネの顔が映る。


『さて皆ちゃんと転移できたようだにゃ。ということで今回のイベントのルール説明を行うにゃ。今回のイベント、それはつまり鬼ごっこにゃ!』


 …は…?


『鬼ごっこと言ってもただの鬼ごっこじゃないにゃ! 鬼役に攻撃を当てる毎にポイントが付くにゃ。例えばだけど掠り傷では1P、クリーンヒットだと10Pといった具合ににゃ。その最終ポイント順に景品を選べる形にゃ。でもそれだと先行組の第一陣や第二陣が有利になってしまうにゃ。そこで特別ルールとして、この森の中にチェックポイントという形で森の中に触れるとポイントを取得できる場所を複数設置したにゃ。だから新規も後続組も安心してにゃ』


 いや、それでも結局先行組が有利なんじゃね?

 周りのプレイヤーもニヤニヤとして俺らが有利だなみたいな話をしている。

 しかし、リーネは口角を少し上げてニヤッとした顔をする。


『細かい説明は…って、あーそういえば鬼役を言い忘れてたにゃ。ってことでカメラさん、鬼役の方に画面切り替えてにゃ』


 そう言うとモニタの画面が切り替わり、誰かが木の上にいる映像になった。

 次第に画面がズームしていくとともに、俺ら先行組と一部のプレイヤーは顔を青ざめる事となった。


『あっ、もう出番?』


 モニタの画面に映った人物。

 それは…森で戦いたくないランキングぶっちぎり一位の…アリスだった…。

かつて主人公が敵として現れるイベントがあっただろうか。いや、ない(反語

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