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Nostalgia world online  作者: naginagi
第三章
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迷宮イベント③

遅くなりまして申し訳ありません。

「それで結局どうだったの?」

「回れるだけ回ったが、やっぱり最初の広場から広がるように展開されているようだったな。最外周には到達できなかったから出口が本当にあるのかもわからなかったわ」

「ってことはタウロス君の言葉が偽りという可能性もあるってこと?」

「さっきリンから聞いたが【解読】スキルが必要な言語があったし、何かあんだろきっと」


 ふーむ…。

 となるとまずは出口が最外周にあるかどうかを調べたほうがいいんだよね?

 でもそろそろ一日目が終わってしまう時間だからタウロス君が動き出してしまうってことか。

 そこで団長さんが今後の予定として私も考えていたことを言う。


「ともかくおうし座の動向を探らないとどうにもならんな。幸い我々がいる広場のような場所にはモンスターが入ってこれないようだ。危険と感じたらすぐ逃げてくれ。そしてメンバーの選出なんだが…」


 動向を探るということは、敵を視認しなくてはいけない。

 そして何より相手に気付かれない事が要求され、見つかった際には逃げ切れるだけの実力が必要だ。

 となると…。


「やっぱり…私ですかね…?」


 私が手を挙げて立候補するが、団長さんは少し苦い顔をする。


「確かに君ならば適任かもしれないが…」

「でも他に隠密系のスキル持ってて足が早い人って限られますよね…?」

「まぁそうなんだが…。だがあまり君にばかり負担を掛けさせるのは…。それに回復アイテムの補充も助かっているしそこまで無理はしなくても…」


 確かに今回のイベントでは、【狩人】スキル持ちの私がモンスターを倒してもドロップが手に入らない。

 そのためボス以外では私の役目としては斥候やアイテム生産が主となってしまう。

 しかし、いくらドロップするからと言っても全てが調合に使えるわけではない。

 素材がなければ作れない。単純な事だ。

 だったら私が斥候としてタウロス君を見張っていた方が探索の効率的にはいいと思う。

 そのため立候補したのだ。


 団長さんとしても、ギルドメンバーでもない人にあまり頼りすぎるのもどうかと思って悩んでいたそうだ。

 私の考えを団長さんに伝えると、渋々ながら納得してくれた。

 しかし、絶対に無理はしないようにと念は押されたけどね。

 まぁリンやショーゴたちにも念押しされたけど、そんなに危ない事するわけないのにまったく。

 とはいえ、まだ一日経つまで時間はあるのでご飯を作った後に私は一度仮眠を取らせてもらった。



 さてと、マップからしてちょうどタウロス君がいる広間に続く十字路の近くまで来ることができた。

 時間はあと数分で一日経過だからどう動くかを見ないとね。

 とりあえず壁から少し顔を出して様子を見よう。

 てかこれ以上遠くなると流石に見えなくなるから十字路の入り口?に当たる部分がギリギリだ。


 んー…。とりあえず広場の中央にじっと座って精神統一をしているのかな? 動き出す様子はない。

 って、まだ一日経ってないからか。

 なら少しだけ近づいて…。

 そう思って私は十字路の入り口を越えて覗こうと足を前に出した。


 その瞬間、タウロス君は目を見開いて立ち上がった。

 私はびっくりして床に置こうとした足を引っ込めてぱっと壁に隠れた。

 一分位じっとしていても【感知】に反応がないため再度広場を覗きこむと、タウロス君は再度じっと座っていた。


 危険かと思ったが、もう一度十字路の入り口を越えて足を伸ばしてすぐさま隠れて様子を伺うと、やはりタウロス君は反応して立ち上がっている。

 ということはこの十字路の入り口までが今のタウロス君の感知範囲ってことかな?


 …いやいや、百メートル以上は余裕であるけどそんなに広いの?

 普通に近づかれたらセーフティエリアに入るまで逃げられないよ?

