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Nostalgia world online  作者: naginagi
第四章
198/370

沼地の罠

 リーネさんとの話で何となくだがやる事が見つかった。

 とはいえ、情報が上がっていないのを探すとなるととても大変である。

 言われてみれば蚕も桑の葉を上げると繭をくれていたし、イカグモさんも糸を食べ物と交換してくれていた。

 そう考えると案外近くにいるのかもしれない。

 しかし、そうなると友好的なモンスターではそういう可能性があるが、襲い掛かってくるモンスターに一から試す余裕などないだろう。

 しかも攻撃した相手と何かを交換するようなモンスターなどいないだろう。

 んー…案外難しいかも…。


「フェイトはそういうモンスターの話って聞いたことある?」

「んー…私は結局あの村の周囲しかいなかったけど、特にそういったモンスターの話は聞いた事ないわねぇ? 今だから言えるけど、あの頃の私は神様に思考を操られた感じもあるし、あまり外の事には関心がなかったのよね…」

「そっかぁ…」


 あの頃のフェイトはある意味地縛霊みたいなもんだったし、まぁ仕方ないよね。


「そういえばあの村を更に西に進むと何があるの?」

「えーっと…私が生きている頃と変わらなければ、確か沼地になってた気が…。昔にそっちに開拓しようとしたけど沼地が森を遮るようにできていて、そのせいで道が作れなくてやめたとかなんとか…。でも湿地自体はそこまで大きくないし、精々一キロぐらいかしらね?」


 沼地かぁ…。

 蛙とかそこら辺のモンスターがいそうだなぁ。

 とはいえ、他に探索できそうな場所もないし…。


「じゃあ向かうのはその沼地でいい?」

「別に構わないわよ」


 少し早いけどフェイトの里帰りも兼ねてね。



 私たちはヒストリアへ飛び、そこから西へ進む。

 途中でフェイトの住んでいた村に寄り、簡単だがお墓参りをする。

 事件が終わった後にフェイトの要望で作ったのだ。

 お墓は本当に簡易で、見つかった遺骨を埋めてその上に卒塔婆っぽく作った木の板を刺しただけのものだが、それでもフェイトは私たちにお礼を言っていた。

 土地神の影響もあって起こってしまった事件だが、結果的に村人を殺してしまった事をフェイトは悔やんでいた。

 だからせめてお墓を作りたいというフェイトの願いを聞いてあげただけなのだ。


 お墓参りをしていると、フェイトが管理を任せた精霊なのか、小さな光の球がフェイトの周りを漂っている。

 恐らく近況報告をしているのだろう。

 フェイトは「そう」「わかったわ」と結構素っ気ない返事をしているが、指示についてはかなり具体的なので土地神という管理者としての自覚が出ているのだろう。

 ある意味私たちといる時と、土地神としている時を分けているのだろう。

 フェイトは仕事とプライベートをきっちり切り替えるタイプのようだね。


「ふぅ…」

「お疲れ様。精霊に指示しているフェイト、かっこよかったよ」

「べっ別にあれくらい当然よ! 褒められたって何も出ないからね!」

「はいはい」


 頭を撫でてあげると、フェイトは嬉し恥ずかしそうに顔を背ける。

 なんだかんだ褒められて嬉しいのだろう。


 フェイトの里帰りを終え、更に西へと進む。

 私の移動速度で二時間程経ったぐらい移動すると、突然森とは違うどんよりとした空気に変わった。

 木々もところどころ葉が枯れ落ちており、葉も何も付けていない木が増えてきた。

 どうやら沼地に着いたようだ。

 沼地というだけあって、歩くとぐちょっと足元が少しべたつく感じがあって少し歩き辛い。


「これはちょっと地面を歩くのは少し気が引けるわね…」


 空中をぷかぷかと浮かんでいるフェイトは私の様子を見て顔をしかめる。

 んー…何か良い手はないものか…。

 そう考えていると、突然霧が広がってきた。

 とは言ってもそこまで濃い霧ではなく、少し周りが見えにくくなる程度の薄い霧であった。


「きゃっ!?」


 すると隣にいたフェイトにべちょっと何かが当たった音がした。


「フェイトっ!?」

「大丈夫っ…ってこれって泥!? ぶっ!?」

「っ!」


 更に泥が飛んできてフェイトにいくつか直撃する。

 何が何だかわからないが、一旦フェイトを抱えて沼から脱出する。

 沼から離れる程に霧は薄まっていき、しばらく離れると霧から抜け出すことができた。

 私は泥塗れとなったフェイトを降ろす。


「もう何よこれぇ…」

「今洗い流すからね。レヴィ、お願い」

「キュゥ!」


 レヴィに出てきてもらい、フェイトに掛かった泥を落としてもらう。

 どうやらダメージとしてはほぼ受けていないようで、一先ずは安心だ。

 しかし…。


「もうっ! 何なのよあれっ!」


 フェイトはとてもお冠のようだ。


「でもダメージが少なかったし、攻撃ではないのかな?」

「あんな嫌がらせなんて攻撃よ攻撃! 次に見つけたらぶち殺してやるわ!」


 これは激おこぷんぷんなんちゃらと言った方がいいのだろうか?

 まさかフェイトの口からあんな言葉が出るとは思わなかったよ…。


「ふふふ…今度は沼地に入る前に虫操って制圧してあげるわ…うふふ…」

「いや…飛べる虫じゃないと沼地は厳しいんじゃ…」


 軽いから平気なのか…?

 でも沼地に虫って平気なのか…?

 下手すると蛙とかの虫を食う生物の宝庫だし食われちゃうんじゃ…。


「ともかく、移動の事もあるけどちゃんと準備してから沼地に行こっか」

「むぅぅ…」


 フェイトは不服そうだけど、あの沼地がそこまで厄介とは思わなかったからね。

 せめて移動だけでも普通にできるようにしないと…。

 私たちは一旦沼地から撤退する事にした。

コミケ関係で遅くなりました…(震え声

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