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とんでもない才能



 お昼も食べ終わり、この後どうするかということになったのだが、流石にこのまま帰るというのも寂しいのでこのまま俺の部屋で遊ぶことになった。

 少々面倒ではあったが、俺の部屋にテレビゲーム機を戻しておいて正解だったな。



「何する? って言っても大人数でやれるのはマルオパーティか大乱戦スマッシュシスターズくらいだけど……」

「なら両方やろうぜ、でもスマシスはやってるかどうかで実力差出るからハンデとかありでやるか」

「そうするか、俺はまあまあ触ってて、詩織……はやった事ないけど、優斗と柊さんはどうだ?」

「俺は結構やってるけど、陽彩は俺ん家に遊びに来た時にちょろっとやるぐらいだな」


 サラッと休みの日に一緒に遊んでいることが分かったが、よくよく考えると幼馴染みたいだし当然か……。

 それに、俺も人の事を言えた立場じゃない……。


「ならチーム分けして二対二でやるっていうのはどうだ?」

「いいけど、どうやって分けるんだ? 一条さんだけやった事ないんだろ? それだと……」

「ああ、なら俺と詩織、優斗と柊さんチームでいいんじゃないか?」

「お、そんなに自信があるって訳か」

「まあ、ね」


 なぜこんな分け方をしたのか……理由はいくつかあるのだが、まず慣れている相手とチームになった方がやりやすいっていうのは大きい。

 もう一つは……まあやっていたら直ぐに分かる。




「だああああ、勝てねえーー。一条さんはこのゲーム初めてじゃなかったのかよ」

「いや、今日初めて触ったはずだよ、ただ成長速度が人並外れてるだけ……」


 そう、普段の感じから忘れそうだが、詩織は天才なのだ。

 一度やればなんとなくで人のまねができるようになるし、二度やればそれを超えてくる。そんなとんでもない才能を持っている人間なのだ。


「人並外れてるって言うか、これは……」

「まあ、この前ほかのゲームやってた時に俺も絶望したよ、結構自信あったのに三回目にはボコボコにされてたんだぜ……」


 FPS系のゲームってあんなに早く上手くなるもんじゃないと思うんだ……。



 スマシスをその後もしばらくした後、マルオパーティもしたのだが、流石にサイコロの運はみんな平等なので、接戦になりギリギリで俺が勝った。


「まさか最後の最後にトップだった優斗が最下位まで転落するとはな」

「あれは流石にひどいだろ……勝ったと思ってたのによ……」

「運が悪かったってことで今度ジュース奢りな」

「へいへい、あー……賭けようなんて言わなきゃよかったぜ」


 マルオパーティをする前に、俺と優斗は負けた方がジュース奢りという賭けをしていたのだが、運は俺に味方してくれたようだった。

 


「っと、結構遅くなっちまったな。夕飯までには帰ってくるように言われてるから、そろそろ俺たちは帰ることにするよ」

「ああ、もうそんな時間か」


 時計を見ると、針は一八時を少し過ぎたところを指している。


「今度は俺ん家にでも遊びに来てよ」

「いいのか?」

「もちろんだとも、親も友達の一人くらい家に呼べって言ってたし、こっちから頼みたいくらいだよ」

「なら今度お邪魔させてもらおうかな」

「助かる、じゃあまた今度な」


 そうして、優斗と柊さんは帰っていった。


「詩織は今日は楽しかったか?」

「……分からないわ」


 詩織は俺と二人の時はよく喋るのだが、優斗や柊さんも一緒にいるときは必要な時以外喋らない。

 もちろん、そのせいで前のようなことになったのだが、どうも大人数での会話は苦手らしく、結局今日もほとんど会話することはなかった。

 前よりは少し喋るようにはなっていたが……。


 でも、表情は前よりも楽しそうにしていたし、ゲームだって楽しんでいた。


「分からない、か」

「でも、嫌な気分じゃなかったわ」

「それならいいんだ、でもなんかあったらなんでも言ってくれてもいいんだからな」

「……じゃあ、今日は一緒に寝たいわ」

「え、いや、何でもとは言ったけど流石にそれは……」


 この前は致し方なかったとはいえ、今回は別だ。

 一緒に寝るということはどちらかの家に泊まるということであって、何もしないとはいえ、恋人でもないような男女が一緒の部屋で寝るなんて言うのは、流石に良くない。




「むう……ならパパから許可を取れたらどう?」

「……それなら、問題は、無い、の、か?」

「なら、さっそくパパに聞くわ」


 と、スマホを取り出して、詩織はどこかに電話をかけ始めた。


「え゛っ……?」




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