 これ斥候とかやる以前に遠視系のスキル持ってないとまともにできないと思うんだけど。

 てか遠視できてもこの曲がりくねった道になっている迷宮の中じゃあってないようなものだしなぁ…。


 そんな事を考えている内に一日目が過ぎていたのか、タウロス君は立ち上がって周りをキョロキョロとしている。

 すると私がいる方角の十字路ではなく、私から見て左側の通路に向かって行った。

 さて問題はここからどうするかだ。

 とりあえず中央から離れたってことは少し入口を越えても大丈夫でしょう。

 そう思って私は再度入口を乗り越えて進もうとした。


 すると違う道に行ったはずのタウロス君が広場の中央に戻ってきた。

 隠れようとしてぱっと横を見た瞬間、タウロス君が私がいる通路に駆けてきた。

 ここにいては見つかると思った私は先程来た道を辿って走る。

 誤算なのはタウロス君が私並みにAGIが高いという点だった。


 ギリギリ曲がり角を曲がって隠れられたが、緊張で呼吸が乱れがちだ。

 しかし【感知】スキルはいつまで経っても距離が変わるような反応を示さない。

 立ち止まっているのかと思って息を整えた私はこっそりと通路を覗きこむ。


「ふむ…誰かが通っただけですか…。それにしても三回も反応があるとは…。当分誰も近づかないと思ったのですが予想が外れましたね」


 なんとか聞こえたタウロス君の声は止み、【感知】スキルの反応も次第に遠ざかっていく反応に変わっていった。

 どうやら見つかりはしなかったようだ。


 しかし、おかしな点は見つかった。

 あの百メートル以上もある距離を感知できたにも関わらず、今私が隠れている曲がり角は少なくても百メートルはない。

 ということは私は見つかっていてもおかしくはないということだ。

 なのにもタウロス君は私を追い掛けてこずにそのまま広場に戻っていった。


 ではタウロス君の感知範囲はどうなのだということになる。

 考えとしては二つある。

 一つはあの広場にいる時限定であの感知範囲を持っている。

 もう一つはあの広場を含む十字路に入るとタウロス君の感知範囲に引っかかる。


 どちらにせよあの広場に関係があるということなのだが、何故なのかがさっぱりわからない。

 ボスの部屋としてあの広場があるから誰かが近づいたら戻るためなのかな?

 ともかくこの情報を持ち帰ろう。

 私は音が止んだのを確認してから拠点へと戻った。



「ということがあったんだけど何かわかる?」

「無茶すんなって言ったばっかりだろ!?」

「そうよアリス!」

「うっ…」


 帰って報告して早々にリンとショーゴに説教を喰らった。


「私も無茶はするなとは言ったがさっそくやるとはな…」

「あぅ…」

「ただ、おうし座の感知範囲について良い情報が手に入ったことは僥倖だったな」

「団長っ!」

「リン、そうあまり責めても可哀想だろう。実際無事に帰ってきてくれたのだからそこは褒めてやらねばな」

「そうですけど!」

「少なくてもおうし座は自分で感知系のスキルは持っていないようなのか?」

「正確にはわかりませんが、少なくとも百メートルは感知できないはずです」


 もう一回戻って正確な距離を測ってきてもいいんだけど、動き回り始めたタウロス君と鉢合わせしそうだし、さすがに今度はリンとショーゴに本気で止められるだろう。

 なので後は何メートルまでが感知範囲かを鉢合わせた人や見つけた人の報告待ちってところかな?


「しかしイマイチ感知範囲がわかんねえなぁ」

「そうですね。ボスだからあの部屋にプレイヤーが近づいたら戻らないといけないと言えばそこまでですしね。何か他に理由があるのかもしれませんね」

「確かにボスを釣ろうすると一定距離れると元の場所に戻ったりするやつもありますしね。そういう類で片付けるのは簡単ですからねぇ」

「考えるのも冒険、ということかしらね~」

「知恵と勇気でテーセウスは脱出したって感じだから同じようなことってことか?」

「私はそこまで神話に詳しくないからわからないわよ~」


 知恵かぁ…。

 色々謎はあるからそれを解くのが知恵っていうならば、勇気って何が当てはまるのだろう…?

今週忙しいですが頑張って更新します。

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