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Nostalgia world online  作者: naginagi
第三章
121/370

迷宮イベント終了

「よっしゃぁぁぁ!」


皆が歓喜の声を上げて喜んでいる中、私は「はふぅっ」と息をついてその場に座り込む。


「お疲れ様~」

「リンもお疲れ様ー」


リンは近づいて来るなり私の後ろに回って抱き着いてきて頭を撫でてくる。

私はアニマルセラピーではないのだけど…。

まぁしばらく好きにさせてあげよう。


「撃破報酬が来ているようだから各自確認するように!」


団長さんがブラックミノタウロスを倒した報酬が来ているというので私もアイテムボックスを確認した。

どうやら私には黒牛の角というアイテムが来ていた。

これはタウロス君が最初に言っていた突破報酬というやつなのだろうか?

ふと思ってメニューを閉じると、また転移した時と同じ感覚に襲われた。


気が付くと真っ白な空間に飛ばされており、私たち以外に人はいなかった。


「今度はなんだろう?」

「ここはダンジョン突破者が運ばれる場所ですよ」


私の疑問に返してくる声が後ろから聞こえたので振り返ると、そこには褐色肌の少年が立っていた。


「タウロス君?」

「はい、そうですよ」

「んと…なんでここに?」

「それは突破者たちには個別に突破報酬を渡さなければいけませんからね。そのためですよ」

「じゃあリタイアした人や倒せなかった人たちはどこに運ばれるの?」

「その方々はこことは別のところに運ばれますよ。それとこの空間では二十分程でイベント終了時間になりますので他の方が来るまでお待ちください」

「じゃあ私は他のところに行って来るわね~」

「いってらっしゃーい」


てか残り二日ぐらいあった気がするけど、二十分ってことは加速時間の割合がここでは変わってるのかな?

すると本当に数分経つと、ボスを突破したであろう人たちが次々に現れてきた。

その中には私も知っている顔があった。


「アルトさん! それにルカと海花も!」

「お姉様ぁぁぁぁ!」

「ぐぬっ!?」


私はいきなり飛びついてきた海花に押し倒される形となった。

頭打った…痛い…。


「お姉様お姉様お姉さまぁ!」

「海花…落ち着いて…」


興奮してる海花に頬ずりされまくってちょっとうっとおしい…。

とりあえず一発頭にチョップを打っておく。


「あうっ!?」

「海花、落ち着いた?」

「はっはい…」


海花は少し涙目になりながら私を離してその場に正座で座る。

ルカとアルトさんが遅れてこちらに近づいてくるが、何やら呆れた顔をしている。


「海花、アリスが呼んでるってうるさかった」

「そっ! それはお姉様があたしを呼んでいる気配がして!」

「アリス、そうなの?」

「えっっと…」


確かに三人の事とかを心配したことはあるけど、呼んでは…ないかな…?


「ほら、呼んでない」

「ですけど心配はしてくれてます!」


てか何故ルカと海花はそんなにいがみ合ってるのだろうか…?

二人に飽きれながらも、アルトさんが私の隣に座ったのでそちらを向く。


「アルトさんはルカたちと同じグループだったんですか?」

「えぇ。さすがにギルドというわけではなく急造チームだったのでレイドボスには苦労しましたが、なんとかレッドミノタウロスを倒す事が出来ました」

「えっ? レッドミノタウロス?」

「えっ?」


あれ? 私たちが倒したのはブラックミノタウロスだったけど…。

その事をアルトさんに話してみると、もしかしたら参加者の戦闘系のスキルレベルによってボスの強さが変わるのではないかということだ。

言われてみれば生産職も混じってるイベントだし、そういう人たちでも戦えるような措置はしていたのかもしれない。


合流した三人と話していると、終了とされている二十分がそろそろ経つ。

この空間に飛ばされた人数を大まかだが数えてみたところ、大体八百人程度がいるようだ。

ということは大体二十組がレイドボスを倒せたようだ。

するとタウロス君が時間になったのか説明を始めた。


「それでは終了時間となりましたので、これから皆様に迷宮突破報酬を配布したいと思います。報酬はSP10ポイントに武器系、生産系、サブ系のアイテムがランダムに一つ手に入るランダムアイテムボックスをどれか一つ送ります。これから選択できるように皆様にメッセージを送りますので選んでください。ちなみにランダムアイテムボックスは所有してるスキルに関連しているのが出ますので、使えないということはないはずです」


ほむ、SP10は私にとっては嬉しいかも。

それに武器系や生産系のアイテムが貰えるアイテムボックスかぁ。

所有スキルに因んだ物となると、武器系なら刀で魔法系統か、生産の何かって形かな。

流石にサブスキルは多すぎて何が当たるか予想が出来ないため今回はパスで。

ということでどうしようかなー…。

でも武器も結局は【付加】があるからそこまで属性武器が欲しいというわけじゃないんだよね。

ってことで今回は生産系を選ぼう。


私が送られてきたメッセージで生産系を選ぶと、ぱっと目の前が光って手の平の上に小さな箱が現れた。

どうやらこれがランダムアイテムボックスらしい。

まぁこれは家に戻ってから開けてみよっか。


「では皆様全員受け取りが完了したそうなので次に貢献度報酬となりますが、その前に皆様のランキング結果を送ります。ランキングには戦闘貢献、生産貢献、そして謎解き貢献の三つがあります。これらは各グループ毎に異なりますのでどのグループの方も上位に選ばれる可能性があります。そして貢献度が高いほど選べる報酬のレア度が高くなります。更に、今回創造主から特別に総合貢献度報酬として全グループからトップの十人に追加で報酬が選べます」


追加報酬ということを聞いて、皆が興奮して声を上げる。

まぁ少なくとも総合貢献度はレイドボスを突破したこの約八百人の中から選ばれるだろうし、テンションは上がるだろうね。

っと、ランキング結果が送られてきたから見ないと。

えーっと…。



プレイヤー名:アリス

戦闘貢献度:12/2124

生産貢献度:25/2124

謎解き貢献度:1/2124

総合貢献度:4/10736



…ん? ちょっと見間違えたかな?

