表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第四章
163/370

吸血鬼イベント①

 イベント当日、集合時間が近くなってきたので、庭でサイの手伝いをしているネウラを呼びに行く。


「ネウラー、そろそろ行くよー」

「うん、わかったお母さん」


 成体になり、サイの手伝いをよりできるようになったネウラは、サイと一緒に栽培している植物や食べ物の管理をしている。

 当初エルフの里から帰ってきて、成長したネウラを二人に見せたところ、最初は驚いていたがすぐに慣れたようだった。

 まぁネウラも成体になってから少し大人っぽくなったし、気を使ったことをしたんだろう。


 私の元に戻ってきたネウラは、幼体の時のように小さくなり私の胸元に収まり、レヴィは定位置の肩に乗っかている。


「じゃ、行こうか」


 お店の方をサイとリアに任せ、私はイベント集合地点に向かう。

 集合地点に着くと、大規模ということがわかっているせいか、かなりの人数が見られた。

 なんか黒塗り装備の集団が見えるけど…なんか怖い…。

 周りをキョロキョロしていると、袖を誰かにクイっと少し引っ張られる。

 誰だと思って向くと、そこにはルカがいた。


「アリス」

「ルカ、どうしたの?」

「PT、組も」

「まぁ誰とも組んでないからいいけど…」

「じゃ、PT送る」


 そう言うとルカはPT申請を送ってきたので、それを受け取りルカのPTに入る。


「そういえば海花はいいの?」

「海花は今回、親衛隊と組む」


 まぁファンを毎回放置するものなんだしね。


「こういう時、ソロでよかったと思う」

「なんで?」

「アリスとPT組める」

「そっそう…?」

「うん」


 やっぱりルカって少しわからないところがあるよね…。

 でも今回のイベントは何が来るんだろう?

 小規模でトラップイベントだったから、そういうのがあると仮定すると、アトラクション系のイベントなのかな?


 イベントについて考えていると時間になり、いつも通りに私たち参加者は転移された。

 だが今回飛ばされた場所は、イベントマップの集合地点ではなく、迷宮イベントの報酬を貰った時のような空間だった。


「ん、説明がここかな」

「たぶん…」


 するとモニターが現れ、社長の顔が映る。


『さぁ皆、前回のイベントは楽しんでもらえたかな?』


 社長の発言に、罠に嵌ったであろうプレイヤーたちがブーイングを行っている。

 それを社長は笑って受け流しているのだから更にイラっとしているだろう。


『では早速今回のイベントについて説明しよう』


 すると社長の横にモニターが現れ、画面上に菱形状のそれぞれの頂点に国のような名前が書き連なっていた。


『今回、君たちにはこの四つの小国にそれぞれ所属してもらう』


 所属?

 どういう意味なんだろう。

 戦争でもするのかな?

 そんな私の思考を先読みしたのか、社長が追加で説明を行う。


『ちなみに国で分かれて争うということではないから、心配しないでくれたまえ。この小国はそれぞれ同盟関係にある。そこでだ、今この四国は吸血鬼たちによる襲撃に晒されようとしている。それを君たちの手でこの小国を守ってもらいたい』


 つまり防衛イベントってことかな?


『吸血鬼についての細かい情報は君たちの手で調べたまえ。なお、今回は前回のイベント同様、死亡しても所属してる国で復活することができる。ただし、一定時間デスペナルティによるステータスダウンがあるため注意してくれたまえ。また、もしイベントから離脱したい場合はメニューにイベントリタイアというのが追加されているため、それを選べばエアストの集合地点に飛ばされる。では次に各国について説明しよう』


 先程の小国を映していたモニターの北から時計回りで説明が始まった。


『まず北に位置する、他国に金銭で兵を貸し出す傭兵国家ハスカル。次に東に位置する、物を作る事に特化した工業国家アルテス。南に位置する、交易により財を成す交易国家メルカトーラ。最後に西に位置する、古くから吸血鬼について曰く付きの話がある君主国家フェアラート。この四つの国から選んでくれたまえ』


 んーどの国にしようかなぁ…。

 そう悩んでいると、社長から一つ注意事項が説明された。


『なお、これら小国は君たちが今後行ける場所となっており、もし小国が吸血鬼によって滅ぼされた場合、その小国は廃墟となり滅びてしまうためくれぐれも注意してくれたまえ』


 社長が説明すると、各国の名前とその下に人と書かれた画面に変わった。

 そして各プレイヤーにどの国を選ぶかの選択肢が表示された。

 社長の説明でさっと決めるプレイヤーが次々に国家を選択する。

 すると各国の名前の下の人数が次々に増えていった。

 おそらくあれは各国の所属プレイヤーの数なのだろう。


 しかし最後の注意事項が気になった。

 もしこのイベントで防衛に失敗すると、その小国が滅びるということになるのだ。

 つまり、一つの国に一極集中したりして他国に所属するプレイヤーが少ないと、そのような事が起こってしまうかもしれない。

 となると、各国に所属する人数をバランスよくする必要があるだろう。

 その事に気づいたプレイヤーたちが、周囲と相談している様子が見えた。


「ルカ、どうしよっか?」

「アリスに任せる」


 いや、任せるって言われても…。


 私は冷静に国の特性を考える。

 ハスカルは軍事、アルテスは生産、メルカトーラは交易、フェアラートは…ちょっとわからない。

 私たちの特性を考えるとハスカルかアルテスだけど、私はどうしてもフェアラートが気になってしまう。


 考えている内に、周りのプレイヤーも減っていき、各国の人数に少しだが差が出来てきていた。

 やはりというかなんというか、プレイヤーの所属人数としてはハスカル、アルテス、メルカトーラ。フェアラートの順となっていた。

 差が出来ていると言っても、ハスカルとフェアラートで千人ちょいぐらいしか差はなかったので、そこまで集中しているというわけではなかった。


「アリス、どうする?」

「んー…。ルカ、フェアラートでもいい?」

「ん、いいよ。アリス、昔の事気になってるんでしょ?」


 流石ルカ、私がフェアラートを選んだ理由に気づいてたんだね。

 正直今回のイベントがただの防衛イベントとは思えない。

 迷宮イベントの時と同様、きっと何らかの謎があるのだろう。

 それを調べる意味では、フェアラートが一番だと思ったのだ。


 私はフェアラートと押すと、ルカに同意かどうかのお知らせが届いた。

 PTで相談して決めろということなんだろう。

 ルカが同意を押すと、私たちも他のプレイヤ―同様転移した。


遅くなりまして申し訳ありません!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