企画
リアの新薬作り騒動…とまではいかないが、そういったことがあった翌日ログインしてみるとリーネさんからメッセージが届いていた。
内容はログインしたらお店に来てほしいとのことだ。
一体何の用だろう?
指示通りにお店に向かい、お店に入るとリーネさんとルカが椅子に座っていた。
「あれ? ルカも呼ばれたの?」
「ん。話があるって連絡来た」
「さてと、アリスちゃんも来たことだし始めるかにゃ」
そう言うとリーネさんは従業員に指示して飲み物を持ってこさせた。
どうやら中身は…紅茶かな?
「ささっ飲んでみてほしいにゃ」
「じゃあ…いただきます…」
リーネさんに言われた通りに紅茶を飲んでみる。
「…少し甘くて飲みやすい…」
「あんまり渋くない」
紅茶にも色々種類あるから、そういうのを選んで用意したのかな?
「うんうん。評判は良さそうにゃ」
「それでお話っていうのは?」
「今アリスちゃんたちが飲んだ紅茶、それを売ろうと思ってるにゃ」
「はぁ…?」
別に私たちに言わないで売り出せばいいんじゃないのかな?
「ちょっと話を飛ばしすぎたにゃ。実は生産職や大手ギルドと連携してプレイヤーイベントをしてみようという企画があるにゃ。目的は新規古参関係なく楽しめるようにっていう感じにゃ」
「そのプレイヤーイベントでお店を出すってことですか?」
「簡単に言えば屋台のような出張店にゃ。とはいっても、ただ生産職が新しい物を出すだけじゃただの市場にゃ。そこで、アリスちゃんたちには戦闘職参加型イベントの目玉アイテムとなるようなアイテムを探してきてほしいのにゃ」
「つまり、運営が用意する報酬を私たちが用意するってことですか?」
「端的に言えばそういう事にゃ。もちろん私たち生産職も丹精込めた逸品を用意するにゃ」
ようはプレイヤーがアイテムを持ち寄ってそれを景品にイベントをしようってことだよね。
「でも場所はどうするんです? 当てはあるんですか?」
「そこは運営に今相談中にゃ。特設フィールドを用意してもらって屋台の設営はこちらが全部やるとかにしてもらう予定にゃ。とはいっても、まだ企画段階だからまだ先の話なのにゃ」
「だからその間に色々アイテムを見つけといてもらう、ってこと?」
ずっと口を閉ざしていたルカが口を開いた。
「そういう事にゃ。何か珍しい物を見つけたらこっちに連絡してもらって、一定数以上になれば開催っていう形にしたいのにゃ。開いてもアイテムがなかったら盛り上がりに欠けるからにゃ」
「ってことは色々と声を掛けてる形なんですか?」
「プレイヤーにも得意な場所があるからにゃ。アリスちゃん然りルカちゃん然り」
確かに私は森方面の探索をしているし、例えばだけど海だったり山岳だったりと色んな場所を探索している人だっている。
そういった人しか見つけられないようなアイテムを景品にしたりすればやる気は上がるだろう。
まぁそれを売ってお金にしたいっていう人もいるだろうから、全てが順調とはいかないだろうけどね。
「わかりました。なら今のところですが、私からは山王鳥の卵を出しますよ」
「おぉ! 料理方面のプレイヤーが喜びそうにゃ! 今のところアリスちゃんしか手に入れられてないっぽいから需要も高いにゃ」
「あの卵を使った料理は絶品。リアとサイが羨ましい」
一部は保存してるけど、保存しきれない分は使ってるからね…二人の食事とかに…。
「とはいっても、一個だけじゃ奪い合いになるのがオチなので、出品分を少し確保しておきます」
「助かるにゃ。でもいいのかにゃ? 山王鳥の卵はかなり高額で売れるのに出品してくれても?」
「そこまで独占する気はないですし、下手に販売したらしたらで何か嫌な予感がしたので…」
食べ物の恨みは恐ろしいとかそんな言葉もあるし、調理したのを自慢して奪い合いでPKが起こる気がしたから…。
一応私のお店でも数量は少ないけど出してるしね。
「でも有志による募集じゃ、お金欲しさにあまり集まらないと思う。 それに戦闘職参加型だと非戦闘職じゃ手に入れられない」
「ルカちゃんの心配も勿論わかってるにゃ。だから半分をオークションに出すっていうのはどうかにゃ? それなら物によっては値が上がるし、戦闘職以外も参加して手に入れられるにゃ。まぁ運営費ってことで落札価格の一割程貰いたいところにゃんだけどね」
「一割ぐらいならいい」
「それならアイテムも集まりますね。普通に売るよりオークションなら価格も上がりやすいですし、初心者でもお金さえ集められれば落札できる可能性もありますからね」
「まぁあとはオークションだと資金に物をいって買い漁るプレイヤーも出てくる可能性があるからそこの対処も考えておきたいところにゃ」
確かにそこの対処は考えておきたいところだね。
今思いつくのは落札回数制限ってところだけど、そうするとグループを作られたりしてそのグループで全部落札とかいうこともあるし…うーん…。
「まぁ対処はこちらで考えておくにゃ。それと目玉アイテムと言ったけど、別にそんな特別珍しいのじゃなくてもいいにゃ。そういうのはオークションの方に回せばいいだけにゃ。だから気になったアイテムがあったらどんどん相談してほしいにゃ」
「わかりました」
「ん。探しとく」
となると、イカグモさんの糸もそういうのに含まれるのかな?
正直家の借金が無くなったから結構資金に余裕が出てるし、すぐさまお金に変えなきゃいけないってことではないから出品してもいいんだよね。
まぁ色々探索して探してみるとしようか。