えーっと、一回顔を洗ってもう一回見てみよう。

戦闘貢献度12位、生産貢献度25位。

うん、これはまぁ何かが過大評価されたということで説明がいく。

さて問題は次の二つだ。

謎解き貢献度1位。

うん、意味が分からない。

Why?

そして総合4位ってどういうこと? わけがわからないよ!


私がガクガク震えていたことに近くにいた三人は気付いたのか、私の方に寄ってきた。


「アリス、どうかした?」

「お姉様?」

「アリスさん?」

「あわわわわっ…」


私の様子で何かを察したのか、三人は温かい目でこちらを見つめている。


「お姉様またやらかしましたか…」

「まぁアリスだし」

「ですがこの場合はやらかしたというよりはやりすぎちゃったの方が正しいのでは?」

「何で三人とも私が何かした前提なの!?」

「だってアリスだし」

「お姉様ですし」

「アリスさんですし」

「酷っ!?」


まるで私が何かやらかすような人みたいな言い方やめて!


私たちがそんな言い争いをしている間に、ウィンドウにランキング報酬の選択肢が出てきた。

どうやら各ランキング毎にアイテムが選べるようになっているようだ。

一応1位となってしまった謎解き貢献度で比較してみたところ、1位と4位は変わらず、12位と25位は変わっていた。

ということは、最高のが二つにその次のランクのが二つ選べるようだ。

とはいえ…。


「どうしよう…」


耐久度は低いが高威力高耐性の武器に防具や、逆に威力や耐性は下がるが耐久度が高い武器や防具もあったり、ペット用のスキル取得玉各種色別もある。

更には土地購入権や家増設権、個人フィールド所有権といった土地関係のアイテムもあった。

他には設備関係に素材関係、あとは幻獣の卵なんてものもあった。

ペット用のスキル取得玉については私はどの貢献度報酬でも上位のを選べる。

しかも何故かスキル取得玉の説明欄に使用可能なペット所有という親切設計がしてあった。

まぁそれで12位と25位のはいいとして、残りの1位と4位だ…。


「あうあう…」


やばいホントにどうしよう…。

増設の説明読んだところ所有している土地分を二階建てにしたりもできるっていうし、個人的にめっちゃ欲しい…。

でも個人フィールド所有権も捨てがたいし、設備等も上げておきたいという気持ちもある。

幻獣の卵も欲しいけど、今二人いる上に更に欲張ってもなぁとは思うので今回は残念だけどやめとこう。

武器や防具? えぇ。それらは生産物で大丈夫ですので除外します。


とはいえ、設備については最悪お金でなんとかなるだろうし、今回は家増設権と個人フィールド所有権にしよう。

さて…。リンやショーゴに何言われるんだろうなぁ…。


「では皆様選択し終わったようなので元の場所に送りたいと思います。皆様、お疲れ様でした」


タウロス君がそう言うと、私たちは次々に転移させられいった。

そして何故か私とショーゴとリンが最後に残され、二人より前に私は転移させられた。

まぁたまたまだろうということでそこまで気にはしなかったが、終わる前にタウロス君と話したかったなと少し残念な気持ちがある。

とはいえ、イベントも終わった事だしまた色々やらないといけないなー。



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「わりぃな、残してもらって」

「いえいえ、お二人が聞きたいことはわかっていますから」

「なら単刀直入に聞くわ。タウロス君、アリスと何があったの?」


タウロスはリンの問いに静かに答えた。


「私は諦めかけた彼女に対してこう言いました。『残念です。貴女もすぐ諦めてしまうのですね。倒すべき敵が目の前にいるというのに』と。その後です。彼女の様子が突然変化したのは」

「……」


リンは何かを考えるように腕を組み難しい顔をする。

そして組んでいた腕を離し、タウロスに少し微笑むように話す。


「ありがとう。ちょっとアリスが心配だったから気になって聞いただけだから」

「いえいえ、仲がよろしくて羨ましいです」

「じゃあ聞きたいことも終わったし、そろそろ送ってくれ」

「わかりました」


タウロスがそう言うとショーゴとリンの姿は消え、この空間にはタウロスだけが残った。

そして自分の他には誰もいなくなった空間で彼は一人呟く。


「あの様子からすると彼らはリヴァイアサンの事については気づいていないようですね。ですが私たちは一異邦人にそこまで肩入れしてはいけない。そして、何か嫌な予感がしますね…」


そう言って彼もその場から消え、他の星座の元へ戻っていった。




イベント名『Labyrinth of Knossos』

Aグループ:突破率:11%

Bグループ:突破率:8%

Cグループ:突破率:10%

Dグループ:突破率:7%

Eグループ:突破率:4%

迷宮総合突破率:8.3%

イベント報酬って結構悩みます。

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