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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
17/370

集団戦

今回は短めです…。

 時刻はGT17:00を過ぎたところで、季節によってはそろそろ日も沈み始める時間帯である。しかし、こちらでは日が沈むのは季節に関係なくGT19:00頃で統一されている。なので、日が沈むまでまだ二時間ほど猶予がある状況だ。

 とは言ったものの、戦闘をしてて二時間などはあっという間に過ぎるものだ。ましてや相手は狼の群れであり、目が見えなくとも匂いでこちらの場所を嗅ぎ当てるだろう。となると、日が沈むまでの二時間が勝負である。その時間内に取り巻きを倒しきるのが私たちの役目になるだろう。

 っと、そんなことを考えてるうちに狼の群れが正面に現れた。


「総員! 打ち合わせ通りに散開! 行くぞぉ!」


 おぉっ! と他の人たちも声を上げ、各PT毎に右翼と左翼に展開した。


「よしっ! こちらも団長に負けずに行くぞっ!」

「はいっ!」

「すーっ…『こっちに来い!』」


 私たち左翼の第三PTは向かってきた狼を盾持ちのリーダーがヘイト稼ぎのスキルアーツでタゲ取りをし、その内の二匹を左右に弾き飛ばし前衛の私を含めた二人がそれぞれを攻撃し、中衛と後衛が追撃をする。その形で向かってくる取りまきの狼を減らしていくのが私たちの役割だ。

 しかし、取り巻きの狼たちも攻撃されるのがわかっているため警戒して向かってこない。そこで後衛の魔法使いさんが攻撃をすることで、取り巻きはこちらに向かってくるしかなくなる。だが、取り巻きもただやられているだけではない。数が減ったと思ったら増援が何匹も現れ、こちらを囲もうとしてくる。そのため狼と一対一になることもあるが、個体としては森にいた狼と差はないため厳しいとまではいかなかった。

 とは言ったものの…。


「はぁっ……すいません…今ので何体ですか?」

「少なくとも十数体は倒したと思うが…」

「まだ増えるのかこれ…」

「これもう少し人数必要だったんじゃね…?」


 いくら敵が特殊個体ではなく格下と言っても、数が多ければその分対処が追い付かなくなることもある。ましてやまだオープンしたばかりだ。広範囲のスキルアーツといったものを覚えているプレイヤーは皆無だろう。そのため、まとまった敵を一気に倒すといった方法は難しい。しかし…。


「やるしかないよね…」


 私がボソッと呟いた言葉にPTの人たちが反応した。


「こんな可愛い子が頑張るんだ…!」

「俺たちが頑張らないでどうする!」

「ホントお前ら単純だな。だが!」

「ここで動かなきゃ団長に合わせる顔がねぇ!」

「よっしゃ行くぜっ!」

「お前らその意気だっ! 根性見せろっ!」


 えぇっと…。何故か皆やる気出したけど…まぁ結果オーライということでいいよね…?

 その後、私たちのPTは士気が上がったことで取り巻きの数も徐々に減らすことができた。増援も打ち止めなのか残りの数も既に十を下回っていた。とは言え、ここで油断するっていうのはダメなので確実に一体ずつ仕留めていった。確実性を意識したため少し時間は掛かったが、第三PTの担当した左翼の取り巻きは完全に排除することができた。


「左翼の掃討はこれで大丈夫そうですね」

「右翼も今しがた完了したようだ」

「では中央の援護ですか?」

「そうだな。こちらは退路を断つ意味で背後に回る」


 右翼と左翼の取り巻きは排除したので、残りは中央の群れのボスだけとなるので援護に向かう事になる。その際、私たちは群れのボスの退路を塞ぐために背後に展開する事となる。ここで逃げられてしまうと、また群れを成す可能性があるため、ここで確実にしとめる必要があるからである。

 そして群れの背後に着いた私たちの目に映ったものは…。


「あの…これ援護する必要ありますか…?」

「とっとりあえずこのまま警戒するぞ…」

「やっぱ団長すげーわ…」


 そう。私たちが目にしたのは群れのボスを圧倒している第一PT…もとい団長さんだった。


「たるんでる…たるんでるぞぉっ!」


 既に取り巻きは排除されており、群れのボスだけとなっていた。だがそのボスも団長さんの盾を突破できず、更に団長さんの攻撃に防戦一方の様子だった。


「っと…副団長から連絡が…何々…」


 エクレールさんから何の連絡だろ?


「魔法が使えるやつと遠距離武器を持ってるやつは団長が群れのボスにスタンを打ち込んだら魔法で一斉攻撃をしろっ! とのことだ。各員用意せよっ!」


 魔法…まだ何も持ってないから私はここで警戒かな…? こう考えると魔法もそろそろ取っといたほうがいいのかなぁ? でも取るスキルが多いからここでSPを使う訳には…ぐぬぬ…。


「シールドスタンっ!」


 団長が盾でスタン攻撃をすると、群れのボスはスタン状態になって動きを止めた。


「総員! 一斉攻撃っ!」


 エクレールさんの号令で遠距離攻撃ができる人は群れのボスに向けて一斉に攻撃を放った。火に雷に風に矢に暗器と、様々な遠距離攻撃が群れのボスを襲った。…相殺とかしないのかなぁ…?

 と思ったが特に相殺している様子はなく、群れのボスに全て当たった。その衝撃で砂煙が発生したが、しばらくすると砂煙も消え、群れのボスの姿も消えていた。

 団長がアイテムボックスを確認したところ、見慣れないドロップが手に入っていたため討伐完了したのだと判断することができた。なんだかんだで日が沈む前のギリギリに倒すことができてよかったです。


 作戦に参加した人たちも討伐完了したことに喜んで騒いでます。すると後方で待機していた街の警備の人たちがやってきました。


「皆さんお疲れ様でした。これで街道が使えるようになると思います」

「だが、しばらくはモンスターが徘徊すると思うがどうするんだ? 港町へ行くプレイヤーたちに同行して移動する形となるのか?」

「その方法もありますが、群れがいなくなったので我々がしばらくこの街道を警備と整備をしてモンスターが近づかないようにしたいと思います。ですがその事でまた異邦人の方々に手伝ってもらうかもしれませんので、その時はよろしくお願いします」

「わかりました。その時は手伝わせて頂きます」

「ありがとうございます。では皆さんお疲れだと思いますので馬車に乗ってください」


 ふぅ、これで街まで運んでもらえる…ってここでログアウトした場合どうなるんだろ…? ふと思いヘルプを見てみると、安全地帯以外でログアウトすると身体がその場に残ってしまうとのことで、その際馬車などで移動してもらった場合には、システムで安全と判断された場所に運ばれた後に身体も消えるとのことだ。ということでまぁ安全だと思うのでログアウトさせていただくことにしよう。では警備のお兄さん、よろしくお願いします。

 そうして私は馬車に乗り次第、PTの人たちに先に落ちることを断ってログアウトした。

次は7/17の08:00に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 15話、16話にて装備品の数値に誤字がありました。 ベルトはDEXが下がるとあるのにどちらの話も+となっています。 [一言] まだ読み始めですが楽しませてもらっています。
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