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Nostalgia world online  作者: naginagi
第三章
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迷宮イベント⑦

「今戻りましっむぐっ!?」

「アリス! 定時連絡しないから心配したのよ!」

「むっむぐぅ…」


 拠点に戻ったと同時にリンに抱き着かれて変な声が出てしまった。

 てかリン離して…苦しい…。


 リンの背中をタップすると離してもらえたが、今度は左手が血だらけなことに気付かれて更に騒がれた。

 出血だけだからポーションを使えば治るんだよね。

 ダメージもそんなに受けてなかったからただのポーションで事足りた。

 再度治療が終わった後、連絡が取れなかった理由(わけ)を聞かれたため何があったかを説明した。

 説明をしているとリンは卒倒しそうになったが辛うじて持ちこたえてくれた。


「それにしてもよく生きて帰ってこれたな」

「なんか急にどこか行っちゃったからそのおかげかな?」

「しかし見つかったとしても急に襲い掛かってくるわけではないのだな」

「そこについては憶測でしか言えませんけど、逃げる事しか考えていないと襲われるという感じだと思います。私が襲われなかったのは逃げずに立ち向かおうとしたからなのかはわかりませんが…」

「今まで不明だったおうし座のステータスの一部がわかったのはいいですが、アリスさんはもう少し危機感を持ってください」

「はい…」


 エクレールさんに怒られてしまったが、ステータスがわかっただけでも手の打ち様は出てくるとのことだ。

 それと一つ疑問になったことを皆に尋ねてみた。

 私が対峙した時に何故彼は武器である両刃斧を巨大化させなかったのか。

 私はそこが気になったのだ。


「詳しい状況はわからねえけど、広場以外の通路ってそこまで大きくねえから斧をでかくすると道を塞いじまうんじゃねえか?」

「言われてみればそこまで大きくなかった気がする」

「なら結論付いてるじゃねえかよ」

「むぅ…」


 テンパってたんだから気づかないことだってあるんだから!

 ショーゴの意地悪っ!

 私は頬を膨らませてショーゴをじーっと見つめる。

 そんな私をあやす様にリンが後ろから抱き着いてきて頭を撫でる。


「それもそうだけど、私はアリスが自分の手を刺したことが気になったわ~。何があったの~?」

「んー…。あの時意識無くしてたから何が起こったのかわからないんだよね…。でも気づいたらタウロス君が少し驚いて…んー…あれは驚いてたのかな? なんか意識無くなる時より少し遠くにいたように見えたけど…」

「普通に考えればいきなり自分の手に刀を刺すような者に対して驚かないとは思わないがな」

「まぁ団長さんの言うとおりですよね」


 あぅ…。なんかちょっと恥ずかしい…。

 って、リンとショーゴ? なんか深刻な顔してるけどどうかしたのかな?


