表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第四章
152/370

迷路イベント①

「お世話になりました」

「おぅ。また使いたくなったら言えよ」

「はい、ありがとうございます」


 私は訓練場を貸してくれた憲兵さんにお礼を言い、施設の外に出た。

 その後ろをルカと海花、そしてウィルが続いた。


「ウィル、だいじょぶ?」

「心を強く持つのよ!」

「……」


 二人に励まされる形で、ウィルは目を虚ろにさせながら出てきた。

 まったく、最後の仕上げだからちょっとアリカにお願いしただけなのに。

 確かに、アリカに殺る気だけ本気でって注文したけどさ。

 それぐらいでああなっちゃうかな?


「…おっおぉ!?」

「あっ、意識戻った」

「あれ…? 俺は一体…。なんか師匠がめっちゃくちゃ豹変してからの記憶が…」

「あれはアリスが鬼だった」

「殺気全開でアリカお姉様が出てくるとは思わなかったですよ…」


 いや、だってもしかしたらその同級生はゲームだからって殺す気で来るかもしれないじゃん?

 だからその耐性を付けようと思ってやっただけなんだよ?


「やる気はともかく、殺る気満々な事をするのはお姉様ぐらいですよ?」


 なんか海花が少し辛辣な気がする…。


「アリカってのがよくわからないけど、師匠なんだよな?」

「まぁその説明は追々するとして、早いところイベントの集合地点に行かないと」


 イベント開始のタイムリミットまでもう三十分を切っていた。

 とりあえずへろへろだったウィルを私が背負って移動した。

 その間に、ウィルに疲労回復しそうな食べ物を食べさせておく。

 アフターケアも忘れないこの素晴らしい気遣い。

 ショーゴだったら、きっとここまではしてくれないよ?


 とまぁ、時間前には集合地点に着けたので、ウィルを降ろして時間まで待つ。


「さて、ルカと海花も付き合ってくれてありがとね」

「こっちも結構楽しかった」

「そうですねー。あたしも色々練習になりましたし、結構有意義でしたよ」

「そっか。さて今回のイベントはどうするかなー」

「アリス、PTないなら組もう」

「お姉様! あたしと組みましょう!」


 二人が同時に私を誘うと、お互いに顔を見合って睨み合いを始めた。

 全く…何やってるんだか…。


「師匠。俺は一人で頑張るよ」

「うん、頑張ってね。くれぐれも注意するんだよ?」

「わかってるよ。じゃあまたな、師匠。ありがとうございました」


 ウィルはお礼を言ってその場から去っていった。

 おそらく同級生と話を付けに行ったのだろう。

 頑張ってね、ウィル。

 っと、私もこの二人を止めないと。


「ねぇ二人とも」

「アリス、何?」

「今譲れない戦いをしてるんですけど…」

「二人とも一緒じゃダメなの?」

「あっ…アリスが言うなら…」

「わかり…ました…」


 やれやれ。

 お世話が掛かる友達なことで。

 私は二人の気が変わらない内に、PT編成を行った。

 これであとはイベント開始を待つだけとなった。


 イベント開始時間が近づくにつれ、私はそわそわとしてしまう。

 その様子に気づいたルカが私に声を掛ける。


「ウィルが心配?」

「んー…まぁそれはねー…」


 心配じゃないと言えば嘘になる。

 どんなに万全の準備をしても、不測の事態というのは必ず起こるものだ。

 しかもイベント内容もわかっていないため、そういった事態が起こる確率は更に高くなるだろう。

 でも…。


「あとはウィル次第か…」

「うん。やれることはやった」

「まぁあれと同じことを他の初心者が体験できるわけありませんし、大丈夫だと思いますよ」


 うーん…。

 二人がそういうなら平気なのかな?


「ウィルのこともあるけど、イベント内容が気になる」

「小規模って言ってるしそこまで大掛かりな事じゃないと思うけど…」


 運営の言う大規模が広大なマップでのイベントだとすると、小規模は一日二日で終わる程度の事を指すのだろう。

 となると、闘技イベントのようなスムーズに進むものってのがあるんだけど…。


「全く読めない…」

「まぁ第三陣向けだろうし、そんな酷い内容じゃないと思う」

「となると簡単なダンジョンみたいな感じかな?」

「そういうのが無難だと思いますよ。でもそうするとまた急造PTによるレイドでしょうか?」


 いきなり第三陣がレイドってできるのかな?

