妹は可愛がるもの
「で、この子はどういうことなの?」
「えっと…その…」
今私は銀花を膝に乗せて、正座状態の海花に話を聞いている。
「あの、銀花はここにいていいの?」
「うん。あなたは大丈夫だよ」
現在、話の原因となっている銀花は少し不安そうにしたので、頭を撫でて落ち着かせてあげる。
私が頭を撫でると、甘えるように身体を預けて大人しくなった。
普通に可愛い子じゃん。
「あぁ…お姉様が銀花を可愛がっている…。すっスクショを…」
「海花…?」
「はっはい! すいません!」
まだ話は終わってないのに何動こうとしてるのかな?
それとも少し説教を増やしたほうがいいのかな?
どっちがいい? と海花に聞くと、「お話でお願いします…」と言うので話を続けさせた。
「つまり、迷宮イベントが終わった後に撮ったスクショを基に、この子の顔を作ったってことね?」
「はい…」
「?」
あのスクショをこの子を作るために使うとは…。
私は別にいいけど、この子としてはどう思っているんだろ?
一応姉に当たる黒花たちとは顔のベースが違うことになるし、何か思うことがあるんじゃないだろうか。
「銀花の顔? 別に姉たちと違う事は気にしてないよ。だけど、随分とあなたと似ている気がするね」
「私の顔と似ててもいい事ないし、黒花にお願いしてお姉ちゃんたちと似た顔にしてもらう?」
「実は…銀花としてはこの顔気に入っているんだけど…駄目かな…?」
銀花が不安そうに上目使いをする。
何この可愛い子。
このまま私の妹にしちゃってもいいかな?
「おねかわって言えばいいのかしら…」
「性格もなるべくアリスをベースにしてるから、ある意味双子の妹みたいなもんなんだけどね」
なんか海花とルカが言った気がするけどうまく聞き取れなかった。
まぁこの子の可愛さに免じて許してあげよう。
「それでこの子のスキルはどう選んだの?」
「うっ…」
銀花のスキルの事を聞くと、海花は目を反らした。
「…海花…?」
「せっ【切断】スキルを付けてます…」
…えっ…? ちょっと聞き間違えたかな?
もう一回聞いてみよう。
「今何付けてるって言った?」
「【切断】スキルです…」
「……」
おっと、ちょっと意識を失いかけてしまった。
仕方ない…ここは銀花のために【解体】スキルを勧めないと…。
「海花…その…スキル枠は余ってる…?」
「いえ…全部埋まってますが…?」
どうしよう…。
私は頭を抱えて考える。
膝に座っている銀花がオロオロとしているが、どうしてあげよう…。
「でっでも銀花もそこまで困ってる様子はありませんよ! 【影魔法】もありますし、料理面でも【解体】とか【料理】もありますから助かってます!」
「えっ?」
「ですから【影魔法】や【解体】に【料理】もありますと…」
私はその発言を聞いてほっとした。
偶然でも【解体】スキルを取ってくれていてよかった…。
「海花、よくやった」
「はっはぁ…?」
海花はよくわかってないけど、そのスキルを持っているなら戦闘でも問題ないね。
私はよかったね、と言って銀花を撫でる。
銀花も何が何だかわかっていないが、私にされるがままされている。
「それにしてもあの銀花が大人しくしてますねぇ…」
「えっ? 銀花いい子だよ?」
「あたしには全然デレてくれないんですよー」
「銀花、そうなの?」
「だって…主なんか暑苦しいから…」
銀花の発言に海花はショックを受ける。
まぁ海花少し暑苦しいところあるしね…。
でも私も結構くっついてるけど平気なのかな?
「あなたはなんだか落ち着くので…」
「どこら辺が?」
「なんと言うか…こう…ポカポカして…」
「……」
「どうかした…?」
「銀花、私のところに来よう」
「お姉様っ!?」
私の発現に海花がストップを掛ける。
「ほら、私の方が銀花に懐かれてるし」
「いやいやいや! 銀花はあたしのですから!」
「海花に銀花は預けられない」
「預けるも何も主はあたしですよ!?」
「あの…一応あれでも銀花の主だから…」
まぁ銀花がそう言うなら…。
そんなこんなで話していると、ジャックがやってきた。
ルカと海花はジャックが来た事で警戒する。
「何の用?」
「囮の件で助かったからもんやから、その報酬…というか賠償金やな。それを渡しに来たんやで」
ジャックはそういうと、私にトレードをしてきた。
一体いくら貰えるのかと見ていると、そこには6が一つに0が六つ付いていた。
私は驚いてジャックの方を見る。
「色々迷惑掛けたからその分や」
「いやいや多すぎない!?」
「だから報酬分も含んどる言うたやろ」
だからって六百万渡す!?
なんか逆に怪しく思えてきた…。
じーっとジャックを見つめると、ジャックは「ほなさいならー」と言ってそそくさと去って行った。
今度捕まえて問い詰めてやる。
まぁともかく突如入ったこの大金の使い道を考えよう。
まずは家の借金の返済で百万程飛んでいく。
次に生産設備とかを整えたいから…たぶん二百万程かな…?
あとは…。
「そういえばお姉様は武器や防具変えないんですか?」
「確かにアリス、変えてない」
言われてみれば、全く装備変えてない。
そろそろ新しいのに変えるべきかなぁ…。
「色々開拓されてるから効果も色々ある」
「何か気になる特殊効果があるかもしれませんよ」
確かに効果があるやつは欲しいかも。
そういえばリーネさんも効果が付くと値段が高くなるって言ってたし、この際に買ってしまおうかね。
あとサイやリアにもおしゃれさせてしまおう。
武器もまだスキルレベルで個別武器になるのは掛かりそうだし、普通の刀も使ってみようかな。
なんだかんだで刃が長い方がいい敵もいるもんね。
問題は混み具合だよねぇ…。
まぁそこまで至急ってことでもないし、いいけどね。
とりあえず着せ替え人形にはならないように注意しないと…。
新しい装備どうしよう…(白目