「ともかく君は一度休息を取りたまえ。他に解読した内容は後で教えよう」

「わかりましたー」


 じゃあお言葉に甘えてお休みさせてもらいます。

 するとリンが膝を貸してくれたので膝枕で少し仮眠しよっと。

 お休みなさーい。



 ---------------------------------------------------------------



「…アリスは寝たか?」

「えぇ…。なんだかんだで疲れてたようね」

「なら本題に入るぞ」

「わかってるわ。さっきの事でしょ?」

「あぁ…」

「もしかしたらと思ったけど、タウロス君が下がっていたとすると…」

「意識がないから起こった事なのかは定かじゃないがおそらく…」

「記憶にないって言ってるから間違いないとは思うけど…」

「まぁ相手がタウロスだったからもうイベント中には起こらないと思うが、少なくともタウロスには何かあるって気づかれただろう」


 リンは自身の膝で寝ているアリスの髪を掻き分けるように優しく撫でながら少し悲しそうな表情をしている。


「少し…油断していたのかしらね…」

「PKギルドも活動してるという話もあるし、絶対に接触させるわけにはいかねえからな…」

「タウロス君の時のように、何がきっかけになるかわからないしいつまでも見守ってるなんて無理な話よ?」

「それはわかってるが…」


 ついため息をついちまうが、これについてはどうしようもない。

 どうしようか困ってリンとアリスを交互に見て話を続ける。


「まぁトリガーがわかってるのが幸いってところか…」

「そうね…。でもタウロス君に関しては何故起こったのかがわからないのよ。彼が悪意を持って私たちの事を言うとは思えないし」

「あくまで憶測だが、追い詰められたことによる恐怖でボーダーラインが下がっちまったんじゃねえか? だったら多少は説明が付くが…」


 そう。

 それだったら多少は説明が付くんだ。

 追い詰められたことによる恐怖で、悪意ではないが何かしらの言葉がトリガーになったから起こったことと。

 それだったらアリスの性格上そうそう起こることではないからあまり気にせずにいられるんだ。

 だが、もしそれすら関係なくボーダーラインが下がっているとしたら…。


「ショーゴ…」

「あぁすまん。まぁあんまり暗い顔しててもアリスが気になっちまうし、そろそろやめとくか」

「えぇ…そうね…」


 そんなこと言われてもリンは気にしちまうだろうし、早めに切り上げといて気持ちを切り替えてもらうしかねえな。

 はぁ…。ホント嫌になるぜ。

 もちろん自分に対してだ。

 アリスがあんなことになった原因は俺が大半の理由だ。

 俺が二人を守ってやれなかったから…。

 だから今度こそ俺があいつを助けてやるんだ…。



 ---------------------------------------------------------------



 ふぁーぁ…。

 良く寝たぁ…。

 少し身体を動かして上を見上げると、リンの顔があった。

 そっか。私リンに膝枕してもらって寝てたんだった。

 私が動いたことに気付いてリンが下を向いた。


「アリス、おはよ~」

「おはよー。どれぐらい寝てた?」

「大体四時間ぐらいかしらね~」


 あらら、結構寝てたようだ。

 そういえば私以外の解読に向かった人の内容を聞いてなかったのでリンから教えてもらった。


 私は『この迷宮から脱出したければ迷宮の主を撃破せよ』だった。

 他の人は『また七人の生贄が送られてきた…』、『扉が開かない…』、『私と一緒に連れてこられた仲間が一人化け物に殺された…。六人しかいなくなってしまった…』だった。


 なんか普通に内容が重いんだけど…。

 だけど三人は通路で解読したのに対して、私は部屋で解読した。

 そして内容からすると、通路のは日記のような内容で部屋はヒントのように感じた。

 ということは他にもヒントが隠されている部屋があるってことなんだと思う。


 でも他に部屋を探すにもタウロス君が徘徊する迷宮で探さないといけない。

 んー…何か突破口を探さないといけないなぁ…。


「アリスは解読した内容で何か気になったことある~?」

「んー…しいて言えば扉が開かないっていうやつかな」

「そうね~。それは皆も気になったわ~」


 扉が開かないっていうことはどこかにそういう扉があって鍵とかが必要なんだろう。

 でも鍵を探す前にまずはその扉がどこにあるかを探さないといけない。

 わざわざ解読させてまで読ませたからにはきっと意味があるのだろう。


 掲示板とかに他に情報ないかなぁ?

 ショーゴ曰く掲示板は各グループごとに分けられてるため、他のプレイヤーの状況を知ることはできないらしい。

 そのため、他のグループが謎を解いたとしても他のグループにそれを教えたりすることはできないのだ。


「まるで競争だね…」

「アリス?」

「あっ、なんでもないよー」


 つい口に出してしまった。

 しかし、報酬でも脱出報酬と貢献度報酬ってあるし、わざと競争を煽ってるように見える。

 まぁゲームなら競争があるのは当たり前だとは思うけど…。

 グループを分けてまでやることなのかな?

 これにも何か意味があるのかな…?


 んーだめだ。考えれば考える程ド壺にはまっていく気がするから考えるのはやめておこう。

 …ルカや海花たちはどんな調子かなぁ…。

海「今お姉様に呼ばれた気が!」

ル「いいから早く採取して」



次の更新は11/4の08:00予定です。

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