 それならまだ早くゴール的な方が平等だと思うけど。

 まぁそんなことしたら第一陣と第二陣が有利になるだろうし、ないと思うけどね。

 っと、もうそうろそろ時間だ。


 そして時間になると、いつも通りに床が光りだした。

 私は範囲内にいることを確認して転移されるまでじっと待つ。

 十秒程経つと、転移時のあのふわっとした感じが来たため、咄嗟に目を閉じる。

 目を開けると、私たちは前方以外岩壁に囲まれた空間にいた。

 しかも前方は赤い鏡のような壁で出れないようになっていた。


「これは…本当にダンジョンなんですかね…?」

「流石に退路がないところで、急に襲い掛かってきたりはしないはず」

「それは流石にないと思いたいね…」


 そんな事が起これば、確実に自然災害時のパニックみたいになるからね。

 すると、前方の赤い鏡のような壁にモニタが現れ、放送で見た社長の顔が映った。


『さて、皆無事転移できたようだね。では早速今回のイベントについて説明しようと思う』


 社長の発言に参加者はテンションが上がったのか、叫び声を上げ始めた。

 おそらく今騒いでるのは第三陣だろう。

 第一陣と第二陣は迷宮イベントの時の影響か、警戒をしているように感じる。


『そこまで警戒しないでも大丈夫だ。今回は前回のような事はないから安心したまえ。さて、時間も押していることだし、説明に戻ろう。

 今回、君たちにはこの迷路のゴールを目指してもらいたい。そして、今回のイベント賞品を受け取れるのはゴールした先着100組のチームまでとする』


 イベント報酬が先着順と聞いてブーイングが流れる。

 まぁイベントに参加すれば貰えるものと思っていたのだろう。

 気持ちはわかるけどね。


『一つ勘違いしないでほしいが、イベント賞品は超レアな装備やアイテムということではない。第一陣から第三陣まで幅広く使えるような、ある程度の性能を持った装備などだ。そもそも今回のイベントのコンセプトとしては、皆にあるギミックに慣れてもらうために開催したイベントだ』


 ギミック?

 一体なんだろう?


『えーっ…そこの一番前にいる剣士の君』

「えっ!? 俺っ!?」

『試しに地面に落ちている石を、このモニタの先に見える赤くしてある壁に当ててみてくれ』


 社長に言われた通りに、最前列にいたプレイヤーは、地面に落ちていた石を取って赤くなっている壁に投げた。

 石は赤い鏡のような壁をすり抜け、社長の指示した赤くなった壁に当たった。

 すると、投げた石は赤い壁に当たった瞬間、一瞬光って爆発を起こした。


「えっ…?」


 恐らく皆唖然としただろう。

 いきなり壁が爆発したのだ。

 びっくりしないわけがない。


『っと、このような形で迷路内に様々なトラップが仕掛けられている。皆気を付けてゴールを目指してくれたまえ。イベント期間は三日間で、大体一日あればゴールに着けるぐらいの距離だ。また、各設備は迷路内にあり、モンスターを倒すと食材を落とすようになっているため、それらを有効活用してくれ。そして、今回のイベントは復活ありにしており、死亡した際にスタート地点に戻るようになっている。そしてスタート地点から五キロ地点まではPKできない仕様になっている。これで説明は以上となる。皆、楽しんでくれたまえ』


 噓でしょ…?

 まさか今回のイベント内容がトラップ回避イベントなんて…。

 これは第一陣二陣三陣関係なくやばいやつだ!?


 そして、私たちを閉じ込めていた赤い鏡のような壁が無くなり、プレイヤーたちは一斉に走り出した。

 他のプレイヤーに続いて海花も走りだそうとしてたので、襟を掴んで一旦止める。


「お姉様!? 早く行かないと遅れてしまいますよ!?」

「一旦落ち着いて。そんなすぐにゴールできるなら復活ありにするわけがないよ」

「その復活すらも罠?」

「罠というよりも、死に戻りが前提となってるかもしれない」


 例えば即死級の罠があったりとかね。

 だから急ごうが罠に掛かる確率は変わらないと思う。

 ならある程度ゆっくり行って罠を見つけて回避した方が早く進めると思うんだ。

 急がば回れってやつだね。


「ということで、落ち着いて行こうか」

「「おー!」」

作者は生きてます!(不安な声が上がったため一応)


そして突然夕方からアクセスPV伸びた心当たり誰か知りませんかねぇ…?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